2013年12月


12.1(日)

・12月になりました。おすすめする絵本、徳間書店『くるみわりにんぎょう』にちなみ、宮崎監督がトライホークス用に、本物のくるみ割り人形をプレゼントしてくれました。美しいクリスマスの物語のこの絵本は、本屋さんでも手にはいります。ぜひ手にとってページをめくってみてください。
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<窓の向こうでじっとみてる兵隊さんは、真夜中どうしてるのかな...>


12.2(月)

・カフェスタッフが外の清掃から戻ると、髪の毛に落ち葉のようなものがついていて、よく見て見ると鞘のような形。そおっと分解してみるとなかからは、5ミリに満たない小さな豆が出てきました。あまりのかわいさに思わず写真をとった小池さんでした。
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12.3(火)

・カレンダーや年賀状、お歳暮、更には年明けの健康診断の調節など、総務が慌しい時期に突入しました。しかし美術館の総務スタッフには、この時期の重大な仕事があります。それは忘年会の美術スタッフとしてのオシゴト。ダンボールやガムテープを駆使して小道具から衣装まで、忙しい中をさらに忙しく制作します。大口さんから「ねぇ、○○○の衣装の発注がさ、...そろそろくるみたいだよ。」と囁かれはじめました。そう、気付けば今年もあと少し。今年は一体どんな大物が発注されるのか、松島さんは若干びくびくしているそうです。


12.4(水)

・ネコバスの尻尾は、その安定感とボリュームからか、時々子どもたち専用のステージになります。今日は5歳くらいの女の子が、架空のマイクを握りしめおそらく今年一番有名になったであろう、あの朝の連続テレビドラマ小説のワンコーラスを歌ってくれました。そのメモリーには、スタッフも拍手喝采です。


12.5(木)

・ギャラリ-で開催されている「かぐや姫の物語展」を見た子どもたちから、「たっけのこっ!たっけのこっ!」と、大きな声が聞こえてきました。映画に登場する子ども達によく似た年頃の女の子が覚えていてくれたセリフのよう。「こんなに小さいからまだ座って見ていられないかなあ、って思ってたんですけど、すっかり気に入っちゃって。」と、お母さん。他にも、映画を最後まで見て大人よりも泣いていた小さな子の話や、「映画のエンドロールのスタッフの数を見て、作る人が命を削って作ったと感じる」とお話しされていた60代女性の方もいらっしゃいました。


12.6(金)

・クリスマスの装飾に使われているオーナメントに大喜びの男の子。「サンタさんに何をもらうの?」と聞いた所、「エスカレーター!縦に長いの!」という答えが返ってきたそうです。
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12.7(土)

・かぐや姫を制作していたスタジオから、自転車が2台美術館に譲られることに。早速自転車の名前を考えはじめ、<たけのこ号><かぐや号><御門号><捨丸>と、様々に意見を交換しますが、なかなか決定打になりません。現在美術館にある青い自転車には<染五郎号>というものがあり、乗り心地がよく1番の人気者なのですが、結局新しい自転車は、<染太郎号>と<染之助号>と名づけられ自転車三兄弟が誕生しました。自転車の鍵を借りていく人が、「どれがなに染号だっけ?...」と混乱して欲しいそうです。


12.8(日)

・カフェの木村くんは青森出身。お父さんからリンゴの差し入れが届きました。スタッフに一つずつリンゴを配ってくれる木村くんはまるでリンゴ農家の人のよう。深谷さんが朝礼でした話によると、大きな形のりんごは、明治初期に日本に伝わってきたそう。ヨーロッパのりんごの原種はシードルなどのお酒に使用する小ぶりなものが多かったのが、アメリカ開拓時代に荒野を行きかう人々の水分補給として、大きくて瑞々しい品種が徐々に改良されていったそうです。今でもアメリカではNew Yorkのことを「BIG APPLE」と言ったり、コンピュータ会社名のロゴがりんごだったりと、開拓と繁栄の象徴としてりんごは印象的なものです。今日も休憩室には各所から頂いたりんごがたくさん。いろいろ考えながら頂いています。


12.9(月)

・事務所でネジを落とした、という矢澤くん。何処に潜ってしまったのか、さっぱり見つかりません。必死な様子が哀れを誘う矢澤くん。周りの皆も「隣のデスクの下まで転がってるんじゃない?」「懐中電灯持ってきて!」「袖机どかしてみる?」と大捜索がはじまりました。その後ネジは無事見つかりましたが、「ついでにデスクの下を掃いて綺麗になった」と喜ぶ渡邊さんや、「今年こそ本格的に片付けるか...」と自分のデスクの足元の荷物を見て呟く滝口さんなど、ちょっと早い大掃除のきっかけとなりました。
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12.10(火)

・今日はクリスマス装飾についての取材がありました。担当の北嶋さんへ様々な質問がよせられました。さっきまでここで仕事をしてた誰かがワクワクしながらクリスマスの飾り付けしたかのような、そんな存在感の漂う各場所の設定を教えてもらいます。パティオの小屋の中は、「管理人のおじさんが、薪割り仕事の合間に冬支度をしつつ、趣味を楽しみながらちょっと一杯お酒を飲んでる、みたいなイメージ」だとか。パティオの小屋の中を窓からのぞいてみると...。
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管理人のおじさんはどんな人なのか、想像がふくらみます。


12.11(水)

・制服の青シャツに続き、うわっぱりのボタンも1つ無くなっていることに気が付いた成田さん。総務の小池さんに指導されながら、玉結びの仕方から教えてもらい、汗だくになりながらボタンを縫い付けていました。
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12.12(木)

・スタジオで暮らしていた猫のウシコが高齢のためお引っ越しすることに。ウシコ引退のニュースは、美術館の猫大好きの面々にとって一大事。皆、機会を見つけて最後に会いに行こうと考えるのでした。
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<直近のウシコさん>


12.13(金)

・昨日は次回作『思い出のマーニー』が発表になりました。トライホークスにある岩波少年文庫の『思い出のマーニー』も、気なり手にとる方が増えています。


12.14(土)

・カフェではまた面白いピーマンが発見されました。たくさんピーマンを切っているとマトリョーシカのように、ピーマンの中から小さなピーマンが出てくることがあります。この日は、展示室にいる"ジブリブリ"のような色と形のピーマンが中で育っていて、愛らしくてなかなか切ることのできないスタッフでした。
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12.15(日)

・寒さが厳しくなり始めたこの頃。屋上から「寒い寒い!」と言いながら前を歩く男性の手を、後ろにいたお連れの女性がパッと握っていました。その直後、2人はもじもじしています。女性は「暖かそうな手があったから...」と赤らみながら俯き、男性も「そうだね...」と言いながらポッと赤くなっています。お2人の初めての何かが今この瞬間だったようで、なんとなく辺りの空気も少し暖かく見えるのでした。


12.16(月)

・今年最後の読書会のテーマは、『モモ』や『はてしない物語』で有名なドイツの作家、ミヒャエル・エンデでした。幼い頃からのファンという者も多く、年季の入った本を持参したスタッフもいましたが、澤登さんもその一人。その大切な『モモ』の本を久しぶりに開くと、中から一輪の押花が...。なんと初恋の人にもらった押花を、一番大切な本にはさんで取っておいたそうなのです。『モモ』は時間が一つの鍵となる物語なので、まさに時間を越えて初恋の想い出と再会した澤登さん。歓声や悲鳴があがっていました。


12.17(火)

・公開中の『かぐや姫の物語』の原動画は、普通のアニメーション映画の3倍と言ってもいいほどの手間のかけられた作画枚数がありますが、その保管整理が始まりました。4人がかりでどんどんダンボールに詰めていくと、なんとその数87箱!作業が終わる頃にはみんなかなりの疲労だったそうですが、「中身の入ったダンボールを所定の位置に動かす」という係だった西岡さんは、翌日腰をさすりながら出勤したそうです。


12.18(水)

・雪の予報の出たこの日。カフェでは、この冬初めて薪ストーブに火が入りました。ストーブをつけるとパチパチという音と薪の燃える良い香りが店内に広がり、開店作業でバタバタとしているスタッフもストーブの前でつい足を止め火を眺めて行きます。以前来店された時にはストーブの季節ではなかったので、火が入るのを楽しみに本日いらしたというお客様もいて、ストーブの周りは盛り上がるのでした。


12.19(木)

・『かぐや姫の物語』絵コンテが、本日より常設展示室内の"絵コンテ室"でも閲覧できるようになりました。地下1階のジブリハウスでも、閉じていた部屋の窓が新しく開け放たれています。
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<気づいていましたか?>


12.20(金)

・新年から始まる新メニューの撮影が行われています。カフェスタッフと広報スタッフがメニューの内容や具材、制作工程などを話しながらの撮影ですが、各メニューの担当者とも、湯気の立つ熱いメニューに負けないくらいの熱い想いを語っていました。新メニュー開始が楽しみです。


12.21(土)

・トトロの受付前で、カメラを持ったお父さんと男の子。「お父さんと一緒に写真撮ろうか!」と頬をゆるめ嬉しそうなお父さんに対して、3歳くらいの男の子は、「やだ。トトロと撮る。」ときっぱりとした返答をしていました。
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12.22(日)

・海外のお客様から、耳かきを指差して、「ティースプーン?」と質問が。更に足袋下を指差して、「ミトン?」と尋ねられ、正しい使い方をお伝えすると、「なるほど!」と目を丸くされていました。日本らしい物の形に、興味津々のご様子で手に取られていました。


12.23(月)

・毎年サプライズで行うクリスマスコンサート。今年は、なんとL.A.からプリシラ・アーンさんがゲストとして登場。13時と16時40分の回の2ステージ、6曲ずつのミニコンサートを開催しました。
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プリシラさんは、「ここは私が世界で一番好きな場所です。コンサートが出来るなんて、夢の中にいるみたい」と日本語で話してくれました。今年のクリスマス装飾のモチーフ、光が透き通りゆらめくガラス風オーナメントと共鳴しあうかのように、澄んだ水のような透明な歌声が館内中に響き渡ります。
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<『やさしさに包まれたなら』歌唱中>
『ひこうき雲』では思わず聞き惚れて自然に涙をこぼすお客さまもいらっしゃいます。少し潤んだ熱い目で歌ってくれたプリシラさんからの、柔らかく光り輝くような、時間のプレゼントでした。


12.24(火)

・「夜にケーキを食べるからここでは食べないからね!」とお母さんに言われて残念そうな女の子。どうしてもカフェ麦わらぼうしのケーキを食べたい様子で悲しそうな顔の女の子を見たお父さんが、「クリスマスくらい良いかぁ...」と家族でカフェへ。一足早めのクリスマスが嬉しそうな女の子でした。


12.25(水)

・ショップの新商品 "どうぶつみき"は、入れ代わり立ち代わり子どもたちが遊びに来ては、熱心に積んで遊んでいます。小学4年生くらいの男の子グループが積み木を鼻に当てクンクン嗅ぎ始め、「こっちの木は甘い匂いがする。」「こっちはちょっとツンとするなあ。」と、木の種類にごとに匂いをかぎ分けています。その姿はまるで木のソムリエのようでした。
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12.26(木)

・本日は、2013年最終の開館日です。スタッフも明日の出勤後は年末年始のお休みに入りますが、最後に気を抜いたりしないように、もう一度しっかりと引き締め直しています。
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<2013年最後の入館時間、16時の回>

2014年も、この美術館で何か予感をかきたてられて、新しい何かを生みだしてくれる子どもや大人をお待ちしております。来年もどうぞよろしくお願い致します。