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オスロ監督に聞く

アズールとアスマールのアイデアはどのように生まれたのですか?

interview_03.jpg 国や人種の違いによってお互いに憎み合い―そのように育てられたわけですが―争ってしまう人々。片や、それぞれ人種の違いや周囲の反対にかかわらず、互いに尊敬し仲良くできる個人のお話。そこに一番関心があります。現代では国どうしの戦争ではなく、人々の根深い憎しみが日常的にありました。古い人間と新しい人間との確執や、また西洋と中東の間に起こる争いなどです。そこに、私のテーマがあったのです!厳しい現実をおとぎ話の形で表現するのです。争いの元には、嘆かわしくまた腹立たしいことに、人工的に作り上げられた誤解があります。

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最初にアイデアがあって、それに続いて映画の世界観というものが出来上がった、という順番なのですね?

interview_04.jpg はい、現代的なもの道徳的なものを作りたいという気持ちが先にあり、北アフリカのマグレブやイスラムの文化といった背景は後から来ました。とはいえ、広大な地域に広がっていた中世のイスラムの輝かしい文明は以前からずっと素晴らしいと思っていました。背景や衣装にその要素をふんだんに使いました。またその他アンダルシアからトルコ、ペルシャまで、気に入った要素はいろいろと取り入れました。

制作期間の仕事について、詳しく教えていただけますか?

interview_05.jpg まずコンセプトです。アズールとアスマールの場合、フランスとマグレブの関係について考えるところから始まり、生まれた環境が全く違う乳飲み兄弟の話で、金持ちと貧乏人の子供という設定を思いつきました。それからお話しの途中でこの兄弟の立場を逆転させようと考えました。その後は、膨大な資料集めとデッサンの仕事です。舞台設定に関しては、地理的にも歴史的にも正確を期すことを念頭におきながら、しかし宗教の理由で古代から16世紀までの間マグレブの世界を描いた絵がありませんでしたので、スタッフたちと想像力を働かせることもしました。そして絵コンテ、背景、アニメーション、ポストプロダクションと続きます。

ジンの妖精や真紅のライオン、サイムール鳥などのアイディアはどこからきているのですか?

interview_06.jpg 「アズールとアスマール」は全くのオリジナルで、下敷きになっている話はありません。ジンの妖精は私の創作ですし、青い爪を持った真紅のライオンもそうです。ジンの妖精については、曖昧な表現でしかなかった存在を具体的に絵にしたところが私の創作です。ですがサイムールに関しては、ペルシャの話に出てくる伝説の鳥からもってきました。人間を運ぶこともできれば、また食べてしまうこともできる巨大な鳥の話は古くからいろいろな話に出てきます。

背景には歴史的建築物からもヒントを得ましたか?

interview_07.jpg はい、最後のシーンではイスタンブールに数ある大きなモスクをモデルにしました。このモスクの建築には、キリスト教の神聖な場所でもある聖ソフィア聖堂の影響もみられます。いろいろなものが混在し支え合っている、これは映画のメッセージとも合致します。

イスラム圏では神の創造物を具現化してはいけないという制約があるなか、どのようにして参考にする意匠を集めたのですか?

interview_08.jpg 実際、マグレブ・アンダルシアの資料があるのは例外的で、両手で数えられるくらいしかありませんでした。話の設定は中世なので、時代考証では少しズルをしてしまいました。ですが地理的なところではズルを最低限におさえ、ジェナヌが力のある商人になり、影響力のある人物となったくだりで説明がつくようにしました。ジェナヌの商船やキャラバンは世界中をめぐるので、彼女は息子にイスファハンの最新モードの衣装も与えてやることができるのです。とはいえ一番大事なことは美しいこと!それにつきます。

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ミッシェル・オスロ

Profile

interview_01.jpgコート・ダジュール生まれ。ギ二アで幼少時代、アンジェで思春期を過ごす。芸術を勉強した後、独学でアニメーションを学ぶ。プロとしての初短編作品「3人の発明家たち」(1979)でロンドンのBAFTA賞を受賞。この映画以降、自ら全てのシナリオとイメージデザインを手掛ける。影絵を用いた「プリンス&プリンセス」など、今までに短編アニメやテレビアニメを多数制作し、セザール賞をはじめ数多くの賞を受賞している。また、初の長編作品「キリクと魔女」での観客の高い評価により、一躍有名になった。1994年から2000年までASIFA(国際アニメーション協会)の議長も努めた。また2007年には、ビョークの最新作『アース・イントゥルーダーズ』のプロモーションビデオも手掛けている。


Filmography

1976年:
 Gédéon (「ゲデオン」) (1話5分で60エピソード)

1979年:
 Les Trios inventeurs (「3人の発明家たち」)

1981年:
 Les Filles de l'Egalité(「対等な娘たち」)

1982年:
 Beyond Oil(「油以上に」)

1982年:
 La Légende Du Pauvre Bossu (「貧しいせむし男の伝説」)

1986年:
 La Princesse Insensible(「冷酷な王女」) (1話4分で13エピソード)

1987年:
 Les Quatre Voeux(「4つの願い」)

1989年:
 シネマシリーズ(各12分)
 La Princesse des Diamants( 「ダイヤモンドの王女」)
 Le Garçon des Figues(「イチジクの少年」)
 La Reine Cruelle(「残忍な王妃」)
 La Sorcière (「魔女」)
 Princes et Princesses (「王子と王女」)
 Icare (「イカロス」)
 On ne Saurait Penser à Tout( 「全部考えることなんて出来ない」)
 Le Manteau de la Vieille Dame(「老女のコート」)
 ※2000年「プリンス&プリンセス」として劇場公開

1992年:
 Les Contes de La Nuit (「夜の物語」)(特別篇26分)

1998年:
 Kirikou et Sorcière(「キリクと魔女」)(71分)

2005年:
 Kirikou et Les Bêtes Sauvages (「キリクと魔女2 4つのちっちゃな大冒険」)