2002年02月


02月01日(金)
パティオにある井戸の手こぎポンプの取っ手が外れてしまう。内部の金具が外れたためらしい。河合くんと深谷さんが修理のため手こぎポンプを解体して検査したが、再度組み合わせたときに取っ手を反対につけてしまい、つけ直すためにもう一度解体していた。二人は、側で見ていた10歳くらいの女の子に「かっこ悪いね」と言われていた。


02月02日(土)
昨日からカフェでの新しいメニューがはじまる。アイスミルク、アイスココアが追加され、あこがれのフルーツサンドが通常メニューになった。しかし今でも一番人気はいちごのショートケーキらしい。堀口さんのお気に入りは、テイクアウトで販売している80円の麦茶だそうだ。


02月04日(月)
オープンを間近に控えた「トライホークス」の準備のため、今日も石光さん・大口さんを中心に最終作業が進められる。手伝っていた北嶋さんは、室内に置くポストカードの貼られたボードなどをトンカチで壁に打ちつけながら「なんでこういうことを女の子がいつもやるのだろう…」と呟いていた。


02月05日(火)
「トライホークス」公開が明日に迫り、宮崎館主がチェックに訪れる。人がたくさん部屋に入っている様子を確かめたくて、メンテナンスに来ていた業者の方々までも部屋に呼んで一時はにぎやかに。最後は「いい本が多いですね」と言い残して去っていった。仕入れの入力やブッカーがけをしていた石光さんと大口さんの作業は深夜まで及び、美術館を離れたのは午前3時だった。


02月06日(水)
2階のネコバスルームの隣に、本日より図書閲覧室「トライホークス」がオープン! ここでは宮崎駿館主とジブリ美術館推薦の絵本・児童書・アニメーション関係の本などが閲覧できます。この場所を訪れたことをきっかけに、さまざまな本に興味を持ってほしいという願いが込められています。閉館後、室長の石光さんは「無事に終ってほっとした」と照れくさそう。


02月07日(木)
美術館オリジナル短編映画「くじらとり」が、毎日映画コンクールの大藤信郎賞を受賞し、吾朗さんと広報の田村さん、机さんが授賞式の行われる東京プリンスへと向かう。スーツとネクタイで決めた演出の稲村さんが、宮崎館主とともに出席していた。


02月08日(金)
西方さんがトイレに行ったとき、西方さんあての電話を取った福井さんは「西方は今、個室に入ったようです」と答えてしまい、事務所にいたスタッフを爆笑の渦に巻き込んでいた。


02月09日(土)
前々からトライホークスに植物を置きたいと思っていた北嶋さんと大口さんが、偶然同じ日に植物を買ってきた。2人とも、室長の石光さんはこのグリーン好きかなぁなんて考えながら、さんざん悩んだ挙句決めたものらしい。2人の暖かい心遣いを受けた石光さんは、事前に植物の名前や手入れ方法などをざっと説明されたが、どうも頭に入らなかったらしく、もう一度花の名前を尋ねる始末。しかし「羽衣ジャスミンだよ」と教えてもらったその5分後、スタッフに向かって「なんとかラベンダーだって」と、堂々と言い放つ石光さんだった。


02月11日(月)
スイングビルのスタッフが5月に引越しする新事務所の上棟式が行なわれる。天井が高くて明るくて、開放的な雰囲気のする建物で、宮崎館主も嬉しそうな顔をして出席していた。


02月12日(火)
地下1階展示室「ジブリ・ハウス」に新しいドールハウスが入った。今度はなんと"ブタの食堂"。ジブリのバーを思わせる部屋で、「紅の豚」のポルコのようなブタ・キャラクターが、ごちそうがいっぱい並んだテーブルを囲んでいる。お腹がいっぱいで居眠りをはじめたブタ、パクつくお餅がびよーんと伸びているブタなどが笑いを誘う。極めつけはバナナを持った宮崎館主そっくりのブタ! 立ち会ったスタッフは大喜び。もう一つの窓にもちょっとした工夫がほどこされ、ついに「ジブリ・ハウス」の開かずの窓がなくなった。


02月13日(水)
今日誕生日を迎え、20代に別れを告げた北嶋さん。業者さんからもらったお祝いのチョコレートを美術館スタッフに配っていた。「チョコレートケーキのようにこってりとした中身の濃い30代にしたいな…」とのこと。


02月14日(木)
バレンタインデーということで、休憩室には男性スタッフへのチョコレートが溢れる。事務所にも橋田さんや西方さんにチョコを渡しに来るスタッフの姿が見かけられた。しかしダントツは吾朗館長。なんと11個もチョコをもらっていたが、受け取るときはいつもクールに振る舞い普段と変わらぬ様子だった。一方女性スタッフの間では、吾朗さんがいくつチョコレートをゲットするか、密かにトトカルチョが行なわれており、ニアピン賞は田村さんだった。


02月15日(金)
3月2日公開の映画「モンスターズ・インク」の監督コンビ、ピート・ドクター氏とリー・アンクリッチ氏が来場する。2メートル近いピート氏は地下1階展示室の「トトロぴょんぴょん」がとても気に入ったようで、目をきらきらさせながら 10回くらい見続けていて、大きな体をした子どものようであった。また、トライホークスでは「資料用だ」と言いながら10冊以上の本を購入し、非常に満足した様子で帰っていった。


02月16日(土)
15日から17日まで東京ビッグサイトで行なわれている新世紀東京アニメーションフェア21に、美術館もジブリと徳間書店とともにブースを出している。調査研究のための資料を買いに来た学芸員の三好さんは、「仕事だ」と言いながらも足取りは楽しそう。すべてのブースを見て回り、もらったチラシやパンフレットなどを両手いっぱいに抱えて帰っていった。


02月18日(月)
20日からローソンで発売されるジブリ美術館ガイドブックが美術館に届き、スタッフ全員に配られる。建物や展示物の紹介はもちろん、働くスタッフたちの写真もたくさん載っているので、本を手にして自分を発見したスタッフは、照れたり笑ったりしていた。


02月19日(火)
1階テラスのドアに、修理のため外されていた「もののけ姫」のステンドグラスが、無事修理を終えて入る。

中国語版ご案内のパンフレットが搬入される。これで明日からは台湾からのお客さまも、館内が回りやすくなるでしょう。


02月20日(水)
宮崎館主から、ベルリン映画祭で「千と千尋の神隠し」が受賞した金熊賞のトロフィーを美術館に飾るようにとの指示が出る。金色の熊を突然預けられた安西さんは、その重みを感じながらジブリからスイングまで歩いて持ち帰り、さらに車で美術館へ。ところが「千と千尋の神隠し」展の展示ケースの中に立てようとしたところ、ケースの高さが足りずに入らない。とはいえ他に適したケースもなく、やむなく横にして飾ることになった。


02月21日(木)
3月に行なわれる美術館のイベントに必要なPA講習会が映像展示室で行なわれる。講師は「ギブリーズ」プロデューサーの渡辺さん。橋田さん以下8人が参加した。ちなみに美術館のPA隊長は、メカに詳しい佐々木さんが任命された。


02月22日(金)
ショップの塩島さんがリサーチのため下町風俗資料館に行く。そこで見た江戸、明治、大正時代の人々の生活の質素さに驚いたそうだ。ショップのオリジナル商品を開発している塩島さんは、いつから世間にはこんなに物が溢れたのだろう、といろいろ考えさせられたそうだ。


02月23日(木)
ベッド型の車椅子をご利用のおばあさんとそのご家族が来館。
館内がやや混み合っていて心配だったが、徐々に落ち着き、周囲のお客さまも譲り合いに協力的で、とても助けていただいた。
最初はこわばっていたおばあさんの表情もだんだん和らいで笑顔が見られ、対応したスタッフも嬉しかったそうだ。


02月25日(月)
世間では風邪が流行っている。美術館でも風邪にかかった人は多い。この日は大城さんの具合が悪そうだったが、いつものスマイルで優雅に振舞い、休憩所に花を生けていた。一方、花粉症も流行中のため、橋田さんは辛そうにしていた。


02月26日(火)
某TV番組の収録のためにジブリの保田さんが来館。「映画の生まれる場所」の彩色の机の前でセル絵の具を混ぜ合わせながら、色を作り出す時の思いなどを語っていた。現在ジブリでは彩色の作業は全てデジタルとなっているため、絵の具が使われなくなっている。めったに無い機会に、立ち会ったスタッフは熱心に聞き入っていた。


02月28日(木)
明日から東京都写真美術館で開催される「映像体験ミュージアム」展の特別鑑賞会へ、三好さんと塩島さんが行く。19世紀当時のゾートロープや、「パノラマボックス」の基になったピープショーという視覚玩具など、アニメーションの先祖といえるものをじっくり見ることができたそうだ。