2002年11月


11月01日(金)
豚汁に続き、新事務所からまた差し入れが届く。近くの畑でスタッフが掘らせてもらったサツマイモだ。夕方、「サツマイモがほしい人、休憩室にあります」と館長から無線が入り、どっさりあったサツマイモは、閉館後またたくまになくなった。


11月02日(土)
石迫さんが夕方になっても出社してこない。ここのところ体調を崩していたので、スタッフの間では「死んだんじゃないか?」などと不穏な噂も飛び交う。心配になった田坂さんが石迫さんに電話すると、「今日は公休日です」と元気な声の返事。おかしいなと思いつつ田坂さんが電話を切った後、しばらくして石迫さんから慌てた声の電話が。「ごめんなさい。やっぱり出勤でした!」


11月03日(日)
チケット用の使用済みフィルムが大量に届く。長期保存するため、フィルム缶の入れ替え作業を橋田さん、滝口さん、石光さん、染谷さんが行った。映画1本だとフィルムで全8巻あり、かなりの重量だ。「こんなのへっちゃらだよ」と若ぶっていた橋田さんは、作業終了後、なぜか階段で2度もつまづいていた。

二階ネコバスの顔の前で「あーん、しな」「キャラメルあげる」といって遊んでいる小さな姉妹を発見。もう「めいとこねこバス」ごっこが始まっている。


11月04日(月)
美術館ロッカー室は狭い。特に男性ロッカー室は5人も入ると着替えるスペースもなくなってしまう。そんなときに限って「もわっ」とした臭いが立ち込め、スタッフにとっては懐かしい「部室」の相を呈している。


11月05日(火)
5月の連休明けに続いてまたもやスタッフの席替えと引越しが行われる。朝から作業で大忙しの中、一人だけ悠然と田村さんが遅刻。その大物ぶりに、将来の社長候補と言われてしまう。ちなみに、彼女も席替えしなければいけないはずなのだが、いつまでたっても来ないので、みんなで私物を箱詰めにしていると、靴が2足出てきた。

カフェでのお食事会が開かれる。サツマイモのタルトの仕上がりに自信がもてない高橋さんだったが、シェフにはっぱをかけられて恐る恐るタルトをふるまう。
それを食べた宮崎館主の「おいしい」のひとことに照れていた。


11月06日(水)
パティオに薪の家が出現。といっても、昨日運ばれてきたカフェ用の薪を河合くんが積み上げてつくったものだ。薪運びから薪の積み上げ、そして家作りまでもくもくと行う河合くんは、さしずめ「北の国から」のゴロウのよう。こどもたちから「まっくろくろすけの家なの?」「かわいいおうちだね」などと声をかけられ、照れながらもご満悦だったそうだ。


11月07日(木)
三好さんが腰を痛がっている。先日の引っ越しに体力を使ったからではなく、昨夜のカラオケ大会でヒートアップしすぎたからだ。その会では、汗やつばが飛び散る彼の周りだけ空席になっていたそうだ。

トトロぴょんぴょんを見て、「トトロがんばれー」と叫んでいるこどもがいて、河合くんは思わずにんまり。


11月08日(金)
新商品「ムゼオスタンプセット」が今日から発売。トトロなどの絵柄で9個セットで、多くのお客さまが手にとって見ていた。

ジブリでの会議からの帰り道、橋田さんの愛車フォルクスワーゲンに乗っていた車好きの大口さんは、「キー」とか「ド・ド・ド」と頻繁に発する異常音にびっくり。「少しエンジン調子悪いんだ」との橋田さんの言葉に「少しじゃなくてかなり悪いです」と、乗せてもらっている立場を忘れて本音を漏らしていた。


11月09日(土)
午前中晴れていたのに、お昼ごろ急な雨。カフェのデッキでは、雨対策として 5台前後のテントを瞬く間に組み立てなくてはならないのだが、混雑するこの時間帯にやるのが一番難しい。この日は、堀口店長の陣頭指揮のもと、スタッフが次々とテントを立てていくつもりが、急な雨だったので、お客さまも巻き込んでの設営作業となった。終了後、堀口店長は、手伝ってくれた方々に感謝感激だった。


11月10日(日)
屋上でロボット兵をスケッチしているおばあさんがいた。天気がよかったせいもあり、このときの屋上はほのぼのとした雰囲気に包まれていた。

トライホークスの杉山さんが、接客の合間をぬって地道に続けてきた刺繍が縫い終わる。「ぐりとぐら」のかわいらしい絵柄で、あとはアイロンかけをして、額に入れたら完成。公開間近だ。


11月11日(月)
昨日、パティオで男の悲鳴を聞いたスタッフが現場に駆けつけると、薪の下から出てきた昆虫たちに河合くんが固まっていたらしい。このごろ河合くんが、熱心だった薪の積み直し作業を以前ほどまめに行わないので、薪への情熱が冷めたのかと囁かれていたが、原因はこれなのかもしれない。

1階常設展示室に生息する怪人ジブリブリを探して遊ぶ親子。たくさんいる怪人を探すのは容易ではなく、やっとのことで最後の1匹を探し当てたお父さんは、歓喜のため我を忘れて暖炉に頭を「ゴツン」とぶつけてしまった。


11月12日(火)
この冬に「千と千尋の神隠し」を公開予定のポルトガル、スペイン、ロシア、イスラエルなどのマスコミが美術館にやってきた。そこで、歓迎の挨拶を吾朗さんが英語で話すことに。ところがスピーチ会場では、マスコミ関係者よりも美術館スタッフの方が盛り上っていて、吾朗さんは引きつった笑いを浮かべていた。

クリスマス装飾の準備などでてんてこ舞いの大口さんは、あまりの忙しさにクリスマス用の大きな玉飾りを耳にぶら下げて踊りだす始末。北嶋さんから「タマ星人」と命名され、悦に入っている彼女を止められる者はいなかった。


11月13日(水)
土星座のパンフレット売り場に置かれたアンティークのきっぷ入れが人気だ。
澤登さんが集めた国内外のきっぷが中にたくさん入っていて、「これはどこのきっぷだろう」と話に花が咲いている。

こどもが多いせいか、スタッフは、「ネコバスはどこを走っているんですか?」といった答えるのが難しい質問をされることが多い。


11月14日(木)
埼玉県民の日ということもあってか、入館者の半分近くがこどもだった。特にネコバス周りは熱気と興奮で紅潮したこどもの顔、顔、顔。小さな視線を独り占めにしているネコバスは、今日も変わらずこどもたちを背中に乗せて寝そべっている。

「井の頭公園のボートに乗ったカップルは別れる」という噂を帳消しにする新たな噂をスタッフが耳にする。「ロボット兵の足の間をくぐるとよい事がある」そうな。それを聞いたスタッフが何人かやってみたが、よい事があった人はまだいない。


11月15日(金)
映像展示室の澤田さんはまだ20代なのだが、こどもたちに生まれて初めて「おばさん」と言われ、ショックを受けていた。しかし立ち直りは早く、「今度おばさんって呼んだら退場よ」とこどもに反論していたらしい。

敷地内の石垣が土まみれになったり、盛り土が現れたりと、ここのところ頻発する謎の現象の正体が明らかになった。犯人はモグラ。今泉さんが出口付近で発見したが、既に死んでいたため辺りはちょっとした騒ぎに。早速こどもたちと一緒に枯葉を集めてお墓が作られ、その供養にたくさんのスタッフが出口を訪れた。

カフェのTさん(名誉のため匿名)は、フルーツサンドについて世間話をしていたら、知り合いから「お疲れ様です」と突然声をかけられ、思わず「お疲れサンドです」と言ってしまったらしい。


11月16日(土)
昨日「映画が生まれるところ」の準備室と美術の部屋で、それぞれ実際に座って作業をしたジブリの作画の稲村さんと美術の吉田さん。吉田さんによると、横にいた女の子に「ステキ」と30回ぐらい言われたり、遠くから「結婚するならあんな人がいいねえ」なんてささやかれたりしたのだが、幻滅されるかと思って声のする方に振り向けなかったそうだ。


11月17日(日)
三鷹の森フェスティバルが美術館脇の井の頭公園西園で開催される。フェステバルの呼びものとしてスタンプラリーが行われたが、美術館を会場と間違えて来る人がひきもきらなかったそうだ。

絵本「ジブリ紙の美術館」がトライホークスにお目見え。この本は、絵が飛び出したり、切抜きができたりといろんなしかけがいっぱい。ロボット兵が飛び出してくるページでは「わぉー」と驚くこどもがいたらしい。

土星座で、"歩こう、歩こう~♪" と「さんぽ」の大合唱。楽しげな雰囲気にスタッフも心がなごんだ。


11月18日(月)
髪を切り、ストレートパーマをあてた滝口さん。それを見た三好さんは、普段はおしゃべりなくせにそのときばかりは言葉が出ず、「なんか気の利いたこと言いなさいよ」と横にいた北嶋さんから突っ込まれる始末。しかしその後、滝口さん宛てのメールに「いいと思います」との追伸がついていたそうだ。

落ち葉の最盛期、ということで風情があっていいのだが、清掃が大変。井戸の排水溝がつまってしまうので、スタッフが蓋をあけて清掃していると、「この蓋、開くんだ」「この水どこにいくの?」「なんでつまったの?」とこどもから質問攻めにあう。パフォーマンスでやってるわけではないのだが、楽しいものに見えたらしい。


11月19日(火)
1階企画展示室に、新たに「ラピュタ」の内部構造を描いたパネルが追加展示される。そのためのレイアウト変更も行われ、腰板の修繕作業と場所を譲り合っての作業に。より一層壁が絵で埋まった感じになった。

鹿の"よっちゃん"がパティオに現れる。鹿といっても栗の木で作られたもので、こどもたちは「鹿だ」「馬だ」「トカナイだ」「キリンだ」とあれこれ言いながらも楽しんでいた。制作は、美術館のステンドグラスを手がけた八田さんの友人の吉見さん。ということで"よっちゃん"と命名された。


11月20日(水)
ネコバスで遊んでいたちっちゃな男の子。この時間は混雑していて交代制になっていたためか、残り時間を気にして「あと何分で発車するの?」とスタッフに聞いてきた。

入り口のドアにあるトトロのステンドグラスを「ハ○太郎」と間違える子どもがちらほら。

屋上のロボット兵を見て、「ロボット兵は電池入れないと動かないからかわいそうだよ」と説明する子もいたらしい。


11月21日(木)
最近、パンツ姿が増えた大城さん。どうも美術館と1kmほど離れた事務所との行き来に自転車を使うようになってかららしい。

屋上で、ロボット兵を指差すこどもに「あれほしい!」とせがまれたお父さん。
「だめだよ、あんな大きいの。重くてお家つぶれるぞ」と答えると、すかさず「えー、だったらしっかりしたお家作ってよ」とやられていた。


11月22日(金)
先週に続き、ジブリの美術の春日井さんが「映画の生まれるところ」で作業を行う。その部屋を担当したスタッフによると、「部屋の空気がまるで違ってくる」そうだ。ちなみに作業の最中に「本物?」といって春日井さんに触れようとした女性がいたらしい。


11月23日(土)
三鷹市の市民駅伝に美術館も出場することに。市役所の周辺13・3kmを4人のランナーで走るもので、一人やたらと張り切っている監督兼ランナーの橋田さんは、メンバーを集めるために数少ない男性アルバイトたちを口説いている。それを見た堀口さんは、「あれって時給は出るのかな? 持久走だから出るか?」と相変わらずのオヤジギャグを飛ばしていた。

企画展「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」のパンフレットが発売される。ふらふらになりながら完成させた編集担当の田村さんは、周りから好評の声を聞き、ほっと胸をなでおろしていた。


11月24日(日)
永生くんは、橋田さんに駅伝出場を強制された一人。お父さんも同じ大会に出場するらしく「父ちゃんと同じ1区に」と自ら申し出て、日夜節制に励んでいるらしい。

思い人Tさんが来場するのを朝から心待ちにしていた机さん。寒い中を受付で待っていたが、15分ばかりの休憩に行ったときにTさんは現れた。休憩から戻ってきた机さんに「橋田さんの次に間の悪い人」と有難くないレッテルが貼られた。
しかしその後、ちゃっかり館内で捜索していた。素敵な再会だったと本人のみ言っていた。


11月25日(月)
映像展示室「土星座」では、映画を見たこどもたちがいろんな反応をする。今日は、ねこのおばあちゃんが登場する場面で「ダイナミック」「ゴージャス」となぜか英語で叫ぶこどもたちがいた。一方、パンレット売り場では飾ってあるどんぐりが大人気。売り場を担当していた持丸さんは、ある子に「おねえさん、かわいいねえ」と言われ、「ありがとう」と満面の笑みで返事をしたところ、「違うよ、どんぐりだよー」と返されてショックを受けていた。


11月26日(火)
現在、あちこちを改造中のショップ。本日は休館日を利用して主に倉庫整理を行う。商品管理担当の松尾さんは、連日の追い込み作業に疲れを通り越してナチュラルハイになり、「箸がころんでもおかしい」状態だった。

地下1階常設展示室の「フィルムグルグル」に新しいフィルムが3本加わり、合計6本を連続上映するように。ようやく見られるようになったのだが、まだ作品名を決めてないのをはたと思い出した安西さんは、頭を抱えていた。

美術館新事務所改めアトリエでは、"おしりあい"仲間なるものが話題に。メンバーは西方さん、石迫さん、そしてジブリ商品部の浅野さん。3人は、ツールド信州参加に余念がない西方さんが、完走を祈願して、浅野さんから石迫さんへと受け継がれた「完走」サドルを譲り受けたという間柄で、これがホントの「お尻合い」。


11月27日(水)
クリスマス装飾の時期が近づき、北嶋さんがディスプレイ用に車などのおもちゃを買ってきた。草野さんもデートの時間に、ショップに飾るディスプレイを物色していたらしい。どんな装飾になるかが楽しみだ。

映写室のガラスに顔をくっつけて話している2人の男の子。「これ運転したいな」「むずかしそうだね」「うん」「大きくなったらまた来ようね」という会話を聞いた映写室のスタッフは、「未来の映写技師誕生の瞬間だ」と喜んでいた。

美術館では、天気や気温、風通しによってドアや窓の開け閉めをこまめに行っている。この日はいい天気だったので、ステンドグラスの窓を開けていると、急に風が吹いて落ち葉がたくさん舞い込でしまった。あわててスタッフが拾おうとするが、お客さまを巻き込んでの落ち葉拾いになったそうだ。


11月28日(木)
スタッフにとって、お客さまからの励ましの言葉やこどもたちの活き活きとした反応がなによりの元気の源。この日も「どこにいってもスタッフの方がいてくださるので、安心です。ありがとうございます」との温かい言葉をいただいた。
また、カフェの島影さんは、応対した女の子から似顔絵を描もらい、感激した面持ちだった。

1階展示室の竹林さんは、密かに"妄想おじさん"と呼ばれている。例えば、ネコバスからの無線に「ウォー!」と興奮したこどもの声が聞こえるだけでワクワクし、その子の育てられた環境や家族構成までが想像されるらしい。「さすが漫画家」と橋田さんはうなっていた。


11月29日(金)
とある会議で主役が遅刻することになり、ひまつぶしにしりとりが始まる。
「3文字ことば」の縛りに、大城さんはいきなり「ごはん」と答えてしまい、一同大爆笑。それを挽回したかったのか、次に番が回ってくる二人前からソワソワし、連想ゲームの壇ふみばりに早く言いたいオーラを出していた。

トライホークスでは、クリスマス用に折り紙でツリーを作っている。それを見た女の子たちが次々に集まり、いつのまにか折り紙講習会になることも。にわか講師のスタッフによってたくさんの折り紙ツリーが完成した。一方、レジの上には、お客さまからもらったどんぐりトトロが5つ並んでいる。その出来栄えの良さに「負けられない!」と杉山さんは密かな闘志を燃やしていた。


11月30日(土)
明日からお目見えの新メニュー「さとうさんのきまぐれグラタン」試食会が昨日、今日と行われる。おいしいグラタンに加え、新メニューのビールとハーブティーを堪能し、スタッフは大満足。が、その後の感想文提出に酔いも一気に醒める輩もいた。ちなみにメニューの「さとうさん」とはカフェのシェフの名前。

スタッフが手すりを掃除していると、2人連れのこどものうち1人が「おい、手あかをつけちゃだめだぞ。拭いてるんだからな」と言うのを聞いて、思わずジーンときたそうだ。

ショップでは、近々花嫁になるというお客さまが、バカラ製飛行石ネックレスを購入。「花嫁になる人は青を身につけるといい」という言い伝えがあるからだそうで、それを聞いた塩島店長は「勉強になった」と感激した後、「羨ましい」とポツリ。