2008年8月【夏休み企画】山﨑文雄の夏日誌


8月いっぱい通常の美術館日誌はお休みです。 「夏休み企画」として事務局長の山﨑が美術館での日々をお伝えしていきます。



縁あって

2ヶ月前より三鷹の森ジブリ美術館ではたらくことになりました
そこでの日常を
そのすばらしさを
この1ヶ月
日誌のかたちをかりて紹介していきます



8月1日(はじめまして に かえて)

日々泥寧の昏睡から覚醒し木々に浄化され通っている

(いや毎夜 深谷氏 堀口氏にしたたか飲まされ 朝起きて
井の頭恩賜公園沿いを歩いて美術館に通っているだけなのだけれど)

それにしてもむせかえる緑の匂い

30年間サラリーマンを演じ
満員ラッシュで都心の会社に通っていた僕には
このゆたかな自然とのふれあいこそが
すばらしき日々なのです

今度美術館に来られるのなら
三鷹からでも吉祥寺からでも
道すがら 木々を愛でつつ ゆったりと歩かれることを
おすすめします

それもひとつの 三鷹の森ジブリ美術館 なのです


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てくてく てくてく

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ん?ふとふりかえると   ぼくらはみんな生きている

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まんすけ橋より 玉川上水をのぞく   緑の中のマジカルミステリーツアー




特別付録:夏の映画の三十ニ選
(この1ヶ月間 僕の好きな映画を毎日1本ずつご紹介します)

①『クライマーズ・ハイ』
2008年・原田真人監督・堤真一/堺雅人主演
御巣鷹山をめぐる新聞記者たちの生き様を描きながらも
実は父と子の物語 組織に生きるサラリーマン必見 号泣必死
また記者役の堺雅人が携帯電話のなかった当時 社に連絡するため
いつもズボンのポケットに小銭を入れてジャラジャラさせる細かい人物描写にも感心



8月2日(土)

2日 まだ月の入り口
美術館の入り口 ケーキハウス


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写真(開館前のケーキハウス前 テントを張るところ)


入館前お客様の列 キューラインができる
(キュー/queue=待ち行列のこと)
ここに立ってチケットの確認をやっていると
いろんな人生が見えてくる

北の国 増毛留萌から来た小学生たち
伊丹から車を飛ばしてやってきました
間に合ってよかった
山口から初めてきましたと
僕と同じ年代の四人姉妹のかたがた
秋田大阪奈良鹿児島 

ありがとうございます
どうぞ楽しんでください

でもあわてて入らないで
入る前から
ふわふわ木ヒジキも
トトロ受付横の外壁のツタも
三鷹の森ジブリ美術館なのです


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写真(トトロ受付横の外壁 ツタがおおっている)


夏 灼熱の外エリア
護るスタッフたちをリスペクトします
僕も一日も早く一人でテントを片せるようになりますから



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

②『ペーパー・ムーン』
1973年・ピーター・ボグダノビッチ監督・ライアン・オニール/テイタム・オニール主演
家の入り口(ドア)のノックから動き出す映画
実の父娘が演じるロードムービー モノクロの映像 心あたたまる音楽
テイタム・オニールの愛らしさといったらない
10歳の彼女はこの役でアカデミー助演女優賞を受賞 でも成年後不幸に
美術館に来るすばらしい子供たちよ まっすぐ育っておくれ



8月3日(日)

クリが空から降ってきた

デッキで
「冷たいラムネ 麦酒 とうもろこしは いかがですかあ」と言ってたら
クリが空から降ってきた
一個は僕の腕の毛をかすった
あぶないっ

見上げれば木々にはあふれんばかりのせみの声
デッキの下を子猫が通り
熱さの中 時折吹く一陣の風
ここにもひとつの夏があるのだなあと

そのあと新メニューを
『ひんやり夏野菜スープとお米コロッケ』と『すこし大人のジンジャーエール』
スープおいしい!
いつも居酒屋メニューの僕には 野菜たっぷりで 本物の味がし
すこし大人になったような気がした
安野くん 野菜は食べないと

着任来 何度か厨房やデッキで働かせてもらっているのだが
開店から閉店後の後片付けまでスタッフは休むことなく 動き働き
北京オリンピック選手団もえらいのだろうけれど
カフェのスタッフも素晴らしいアスリートなのです
これからも 素敵な連携 見せてください


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降ってきたミドリのクリと
『ひんやり夏野菜スープとお米コロッケ』と『すこし大人のジンジャーエール』


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デッキから見た カフェの裏 
静謐としていて マイ サンクチュアリ なのです



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

③『ディナーラッシュ』
2001年・ボブ・ジラルディ監督・ダニー・アイエロ主演
実在するNYCはトライベッカのイタリアレストアンを舞台に その一夜を描いた
群像劇 戦場のごときレストランの描写は臨場感あふれ 
僕がカフェ『麦わらぼうし』の厨房に立つ時 いつもイメージしています
ラストのどんでん返し 今までで一番驚いた(あっとおどろくタメゴロー 古っ)



8月4日(月)

物心ついたときから動物が好きだった
小学生の頃の夢は動物園の園長になること
そのなかでも猛禽類と呼ばれる
するどい嘴と爪を持つ鳥たちに惹かれた
孤高な彼らの習性と己の性格が似ていたからか(うそ)
われがアシタカと称されるゆえんか(うそ2)

そんな猛禽類が美術館近くにいた
「ポキショップ風の駅」
三鷹産の商品や観光情報を発信するお店
そこに毎週鷹匠の方が連れてくる
まさかここでで会えるとは
三鷹の森ジブリ美術館 
近隣もまた奥深いのです


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生後2カ月のハヤブサ 時速300キロで垂直降下するそうな

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ベンガルワシミミズク 狩りのため羽音が全くしないそうな

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アメリカ生まれのハリスホーク 僕を威嚇している
以上 三鷹は『ポキショップ風の駅』の三鷹



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

④『ボーン・スプレマシー』
2004年・ポール・グリーングラス監督・マット・デイモン主演
孤高な情報員ジェイソン・ボーンを演ずるマット・デイモン 冒頭からほとんどセリフなく
その表情行動だけで はじめは 喪失感を 後半は 怒りを表現した
カメラを揺らせてドキュメンタリーのように撮る同監督の手法も確立された傑作



8月5日(火)

休館日
15時開演の『久石譲in武道館』に
九段下の駅を降りたら雷を伴う大雨
It rains cats and dogs  やれやれ
滝のようになった道を修行僧のようになりながら
それでも到着 
ややあって始まる

「もののけ」で泣いて
「ラピュタ」で泣いて
「千尋」で一人泣いて
河島英五状態

でもなによりも感動したのは
観客のみなさんのあたたかい 力強い拍手

ライヴには数え切れないほど
行っているはずなのに はじめての体験

美術館のスタッフたちとも
いっしょだったのもうれしかった

激しさを増した雨の中
雨季を迎えて歓喜のマンドリルのように
踊りながら坂を下りた

ザーザージャブジャブズンズンズルッドテッ
(大手門の辺りでこけた)

特別付録:夏の映画の三十二選 (この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)


⑤『キッズ・リターン』
1996年・北野武監督・金子賢/安藤政信主演・久石譲音楽
北野映画の最高傑作 
ラストの自転車で校庭を回るシーン 二人のセリフと久石さんのロンドのような音楽
傷ついた二人の心情とそれでも未来を暗示させて 思わずうなった



8月6日(水)

今月 美術館で上映中
日本のことばで綴った
ジブリの森のえいが 『やどさがし』

「たとえば日本語で
雨が降るということをあらわす場合
しとしと とか ざーざー とか
いろんな表現がありますねえ
英語にはありません 
私はすばらしいと思いますよ」

幼少の頃 代々木上原で育った
映画『西の魔女が死んだ』の主演女優
サチ・パーカーさんがしみじみ日本語で話してくれた

あらためて見て そのことを思い出した

映像展示室の中原くんは
「こどもたちが一番笑う映画なんです」と
僕がアテンドした会社役員の方は
「むずかしい映画ですねえ」と

成長の過程で身につけた価値感
フキのリュックに全部つめ 肩からおろして見てほしい
ジブリの森のえいが 『やどさがし』


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特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑥『市川崑物語』
2006年・岩井俊二監督・市川崑監督の軌跡を描いたドキュメンタリー
市川崑監督の 妻である和田夏十へのラブストーリー
市川崑監督へ 岩井俊二監督からのラブストーリー
そしてまた日本語で魅せる映画 すばらしい



8月7日(木)

開館からレジに立たせてもらう
開店と同時に人が押し寄せる
11時30分 さらに多くの人たちが
まるで水魚の大波のよう

中にはポニョのぬいぐるみを 
抱きしめてはなさない女の子も

かつての経験からいうと
小売としての坪効率は最高水準だと思う

それを支えるショップスタッフの働きも永続的で

販売して発注して納品があり荷解きをして陳列をして
レイアウト変更をして販売して発注して納品があり・・・

頭が下がります

スタジオジブリが作り出す作品群も唯一無二だが
ここも
メトロポリタンにもMOMAにもない ミュージアムショップだと誇りたい

ポニョの夏 日本の夏 あつい夏
今を ともに生きている実感 に 感謝


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ショップの草野さん撮影
映画少女の撮る写真は映画のカットのよう



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑦『セント・オブ・ウーマン』
1992年・マーチン・ブレスト監督・アル・パチーノ/クリス・オドネル主演
盲目の退役軍人アル・パチーノがガブリエル・アンフォーとカフェで踊るタンゴ
それを見るだけでも価値がある
52才のアル・パチーノ 彼はこの作品でアカデミー主演男優賞受賞 むべなるかな



8月8日(金)

今日は美術館のアトリエに行った

アトリエには 行くたのしみがあり
それは シャカに会えるからであり

シャカ
14歳と半年のイングリッシュセッター 男性

シャカは毎朝通勤してくる
シャカのその黒目の瞳は若々しさに満ちていて
とてもすてきな顔をしている

実家が四国犬(柴犬より大きな中型の日本犬)を
何頭も飼っていたこともあり
幼少の砌より たくさんの犬たちと過ごし
自分では 『海辺のカフカ』のナカタさんよろしく
犬語を理解すると信じてうたがわない(あやしい)

いちどゆっくりはなしてみたいものだ


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そして 今日の最後 入道雲が夕焼けに染まった

北京オリンピックの狂騒をよそに
静かな正しい日本の夏がここにある

三鷹の森 ジブリ美術館


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写真では伝えきれない しっかりと頭に刻んだ
この夕焼けもあと何回みれるやろか・・・



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑧『象の背中』
2007年・井坂聡監督・役所広司主演
キャスティングやストーリー自体がとりざたされ 大きなヒットにはならなかったが 
展開の早さや編集の手際よさでは秀逸な映画だと思う 人生の最後をどう生きるべきか 父(役所)が息子に病気を告白するシーン 兄が弟(役所)に心情を吐露するシーンでは 人生が重なる 



8月9日(土)

第四十一回三鷹阿波踊りの日
美術館よりは22名が 
総員70名のみかた市役所連に参加し 乱舞する
メンバーは6月より練習を開始し 自主練をくりかえし 今日に臨む

阿波踊りは徳島県固有のもの
よさこい踊りは高知県固有のもの
だと思っていた

それが今では日本各地に広がって

三鷹市の四十一回というのも すごい

汗びっしょりで踊るその姿は りくつなく 美しい
地元密着
それも美術館にとって 大事なレーゾンデートル


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ダンス ダンス ダンス

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神の子どもたちはみな踊る

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若手にまじって 中年の背中も


祭りの後の寂しさは
と唄ったのは吉田拓郎
終わったあとの寂寥をもみんなには
しっかり受け止めてほしい



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑨『リトル・ダンサー』
2000年・スティーヴン・ダルドリー監督・ジェイミー・ベル主演
とにかく ジェイミー・ベル扮する男の子が 踊る 踊る 踊る どこでも踊る 
成長した主人公に 本物のロイヤルバレエ団のアダム・クーパーが扮し 見事なラストシーンを見せる(見せないのだけれど) 映画とはかくあるべし エンドクレジットにも興奮 



8月10日(日)
『若い血潮』と『年の功』

8月9日(土)午後6時 三鷹市中央通り


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やはり若い血潮のたぎりとひたむきさは感動的であった


さて
人は年をとるにつれ
肉体的には衰えるものの
さまざまな経験を重ね
厳しい修行や研鑽を積み
精神的には悟りが開かれ・・・

うーん いいすぎ

まあ 年をとるということは
いろんな失敗もいっぱいして
自分のいい面わるい面もわかり
その限られた能力とうまくむきあっていく
コツを身につけられるということでしょう



美術館では百十余名のスタッフがはたらく

そのほとんどが若い人達だが 
中には人生の先達もいて
その経験を活かしはたらいている

若いみなさん
ぜひ先輩からそのコツを盗んでください

三鷹の森 老若男女の 連携で 唯一無二の ジブリ美術館

かなり字余り


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合計年齢253才
美術館のF4 "Oldies but goodies"
映画"その後の花男ファイナル"



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑩『男はつらいよ・花も嵐も寅次郎』
1982年・山田洋次監督・渥美清/沢田研二/田中裕子主演
今度あの子に会ったらこんな話しよう あんな話もしよう そう思って家出るんだ
いざその子の前に座ると全部忘れちゃうんだね で ばかみたいに黙りこくってんだよ
そんなてめえの姿が情けなくって こう 涙がこぼれそうになるんだよ な
女に惚れてる男の気持ちって そんなもんなんだよ

と失恋48連発の寅がいう けだし名言



8月11日(月)
『武重さんが美術館にやってきた』


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た 武重さんが美術館にやってきた

武重洋二さん
フィラデルフィア生まれ
『となりのトトロ』でスタジオジブリ作品に初参加
その後 背景としてジブリ作品に参加
短編『ON YOUR MARK』で初の美術監督に
以後『もののけ姫』
『ホーホケキョ となりの山田くん』
『千と千尋の神隠し』
『ハウルの動く城』
『ゲド戦記』の美術監督を務める

す すごい人なのだ

なにか美術館の手伝いができないかと
少女の部屋で
カーボン紙を使い 『ハウルの動く城』で使用した
レイアウト用紙を転写して色をつける
という仕事をしていただいた

おおぜいの人が立ち止まり 集まり
真剣に見ていた とくに まなざしがいい
すてきなすばらしい空間ができあがった

宮崎監督のいう
『アニメーションの新しい見方が生まれてくる場所』が
できあがった

武重さん ありがとうございました



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑪『コンタクト』
1997年・ロバート・ゼメキス監督・ジョディ・フォスター主演
『フィラデルフィア』でオスカーをとったトム・ハンクスが主演した『フォレスト・ガンプ』を監督した
ロバート・ゼメキスの作品 SF作家カール・セーガンの大ベストセラーの映画化
地球外生命体の存在を信じるジョディー・フォスターの情熱と25光年離れたこと座の
α星ヴェガから届くメッセージ音 感動必至



8月12日(火)
『夏の自然の美術館』

カフェの新メニュー
『色とりどりの夏野菜ガレット』を試食
これでもか と 野菜がのっていて
こんなにもかいな と とまどうばかり
でも野菜の新鮮さとその素材の良さで
きちんと食べれてしまうのだよ

さらにいうと大人の方は
ヴァイツエン生麦酒とともに


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安野くん 野菜を食べないといけないのだぞ 2


夕方近く 沢登特派員より 
セミが羽化を始めたとの連絡が入り
ケーキハウス前に急行

セミとひとことで言っているが
物の本によると

動物界 節足動物門 昆虫綱 カメムシ目
頚吻亜目 セミ型科目 セミ上目の
○○セミ 
なのだ ふう

他の個体に襲われぬよう 夕方ごろから
羽化を始める
とある

まさしく いまですね
3~17年の地中生活を終え 短き成虫生活に向け
旅立つ瞬間

がんばれよお またこいよう と みんなで声援を送った


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うーん ぷるぷるぷる(市川くん撮影)

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特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑫『フライド・グリーン・トマト』
1991年・ジョン・アヴネット監督・メアリー・スチュアート・マスターソン主演
もうずいぶん前に見たのでおおかたの筋は忘れてしまったが 女性たちの友情物語で 主人公が経営するカフェが出てきて そこの名物がフライパンで炒める
フライド・グリーン・トマトだった おもわずおなかがなった 共演のメアリー・ルイーズ・パーカーの美しさにも目をみはった 誠実な監督の誠実な映画



8月13日(水)
『厨房ですよ』

夏のまっただなか

今日はカフェ厨房の洗い場を手伝わせていただく
一連の流れは
お皿やグラスをトレイに置き 
食洗機に入れ
取り出して拭いて棚に片付ける
というもの
ただし洗うのは熱湯で
その熱さははんぱではない
洗い終えた食器に即さわろうものなら

アチー アチョォエーッ!

開店前 調理用のバットやボールなどを洗う
まあまあ余裕

開店後 30分過ぎぐらいから お客様の食べられた後の
お皿 グラス シルバー(フォークやナイフやスプーンたち)が
ぞくぞくやってくる
その間に調理用のバットやボールもやってくる
まだ余裕

さらに お客様が重なり重なり
お皿お皿グラスグラスうすいグラス(取り扱い注意)カップにお皿に
バットにトングにシルバーにお皿お皿さらさらさらさら・・・
♪お・さら・さら なるようになる~(無言 冷や汗 ふらつき)

開店前から閉店後まで休みなく続く
永遠にも感じられる
タフでハードな仕事なのだ

僕は手伝いだからよいものの
日々の仕事として取り組んでらっしゃる方々
ほんとうにお疲れさまです

でも終わったあとはここちよい疲労感
今日も元気だビールがうまい


夏のまっただなか

こんなに夏を感じたことは久しく なかった
生きている 気がする


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夏のある日のロボット兵 武重さんが書かれた



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑬『ゴッド・ファーザー』
1972年・フランシス・フォード・コッポラ監督・マーロン・ブランド/アル・パチーノ主演
ゴッド・ファーザーを継ぐことを決心したマイケル(アル・パチーノ)が お葬式で見せる表情
万感胸に迫るものがある 封切を見た当時 17歳の僕は その素晴らしさがよくわからなかった 今でこそわかる 噛めば噛むほどよくなる するめのような映画 
当然part-2 part-3 も 続けて見なければならない 



8月14日(木)
『地上202mから眺めてみれば』

今日は財団の仕事で
新宿は生活文化スポーツ局に
大口さんと出かけた

西口のポニョの展示に感嘆の声をあげつつ都庁へ
着いてすこし時間があったので
地上202m45階の展望室にあがった

見渡せば 
南東のほう つまり都心部には
六本木ヒルズやミッドタウンなど
スカイスクレイパー(高層ビル)が林立し 世紀末の様相を呈し
西のほう 我が武蔵野方面には
一切高いビルが見当たらず 遠く山稜まで見通しが利く

どちらを志向するかは その人によるのではあろうが
西部方面があるのなら東京もまだ捨てたものではないなと

一刻も早く美術館に帰りたいと思う山﨑なのであった


その美術館では本日より8/31(日)まで 
吉澤章さんの『創作折り紙』展が
1階北側廊下で展示されている


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折り紙を『ORIGAMI』という世界共通語にまで高めた
その作品群はすばらしい
今回はこどもたち向けに動物が中心

特に昆虫がいい



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑭『tokyo.sora』
2001年・石川寛監督・板谷由夏/井川遥/本上まなみ主演
石川監督の映画作りの特徴は脚本がないこと 状況を説明し役者と現場で
作り上げていく 東京の空の下 6人の女の子の物語 なにも起こらない日常 その中で生きていく6人 別に彼女たちに限ったわけではないと僕も共鳴した 監督のこの手法は次の作品『好きだ、』につながり結実する



8月15日(金)
『厨房ですよpart2』

今日もカフェ厨房の洗い場を手伝わせていただく

僕がここが好きなのは
ときおり手を休め見る
ホール内のお客様のかおかおかお

中にはいられて ほっと
お料理が運ばれて わっと
食べられて ぱっと
輝く

いくらでも洗いますよ
勤勉なアライグマのように
その笑顔のためならば

とおくデッキでは
ラムネ売りの声

15時 今日はひなたの温度が40度あるよ と
佐藤のじっちゃんが告げにきた

2008年8月 唯一無二の夏を満喫

三鷹の森 ジブリ美術館


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終わって
『豚モモ肉のフルーツソース煮込みとたっぷり夏野菜ごはんプレート』と
『まんまるぶどうのゼリーソーダ』ととうもろこし(半分)をいただく
おいしさが五臓六腑にしみわたる
豚モモ肉と雑穀ごはんのみに手を伸ばす安野くんであった



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑮『タイタニック』
1997年・ジェイムス・キャメロン監督・レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット主演
3時間を超える長さながら 展開は早く 特に人の生きる意味をワンシーンで表したラストの革新性には劇場で見ていて おもわずうなった 興行収入世界NO.1の記録を打ちたてアカデミー含め数々の映画賞に輝く 同監督はその後11年にわたり沈黙を守り ついに来年 最新作が公開予定である 



8月16日(土)
『チェック&ダッシュ』

スタッフに教わりながら 何回目かの
外エリアを手伝わせていただく

チケット バウチャーを チェックする
バスが到着したら ダッシュして
「入り口はこちら チケットをご用意して」と叫ぶ

チェック&ダッシュ チェック&ダッシュ
(フィッシュ&チップスではない)

今日の午後2時の回だと
1614と覚え あとは大人 子供の 
券面をすばやく確認する

動体視力が必要とされる
そのため 老眼を装着している
したがって 遠くは見えない

1614 1614 1614 1616 ん?
「申し訳ありません まだ入館できません
時間になったらまた来てください」

首に巻いた保冷剤もあっというまに溶ける

終了後 脱水状態で 制服を脱いで
事務所に戻ろうと 信号待ちをしていたら

「さっき入り口にいた人でしょう」と声かけられた

2時間ほど前に入館された 群馬から来た女性の方

大汗かき自己完結的肉体労働じゃない
人とのつながり的肉体労働 外エリア


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事務所(美術館はどこの窓からでも緑が見える)

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おや 虫カゴ?

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おお アゲハの幼虫が葉っぱをモリモリ食しているぞ



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑯『いつか読書する日』
2004年・緒方明監督・田中裕子/岸部一徳主演
主人公(田中裕子)は50才の独身女性 朝は牛乳配達 昼はスーパーで働き 毎夜読書し 静かな日々を暮らしている そして・・・ 日常を淡々と描きながらも 極上のラブ・ストーリー
同世代の僕は身につまされた 喜びは一瞬であり そのほとんどは 無為の日々の積み重ね
なり 製作はシネマアンジェリカの畠中基博さん



8月17日(日)
『あの鐘を鳴らすのはあなた』

今日は雨模様のくもり空
ほっと一息な日

今週は 開館の鐘を 練習した
プラクティス プラクティス プラクティス
無線をすると
「室井さん 青島です」と言いそうになるし
緊張するし
鐘はうまく鳴ってくれない

ためがないとか
その動作が もののけの猩猩(ショウジョウ)のようだとも
愛情たっぷりの評価
ありがとうございます

まあ
正確には ヒトもサルであるし 
僕も昔はボノボって言われてたし 
やれやれ

でも あの長島だってデビューは散々だったんだから(古っ)


霧雨の中 午後打ち合わせで ジブリに

風の駅でバス待ってたら
「カァー!」と
前述のハリスホークの手荒い歓迎を受けた

夕方からは本降りに
急激に気温が下がって
夏もそろそろ

♪終わりかな と思ったら 泣けてきた

ゆく夏を 惜しむ三鷹の森 ジブリ美術館


ボノボ:別名 ピグミーチンパンジーともいう ボノボは 人間とチンパンジーが 共通祖先から分かれた後に チンパンジーから 種分化した類人猿である 頭胴長約60cmで 小型で手足の長いのが特徴


共生する植物たち
(美術館には動物ばかりでなく植物も数多く
北嶋さんにそのほんの一部を教わった)

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ドクダミ

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シュウメイギク

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クサソテツ

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左・ミズキ/右・クヌギ

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フユツタ

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ムラサキ と 羽化しようとする
セミがまたしても右手の方に



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑰『再会の街で』
2007年・マイク・バインダー監督・アダム・サンドラー/ドン・チードル主演
9.11で家族(妻と三人の娘とプードルも)を失った男をアダム・サンドラーが それを支える(支えられる)友人をドン・チードルが 演じる 映画とは すべてを見せるものではなく
想像させるものであることをあらためて痛感する ザ・フーの音楽もよい
話すことで 癒されていく傷がある 映画『再会の街で』 



8月18日(月)
『day off』

今日は休みをとった

休みには渋谷道玄坂上のジムに行く
ことにしている

10種類以上のマシンを使った
1時間のウエイトトレーニングと
そのあと
ベルトコンベアの上を
30~40分
歩く(少しだけ走る)

しっかりしたトレーナーが
基本を教えてくれるので
この半年で体が変わった
体が変わらなければ
美術館ではつとまらなかったと思う

つまり
ショップレジ カフェ厨房 外エリアには立ち続けられない
ラムネの箱は運べない
デッキの椅子や重しは片づけられない
テントはたためない

毎日2,400人のお客様をお迎えする
大変さを思い知った
2008年 夏
三鷹の森 ジブリ美術館

「肉体が変われば 文体が変わる」
とは 村上春樹さん
「肉体が変われば 身体がいたい」
とは 僕
やれやれ



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑱『ディア・ハンター』
1978年・マイケル・チミノ監督・ロバート・デ・ニーロ/クリストファー・ウォーケン主演
ロシア系移民の鉄鋼の街ペンシルヘバニア 盛大な結婚式のあと 新妻を残してベトナムの戦場に
送られる
三人の親友のその後の運命を骨太に描く ギターの調べにのせたラストが時の流れと変わらぬ友情を描いて悲しくもあたたかい 
ディアハンターであるロバート・デ・ニーロは戦場から帰還後 鹿を打たない ミジンコを食べなかった もんもんのように



8月19日(火)
『one fine day』

休館日を利用して
こどもの時間2008が開催された
訪れた子らは565人
こどもたちの生き生きとした笑顔や動きの数々
それにもまして いい顔をしているスタッフたち
すばらしい一日だった
こどもたちよ
スタッフたちよ
ありがとう

その一部を広報が撮ってくれた写真で紹介します
でも 写真では伝えきれない one fine day

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開館を待つ中央ホール

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ぞくぞく

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クラゲの森を抜けて

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おねえちゃん 手をつないでてね

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男鹿さん 八面六臂の大活躍

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バッタ いるかな

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♪見ろよ青い空~

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飛ぶのも必死 回すも必死

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螺旋階段てんこもり

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再会のとき スタッフはおおわらわ



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑲『ダーウィンの悪夢』
2004年・フーベルト・ザウパー監督・ドキュメンタリー
数百種の固有種のすみかで、"ダーウィンの箱庭"と呼ばれていたヴィクトリア湖に放たれた外来魚 ナイルバーチが巻き起こす悪夢のドキュメンタリー ナイルバーチは湖のすべての種を食べつくす一方で 白身魚として世界に供給され資本主義経済社会の一端を担う  最貧困にあえぎながらも そこで生きなければならない子供たち 世界は広く 混沌に満ちている



8月20日(水)
『飯田橋ギンレイホール』

映像展示室で
岩井さんといっしょに映写室に入り
『やどさがし』を見させていただいた
感激 である

前説の最後 スタッフが紹介する
帽子を脱いで手を振る岩井さん
上映中も手をぬくことはなく
きちんと映っているか目を光らせる岩井さん

その人柄で全国にファンを持つという
映写技師人生 五十五年
その出発点は 飯田橋ギンレイホールだという

あらためて ジブリ美術館が
映画の美術館だと 再認識させてくれる
映像展示室

芸術は技術に支えられている


美術館 夏の風物詩

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孤独に歩む仔猫の午睡

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脱皮直後の蟷螂

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かなり本気 オレオレ

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特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

⑳『ニュー・シネマ・パラダイス』
1989年・ジュゼッペ・トルナトーレ監督・フィリップ・ノワレ/ジャック・ペラン主演
イタリアシチリア島の村の小さな映画館 映画に魅せられた少年トトと、映写技師アルフレード
映画への愛情が触媒となって 世代の違う二人の心をつなげていく 建物の壁に映画を上映するシーン 思わず胸がすくむ 映画って 本当にすばらしい 30年の時を経て贈られる
アルフレードからトトへのプレゼント ラストは涙がとまらない



8月21日(木)
『パリに行きたくなる』

今日から美術館初の試みとなるギャラリートークが始まった

1ヵ月半かけて
みんな(安野さん土屋さん小林さん島崎さん)で
ルーヴル美術館 
ルーヴルの歴史 
フランス絵画の歴史 
ルーヴル展の企画意図などを
勉強し臨んだ

その甲斐あってか
しっかりとした語り口だった
お客様も多く熱心に聞き入っていた
子供達も静かにしていたのが印象的だった
やはり気は通ずるのだろう

来週は28日(木)と29日(金)の午後に実施
今後も『小さなルーヴル美術館』展開催中は続けていく予定だ
乞うご期待


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聞き入る雰囲気が切り取れたよい写真
撮影者は安野くん
野菜摂取の効果か



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

21『21グラム』
2003年・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ監督・ショーン・ペン/ナオミ・ワッツ/ベネシオ・デル・トロ主演
『バベル』で広く知られるようになった同監督の その手法はいつも時間軸を交差させながら展開される この作品も同様 何度も繰り返される 物語のはじまりとなった交通事故の描写に 胸が痛む 21グラムとは魂の重さ 人がなくなる時 その分軽くなるそうだ 主演の三人は とも第76回カデミー賞にノミネートされた



8月22日(金)
『東海道新幹線 東京新大阪間』

午後3時すぎから午後6時の閉店まで
ショップの1号レジに入る

レジ打ちとサッカーの両方は
そのスピードと技術が不安視され
お客様にご迷惑をかけるので
サッカーは草野さんにお願いした

POSレジでスキャン
お金を預かり
レシートとおつりを渡す
カードも使われる(冷やり)
そのくりかえし
アイドルタイムがまったくない

お客様自体が多く
ショップ内は立錐の余地もないわけで
お土産需要が多く
お買い上げ点数も多いわけで
(倉本総風に)

ありがとうございます
またスタッフのみなさんも
日々本当にごくろうさまです

3時間の死闘ののち
僕はまちがいなくウエイトが落ちている
深谷さん堀口さん
今宵誘っていただいてもけっこうですよ


ショップ魅惑のオリジナル商品群

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潜水窓型キーホルダー(¥10,500)・カフス(¥9,975)・タイピン(¥6,825)

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キーホルダー 中にはクロスケとサイコロが

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sou・souとのタイアップ草履 アサブラ(¥3,900)



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

22『グラン・ブルー』
1988年・リュック・ベッソン監督・ジャン=マルク・バール/ジャン・レノ主演
この映画のモデルとなったジャック・マイヨールは佐賀県唐津市でイルカと出会い魅せられ 素潜りを始め 49歳で人類史上初めて閉息潜水で100mを超えた 没後トスカーナ湾に散骨され海に還っていった この映画を見るたび 遠く 彼のことと 海の不思議さを思う 



8月23日(土)
『bugs,worms and catarpillars』

三鷹の森 ジブリ美術館は
館内のみならず その周りすべての
ものやことによって構成されている
と 思っています

というわけで 特派員より
前にも日誌に書いた
虫の情報が寄せられる

これは吻(口先)の長さが象に似ている
ゾウムシ

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夕刻新たな情報がスタッフより届けられた
2階事務所デッキに洗ってかけていたぞうきんに
不思議な みたいなものが 5つついていた
なんじゃこりゃ
一同騒然
図鑑で調べ ミカドトックリバチの巣と判明
ミカドトックリバチは泥をこねてトックリのような巣を作る
のであった 中に卵を産み えさのアオムシを入れる
なんと 社会性昆虫の世界は驚きと神秘に満ちている

社会性昆虫
ハチの一部とアリ・シロアリは親が子の面倒を見るだけでなく その子が大きくなっても
共に生活し 大きな集団を形成するにいたる

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特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

23『青いパパイヤの香り』
1993年・トラン・アン・ユン監督・トラン・ヌー・イェン・ケー主演
同作と『シクロ』『夏至』と寡作ながらていねいな絵作りで知られるベトナム系フランス人監督の
ベトナムを舞台にしたデビュー作 主人公である少女の成長の物語 彼女は料理を通じて
成長していく 抜群のカメラワークとそれによるその供せられる料理の豊かでおいしそうなこと 
村上春樹さんが同監督による『ノルウェイの森』の映画化を許諾したのも納得



8月24日(日)
『♪unforgettable』

2週続けて日曜日は雨
昨日来気温も下がり
やはり秋の気配がヒタヒタと
忘れられない美術館の夏が行く

少しさみしいが
秋は秋で
すばらしい美術館に
出会えるのだろうと
気を取り直す

さて
美術館には
1カ月100個以上の忘れ物がある

単純計算すると
1年で1,200個
7年で8,400個

それをひとつひとつ記録し
1カ月に1回三鷹警察署に持っていく
(単に持っていくだけでなく
すべて読み合わせしている)

という地道な仕事を
総務の野村さん小池さんが担当している

ひとつでも持ち主に帰ればこんなうれしいことはない

と二人はいう


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今月の忘れ物たち



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

24『アフタースクール』
2008年・内田けんじ監督・大泉洋/佐々木蔵之介/堺雅人主演
吉祥寺で初めて見た映画 実はそんなに期待していなかった 後半席から身を乗り出した 予測不可能な展開を作り上げた監督と 役者たちの演技が光る


8月25日(月)
『Shugoshin』

1975年 夏
阪神甲子園球場 
ナイターを見に行き
外野席で 名物のカレーを食べながら ビールを飲みながら
六甲の稜線に 沈む夕日を見ていた

2008年 夏
三鷹の森 ジブリ美術館屋上
井の頭恩賜公園の赤松の向こうに 沈む夕日を見ている

甲子園よりも 屋上が すきっ 

それでも 一年中大混雑の屋上
それでも もうすぐ夏は終わる
もう少し みんながんばって


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今日も一日美術館をお守りください


特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)



25『イングリッシュ・ペイシェント』
1996年・アンソニー・ミンゲラ監督・レイフ・ファインズ/クリスティン・スコット・トーマス主演
カンヌ国際映画祭の60回を記念して33人の監督が作った3分の短編のひとつに 
クロード・ルルーシュがフレッド・アステアの『チーク・トゥ・チーク』をモチーフにした映画があった
一瞬にして『イングリッシュ・ペイシェント』を思い出し じんときた 
主役二人のダンスシーンで流れる『チーク・トゥ・チーク』  堂々たる恋愛映画 愛する人と見てほしい



8月26日(火)
『街を歩く』

今日は休みをとった2

雨の中
ジムに行き散髪に行き映画に行った
心の洗濯(全自動洗濯乾燥機)

てくてく てくてく

僕は街を歩くのが好きだ

最近三鷹や吉祥寺でも
歩いていると人に会ったり声をかけられたりする

今日でちょうど3カ月
お世話になってます

てくてく てくてく

函南優一はいう

いつも通る道
だからって景色は同じじゃない

美術館も同じ
日々表情を変える

日々の営みをいつくしむべし



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

26『家族ゲーム』
1983年・森田芳光監督・松田優作主演
映画はその中でひとつでもきらりと光るシーンを見つければ それはその人にとってよい映画だと思う 家庭教師の松田優作が 教え子の宮川一朗太を殴る そのアングルたるや
森田芳光監督 ただものではない 



8月27日(水)
『対極の存在』

運営3班が
屋上とギャラリーとネコバスとトライホークスを
管轄している

ネコバスのとなりが図書閲覧室トライホークス

みんな静かに本を手にとったり 読んだりしている
読書家の僕の好きな アカデミックな場所だ
(うそ 村上春樹さんしか読まない)

かたや
みんな汗まみれつばまみれで とびはねている
ネコバス

物事の表裏を表すかのように 対極の存在が並んでいる

ネコバスの夏は屋上からの熱気や人いきれで
中途半端ではない
ほんとうにおつかれさまです

ネコバスもクロスケも本当にけもののにおいがするのだから


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トラホに住む 若いワニ ゲーナとチェブ゙
私は52才の 若いヒト

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キノコでたあ

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綿唐傘茸 担子菌亜門 真正担子菌網
ハラタケ目 ハラタケ科 キツネノカラカサ属
キツネノカラカサ ふう



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

27『我が人生最悪の時(私立探偵濱マイクシリーズ』
1994年・林海象監督・永瀬正敏主演
僕の夢は映画館に住むこと それを実現しているのが濱マイク 横浜日劇の2階に事務所を
構えている この映画を見たとき 『傷だらけの天使』 『探偵物語』が帰ってきたあ 
と拍手喝采だった 無国籍風アクション映画『濱マイク』 小泉今日子さんもカメオ出演している



8月28日(木)
『ЩАКА kissed me』

スタジオジブリに
次回公開の三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー映画の
試写に行った

映画は見るにも 体力がいるほどの 凄い内容だった
こういう映画を一人でも多くの人にみてほしい
それも美術館のミッションのひとつだ

試写室を出たら シャカがいた
シャカは僕をなめてくれた

おお 犬語が 通じたのが シャカ
間違いなく 僕を意識しているぞ

そんなことはないのだろうけれど
やれやれ


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蝶になったあ

葉っぱを食べて りっぱに大きくなった
アゲハの巣立ちだ

安野くんは4日も野菜を食べてない



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

27『サマータイムマシン・ブルース』
2005年・本広克行監督・瑛太/真木よう子主演
人気舞台の映画化
夏の日の不思議な一日を 大学生のいいいかげんさを よくあらわし 『踊る』に通ずる
俳優陣の自然な演技とテンポよい展開で最後までおもしろく見せる 
僕はこの映画で真木よう子さんの存在を知ることになる むろん 佐々木蔵之介さんも
いつものようによい



8月29日(金)
『きのこ十一種盛』

最近スコールのような大雨が続く

大雨は僕のふるさと 高知では日常茶飯事であり
よく河川が氾濫した
ニューオリンズのように(行ったことないけど)

それが最近では ここ三鷹でも 東京でも 日本各地でも 起こっている

雨が続くと 美術館のまわりでは
きのこが大量発生 一気に成長するんですよと
深谷さんが写真を撮ってきてくれた

なんとなんと

あたり前じゃん 雨が降りゃ きのこぐらいできるよ と
リンがいう

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特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

29『ブレードランナー』
1982年・リドリー・スコット監督・ハリソン・フォード/ルトガー・ハウアー主演
僕はまだ27才 でもこぬか雨降る御堂筋で見た日のことを 昨日のように覚えてる
映画も全編雨が降っている それもある意味 未来予想だったのだろう



8月30日(土)
『美術館でわかった10のこと』

①アトリエふくめ美術館スタッフの肉体的精神的苦労はそれはもう たいへんだあ
②美術館は日々表情を変える
③美術館のまわりはさまざまな生き物たちの生にあふれている
④どこにいても緑が見える
⑤雨が降るとその木々は喜びいっそう色づく
⑥地元のひとたちとのふれあう交流の大切さ
⑦いっしょにはたらく喜び
⑧額に汗してはたらく喜び
⑨そしてそのあとのビール 人生の小確幸(小さいけれど確かな幸せ)
⑩野菜嫌いはよくない


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ん?しみ?( F階A段で)

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若きカメムシだった
美術館は日々表情を変える

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さらに 赤ちゃんヤモリも

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す、すけてる



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

30『駅 STATION』
1981年・降旗康男監督・高倉健主演
日本映画屈指の名作 高倉健さんと倍賞千恵子さんが 大晦日 北海道増毛の居酒屋で 聞く 紅白歌合戦 八代亜紀 『舟歌』 過ぎ去った昭和がそこにある 



8月31日(日)
『ありがとう に かえて』

やはり
日々泥寧の昏睡から覚醒し木々に浄化され通っている

8月最後の日 
僕にとっては この夏日誌最後の日でもある

いつも 文章を考え すきあらば 端末に向かい パタパタとキーボードをたたき 
短期間に こんなにも たくさん書いたのは 初めてだった

つねに 三鷹の森ジブリ美術館ではたらくスタッフへの
リスペクトの念をこめて 書き綴った

また自分自身とっても どこにも行かず同じ場所ですごし 夏を満喫したのも
たぶん十代以来だと思う

夏の映画三十二選には脈絡がなく 関連して思いついた映画を 紹介させていただいた
やはり最近の映画が14本と多いのは 老朽化した脳のせいだと ご容赦願いたい

みなさま全員に感謝しつつ それでは 日誌帳を閉じさせていただきます

ありがとうございました

でも

僕の美術館生活は 

まだ はじまっちゃいねえよ(映画『キッズ・リターン』より)


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ポニョの公開記念に
7月にローソン三鷹の森店のみで
配布されていた 金魚草の種
こんなに大きく育ちました



特別付録:夏の映画の三十二選
(この一ケ月間 僕の好きな映画を毎日一本ずつご紹介します)

31『みなさん、さようなら』
2003年・ドゥニ・アルカン監督・レミ・ジラール主演
ロンドンの証券マンとして働く息子は 父親の病気を知りカナダに帰国する 母親に頼まれ その父親の幸せな最期を演出することに・・・ 遂に別れの時がやってきたと解説にあり内容もすばらしい 

のですが 今回はタイトルで選びました(笑) みなさん さようなら

そして
32『もののけ姫』