2008年12月


12.1(月)

・カフェでは、冬のメニュー『とろっとあたたまる林檎のスパイシーレモネード』を飲んだお客さまが、とろみや、中に入っているスパイスに興味を持たれ、スタッフと会話が弾むこともしばしば。生みの親の丸山くんは「吉野葛を使っています。葛は体を温める効用があるそう。このドリンクは、お客さまに心と体の両方から温まってもらえるように、と作りました。」と開発への意気込みを丁寧に語っていた。

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<一口飲めば、しあわせになる温かさ。>


12.2(火)

・現在、全部署をあげて保管倉庫の片付けを実施中。広報部からは、開館当初の美術館の写真が大量に発掘された。ぴっかぴかでつやつやした美術館と今の美術館を見比べて、年月の経過で、深みのある雰囲気に変化していることを実感。毎日見ていると、中々気付かない発見が続出した。それから、人間がしっかり年をとっていることも……。


12.3(水)

・運営防災班6人が、上級救命講習を受講。前回、見事満点で合格した2人がいるだけに、プレッシャーを感じつつの受講になったようだが、6人全員が見事満点合格!2会場に分かれていたので、受講後に連絡を取り合い、合格を喜びあったそうだ。


12.4(木)

・朝一で広報部に机さんより電話が入った。「部長!天気がすごく良いので、美術館周辺の紅葉の写真をとってください!」とのこと。急ぎ出かけた部長による写真をここで、ちょっとだけご紹介。特に、三鷹駅から美術館までの風の散歩道がきれい。

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<玉川上水沿い、風の散歩道。>

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<見上げると……。>


12.5(金)

・入口でお渡しするフィルムきっぷもクリスマス仕様のきっぷに。クリスマスシーズンは初めてというお客さまが多く、いつもとは違う切符に驚き、喜んで下さっていた。


12.6(土)

・ショップでは、「これは、ママからのクリスマスプレゼントよ」と渡されたぬいぐるみを手に、瞳をキラキラさせる子どもたちをよく見かけるようになった。そんな中、「じゃサンタさんには、こっちをお願いするね!」と両手いっぱいにぬいぐるみを抱えた、ちゃっかりした子の姿を見て、「私の子どもの頃にそっくりです!」とスタッフの遠藤さん。それに対して、「今もそんなに変わらないのでは…。」とすかさず、つっこむ宮本さんなのであった。


12.7(日)

・「どんぐり食べたりできる所ありますか?」とごあんないじょカウンターにやってきた小学生の女の子。対応していた澤登さんは「どんぐり…?」と悩んでしまった。その様子を見た女の子は「違うよ!飲んだり食べたり出来る所!」と真っ赤な顔で、笑いが止まらなくなっていた。聞き間違えた恥ずかしさと、女の子の笑っている姿に、澤登さんも思わず赤くなって笑ってしまったそうだ。


12.8(月)

・12月も半ばになり、カフェのクリスマス装飾も好評のよう。そんなカフェの雰囲気を盛り上げてくれるクリスマスのメニューが10日から登場した。
まずは、クリスマスミルクティー。キーマンという世界三大銘茶にも数えられる、伝統的な茶葉に、シナモン・クローブ(スパイスは魔除けとしての意味があるとか)・オレンジピールなどをブレンド。そして、普段のミルクティーより多く、ミルクをたっぷり使って濃い目に煮出した。少し加えたはちみつの甘さが隠し味。スパイスは体を温めてくれるのでこの時期にぴったり。クリスマスシーズンに飲む特別な紅茶をぜひお楽しみください。

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今までのメニューも、ちょっとだけクリスマス風におめかし。

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そして大人のお楽しみ。今年も赤ワインが登場!ちょっと早めの晩ご飯と一緒にどうぞ。


12.9(火)

・早稲田大学で「動物農場」を見た学生たちによる座談会が開催された。100年ぶりの世界恐慌といわれる不況がやってきた現代日本で、これから社会に出る若者たちがこの映画を見て何を感じたのか…。反応は様々だったが、意外なことに悲観的になっていたり強い問題意識を持っている学生はいなく、それぞれが個人の状況に応じて世の中を受け止めているようすだった。大学を卒業して結構な時間の経っている机さんには新鮮な体験だった、とのこと。

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12.10(水)

・季節によって表情を変えるジブリ美術館。井の頭公園の木々の紅葉と落ち葉で、この時期は特に趣きがある。そして、日が暮れると一転、真っ暗な中にクリスマスツリーと、ステンドグラスの光がぼんやりと輝く。近隣に住む方々も(一緒に来ている犬たちも)「クリスマスシーズンは夜の散歩コースです」と白い息で、嬉しそう話してくれる。その表情に、ほっと心も体も暖まる外エリアのスタッフだった。


12.11(木)

・小学生の姉妹が「この子、迷子だよ」と3歳の女の子を連れてごあんないじょにやって来た。根本さんが一緒にお母さんを探したのだが、当の本人は迷子だと気付いてないらしく、楽しそう。一方、ごあんないじょでは、連れてきてくれた姉妹が「お母さんと会えたかな?」と女の子を心配して、度々ごあんないじょに来てくれていた。その後、やっとのことでお母さんと会えたので伝えると、ホッと一安心したように胸を撫で下ろしていた。


12.12(金)

・小さな女の子が、カフェの天井を指差し「えび!えび!」と言っていた。スタッフと、お父さん、お母さんは「?」。みんなでもう一度女の子が指差す方を見てみると…。

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<よ~く見てみてみたら…。>

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<え…えび!?>

女の子が指差していたのはクリスマス装飾の、しましまキャンディーだった。確かに赤と白でえび模様。「えび」の正体が判った大人たちは、思わず笑ってしまった。


・熱心に「小さなルーヴル美術館」展をご覧になっていた女性。今日はグループでお越しとのことだったが、「みんなで動くと見過ごしてしまうから」と、1人で館内を回られていた。美術館にとても興味を持たれ、次々と質問をして下さった。ご自分の時間を楽しんでいるのが伝わり、対応した磯部さんは嬉しかったそう。「たくさん話ができて幸せだったわ、ありがとう」と去って行かれたお客さまの言葉に、更に嬉しい気持ちになったのだった。


12.13(土)

・クリスマスシーズン到来で、常設展示室内に置かれている宝箱もクリスマスの装いに。宝箱を見つけた子ども達は、目を輝かせて見入っている。「いいもの見つけたよ!」とまだ見ていない友達や、両親を呼ぶ元気な声が室内に響いていた。


12.14(日)

・朝から雨が降り、とても寒い1日。そんな中、北海道からお越しのお客さまが、ショップの『ループウィラー美術館オリジナルパーカー』の暖かさにとても感激され、「この暖かさなら、北海道の寒さも平気ですね!」と、そのまま着て帰られた。対応した上野さんの気持ちも温かくなったそう。


12.15(月)

・美術館のステンドグラスを制作した八田さんご夫妻が来館。大量のくるみを持ってきてくださった。しかも、くるみ割り器も一緒に!あまり馴染みのない物なので、来る人来る人、くるみを割っては大喜び。とても美味しくいただきました。

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12.16(火)

・去年の企画展示「3びきのくま展」で使われた袋いっぱいのキノコがパティオに置かれることになった。数を調べた赤澤さんはとても嬉しそうに「108つ。わたしの煩悩の数といっしょです」と呟いていた。


12.17(水)

・美術館事務所に新しいハンガーラックを設置することに。作業にあたったのは総務の小池さんと野村さん、そして大工作業は任せろ!の堀口さん。あっという間に出来上がり、まるで最初からそこにあったかのように、ぴったりと収まっていた。

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<三鷹の吉田○作こと、堀口さんの作業姿!さわやかっ!>


12.18(木)

・カフェでは朝の仕込みの時間に、ホール担当者が手伝いに入っている。この日は渋谷さんがキッチンへ。キッチンスタッフの丁寧な指導の下、トンカツのパン粉付けをした。最初は少し不安そうな顔で教わっていたが、作業を進めていくうちにどんどん手際がよくなり、とても上手に出来きるまでに。無事に作業を終えた渋谷さんは、「始めはとっても緊張しました。自分がパン粉をつけたカツサンドをお客さまに食べてもらえるのはすごく嬉しいです!」と笑顔で話していた。

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12.19(金)

・アトリエのアイドル、シャカもクリスマス仕様。

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12.20(土)

・冬のライブラリー作品「動物農場」の公開日。渋谷シネマ・アンジェリカでは、来場したお客さまは20代の若者と50代くらいの熟年の方が半々といった感じだった。一人で来場されている方が多く、大半が片手に何らかの本を持って入場していた。当日は館長の挨拶も行われた。

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ちなみにこの日女性スタッフにはドレスコードがあり、何か「動物」に関係したものを身に着けて集合。ある人は馬のネックレス、こちらは豹ガラのスカーフ、といった具合で、初日の気分を盛り上げるのに、大いに役立ったそうだ。あとはお客さまが順調に来てくれるのを祈るのみ…。

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・カフェでは、季節柄なのか、いつもにも増してデザートが人気。とあるお客さまからは「ここのショートケーキを食べるために、チケットを取ってからの1ヶ月間、他のお店のショートケーキは食べないようにしてきたんです」と教えてくれた。「1ヶ月我慢したかいはありましたか?」とスタッフが尋ねると、「もちろんです!」にっこり笑って答えてくれました。


12.21(日)

・最近、図書閲覧室「トライホークス」にて企画展示「ピクサー展」のパンフレットを手に取る方が増えている。宮村くん曰く「WALL・E公開の影響?」か。


12.22(月)

・入口でチケットではなく、松ぼっくりを大事そうに見せてくれた男の子。「松ぼっくりは木に付いているときはギザギザは開かなくて、落ちた時に開くんだよ」とまじめな顔でスラスラと説明してくれた。お母さんに促されて先に進むと、その先にいたスタッフに更に同じように松ぼっくりの説明。きっとあの子のあだ名は「博士」に違いない、と接したスタッフそれぞれは思ったのだった。


12.23(火)

・1日の業務が終了し、そそくさと美術館をあとにするスタッフが多数。年末が差し迫り、何かと忙しい時期だが、どうやら来週行われる忘年会に向けてなにやら準備を行っている様子。毎年趣向をこらした忘年会。果たして今年はどんな催しになるのだろうか?


12.24(水)

・クリスマス・イヴなので、サプライズ企画。本日はトランペットによる「ハトと少年」の演奏で開館となった。ラピュタの冒頭でパズーが高らかに鳴らすあの曲が響くと、お客さまだけでなく、スタッフからも歓声が。しかも、偶然ハトが飛び立ち、爽やかな朝の一時となった。

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<高らかに鳴り響く。>


・午後に2回、クリスマスコンサートを実施。先月のツリー点灯式にも出演いただいたラフォルテ・ブラス・アンサンブルによる演奏が中央ホールを楽しく彩った。

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<地下から2階まで、たくさんのお客さまが。>

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<ジブリメドレーを金管五重奏で演奏。>


・いよいよクリスマス本番。24日と25日の2日間、カフェのパフェも可愛いクリスマスバージョンに変身。題して「サンタパフェ」。イチゴの帽子をかぶった愛らしいお顔のサンタクロースが乗っている。出来上がったパフェを持って行くと、「サンタさんのパフェだよ!可愛いねぇ」と喜んでくれる。カウンターでその様子を見ていたスタッフは、にやりと喜びをかみしめるのだった。

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<カウンター廣兼さんの力作!>


12.25(木)

・本日もクリスマスコンサートを実施。「ハンドベルアンサンブル東京」によってクリスマスにちなんだ楽曲が演奏された。大小様々なハンドベルがずらっと並んだ様子は壮観。しかも、全部で4オクターブに渡るベルをわずか5人で演奏。その手さばきに見惚れていたところ、奏者の後ろに座っていた子ども達が音に合わせてハンドベルごっこをしているのを発見!美しい音色を身体で楽しんでいる子どもたちがとても微笑ましかった。

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<澄んだ音色が響く。>

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<アンコールではマレットという奏法が披露された。>


・毎年の風物詩、ちょっと素敵な紙袋や包みをお持ちのカップルの方が多い。中には某大型家電ショップの大きな袋もあり、みなさまクリスマスプレゼントをもらっていていいなぁ、と隣の芝生がとても青く感じる澤登さんであった。


12.26(金)

・冬休みが始まり、館内には元気な子どもたちの姿がいっぱい。「初めて来たのー!」「トトロいる?」と楽しみにしてきてくれた様子が伺えた。カフェデッキでお手伝いを申し出てくれたり、落し物を届けてくれたり、と小さなお客さまたちとの交流がそこかしこで生まれ、スタッフを元気にしてくれている。


・アトリエでは大掃除を実施したものの…、とっちらかった広報西岡部長の机周りは残念ながら片付かなかった。溜息。


12.27(土)

・本年最後のおはなしの会をトライホークスで実施。ご家族で聞き入ってくれる方が多く、とても良い雰囲気の会となった。


12.28(日)

・カフェに、ご家族5人でご来店の小さな兄弟2人組。それぞれケーキをご注文されたそばから、待ちきれずにキョロキョロそわそわ。ついに待ちきれなくなったようでケーキケースの所までやってきた。スタッフがケーキを取り分ける姿を、じーっと見つめる2人。ケーキの準備が出来ると、「お手伝いする!」とスタッフと一緒にテーブルまで運んでくれた。口いっぱいにケーキを食べる姿は幸せそのものだった。


・閉館後、美術館の年内開館終了ということで打ち上げをおこなった。有志による出し物や恒例の館長とのじゃんけん大会などがあり、盛り上がった。また、カフェスタッフによるおいしい料理も並び、1年間みんなで労う、楽しい時間となった。


12.29(月)

・クリスマス装飾の撤収や大掃除、と年内最後の一仕事。来年の開館に向けて、各自奮闘した。

・2008年のしめくくりとして、館長の中島よりご挨拶。

皆さま、今年一年間ありがとうございました。今年は何といっても「ポニョ」の年でした。館内で子どもたちがポニョの主題歌を歌う姿を、何度、目にしたことでしょう。ジブリ美術館には子どもの声や足音が響きわたる、あの明るい、心和む雰囲気が欠かせません。また来年も多くの子どもたちが羽を伸ばし、楽しんでもらえるよう、社員・スタッフ一同頑張ってまいります。来年もよろしくお願いします。


館長 中島清文