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作品解説

原作の忠実なアニメ化に挑んだ制作者たち。

 監督:高畑勲、画面構成:宮崎駿、作画監督:近藤喜文、美術監督:井岡雅宏。
――このクレジットが物語るように、いまや日本のアニメーション史に残る、児童文学アニメ化の古典的名作にもなっている「アン」ですが、当時新たな表現に挑んだ、非常に革新的なアニメーションでした。

 セリフ中心の原作を、アニメで表現すること自体大きな挑戦だったと言われていますが、アンに寄り添いすぎない客観的な視点で描かれたことで、観客はアンを見守る立場となり、ハラハラしたり呆れたりしながらも長いおしゃべりに惹き込まれていきました。本作では少女時代のアンしか登場しませんが、シリーズを通し、美しい大人の女性に成長していくというキャラクター設定もアニメの歴史からいうと画期的なことでした。また、アンの瞳に映る美しい世界を実感できるよう、部屋の壁紙からカナダの美しい自然に至るまで、テレビアニメとしては例がないほどの細やかな背景美術が描かれました。三善晃による主題歌も、アニメ音楽の常識からはかけ離れた格調の高さで、アンの心を豊かに表していました。

赤毛のアン 高畑勲監督は、この作品の狙いを次のような言葉で表現しています。「身につまされるのに、笑い出さずにはいられない、すてきなあとあじ」。原作の魅力を損なうことなく、どこまでも野心的に取り組んだ制作者たちの思いは、30年のときを経てもなお色あせることがありません。