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作品解説

ロシア史上、最も愛される人形童話「チェブラーシカ」
全四話完全《デジタルリマスター》版、堂々劇場公開!

 オレンジの木箱に閉じ込められて、遠い南の国からやってきた、大きな耳の小さないきもの。起こしてもすぐに倒れてしまうので「チェブラーシカ(ばったりたおれ屋さん)」と名づけられたこの正体不明のいきものは、動物園にも受け入れを拒否され、都会の片隅の電話ボックスで暮らしていた。そんな彼が出会ったのは、動物園で働く、一人暮らしの孤独なワニ・ゲーナだった。

 「この街には一体どれくらいいるんだろう。ひとりぼっちの人が」

 ふたりの優しさが今、この街に、ささやかな幸せを生み出してゆく——。

 詩情ゆたかな童話的世界を舞台に、動きの細部にまで人間の心をそそぎ込まれた人形たちが、愉快に働き、歓びをわかち合い、哀しみにふれ、無責任さに怒る。一見無邪気なエピソードに惹き付けられる一方で、描かれるのは現代にも通じる社会のひずみと、この世界の幸せのかたち。公開から約40年たった今もなお、ますます人々を魅了するこの古典的名作には、“かわいい”だけで終わらせることのできない、時代と国境を越えた生命力が満ちている。

 膨大な時間をかけて1コマ1コマ動かすことで全てを描き出す人形アニメーションという表現方法。2008年夏、三鷹の森ジブリ美術館は、人間の手作りだけが生み出しえた、ロシア史上、最も愛される人形童話「チェブラーシカ」をお届けします。