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館長日誌 5月

第74回 「3びきのくま展」のお勉強(2007.05.01)

今日は、5月19日から始まる新企画展示「3びきのくま展」について、各部署の主要メンバーが集まって勉強会を行いました。
ほぼ1年前に、宮崎駿監督が「3びきのくま展」をやろうと言い出したとき、この展示で何をやろうとしているのかが私には全くわかりませんでした。絵本を読んでも、これがまた意味不明。
女の子がくまの留守中にくまの家に入り込んで、勝手にスープを飲み、椅子を壊し、ベッドにもぐりこんで寝てしまう。くまが帰ってきて怒り出すと、女の子は逃げちゃったというお話。状況説明のみで、読み終わった時あっけにとられます。何を言いたいのかよく判らないお話なのです。
宮崎さんからも「中島さんはこの話が何だかわからないでしょう!」と言い当てられましたが、私だけでなく、たいがいの大人にとっては何を伝えている話なのか判らないと思います。
でも子どもには人気の絵本なのです!
その絵本の魅力の謎を解き明かそうというのが今回の展示。絵本に出てくるくまの家を立体で再現し、実際にその感覚を味わってみる。また、高畑勲監督の作成したパネルでもってこの絵本を読み解いてみる。すると、少しはその魅力がわかったような・・・。
でも、本当のところは、子どもの純真・素朴な心がないと判らないのだろうと思います。
ということで、今日は10数人集まって、子供心がわかる二人 高畑・宮崎両監督がこの展示にこめた思いや考えをみんなでひも解き話し合ったのでした。




第75回 パンダコパンダなら・・・(2007.05.02)

宮崎監督が描いた「3びきのくま展」のイメージスケッチを最初に見せてもらった時、思いついたのは「長くつ下のピッピ」と「パンダコパンダ」でした。そして、「同じ展示を『パンダコパンダ』をモチーフに作ったら、お客さんが大喜びするぞ!3びきのくまよりよっぽど受けるぞ。」と俗っぽいことを言ったのを覚えています。
「長くつ下のピッピ」でも、「パンダコパンダ」の主人公のミミちゃんにしても、大人に管理されていない状態で、素のままの子どもがどんなことをするのかが描かれていると思います。大人の常識では想定できないこと、善か悪かということでは割り切れない行動をとることが子どもにはあります。高畑・宮崎両監督は以前からそうした大人の常識や規範に毒されていない子どもの根源的な力を大切なものと考え、作品に反映させてきています。
「3びきのくま」の女の子も、子どもが本来持っている興味や好奇心でもって留守宅に入り込んだらいったいどんなことをするのか。大人にすれば何でこんなことを、と思うことでも、子どもにとっては興味津々。しかも、くまの家という恐ろしい設定の中で行われるから、読んでる子どももハラハラ、ドキドキするのでしょう。
そんなことを今回の展示では疑似体験できます。展示室に作られた、どでかくて恐ろしいくまの家の中で、子どもたちはどんなことをするでしょうか?今から楽しみです。




第76回 アニメーションにできない!(2007.05.03)

宮崎駿監督は、トルストイ文、バスネツォフ絵の「3びきのくま」(福音館書店)はアニメーションにできないと言っています。こんなに子どもたちに支持されているお話なのになぜでしょう?
宮崎さんはこの絵本をもとにアニメーションを作る工程を企画展示でお客様に見せることができないかと考えました。しかし、最終的にはこれは映画に出来ない。映画にしたらチープなものになってしまう。子どもは、この絵本をもとにいろんな想像を膨らませている。どんなにうまくアニメーションで表現しても、子どものイマジネーションには勝てない、と結論づけました。
そして、子どもに素晴らしいイマジネーションを喚起させることのできる“言葉の力”と“絵の力”がこの絵本にはあるんだということなのです。
この絵本は教訓めいたことを伝えようとしているものでもなく、面白いお話を聞かせようとするものでもありません。子どもが何かを感じ取って考える素材のような話なのだと思います。従って、捉え方は子どもの環境や成長段階によっていろいろになるでしょう。子どもがこの絵本を好きな理由は一つの答えにおさまらないのです。
今回の展示では、この絵本の世界を出来る限り損なわずに伝えようとしています。そしてその内容は、絵本自身のもつ力をしっかりと受け止めて、「知る・分かる」ではなく「感じる」展示とでも言ったらいいようなものになっています。
大人の皆さんも、ぜひ子供心を取り戻して、何かを感じ取ってもらいたいと思います。




第77回 ついにアードマン展撤収!(2007.05.07)

ジブリ美術館は今日から約2週間、展示替えのための休館です。休館とは言っても社員は休んではいられません。企画展示室では昨日まで1年間公開されてきた「アードマン展」の撤収作業が進められています。
イギリスのアードマンスタジオからもこの展示の制作に携わったスタッフのうち3名がやってきて、展示物の梱包、返送作業に立ち会ってくれています。

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実際に映画撮影に使われた貴重なクレイ人形やセットを始めとして、膨大な量の展示物を一点一点リストとつき合わせながら梱包していきます。その量の多さに事前には相当な時間を要するだろうと予測していましたが、作業はとても順調に進んでいます。3日は要すると思っていたのが2日で何とかなりそうです。
これもひとえに展示チームの星野くんが完璧な準備をしていたおかげです。展示物の完璧なリストと作業工程表や役割分担表など、きめ細かに手順を決めていたため、作業に携わった約20名ほどのスタッフは無駄なくスピーディーに作業を進めていました。

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男子チームは大きな建具類の解体・梱包、女子チームは展示物を一点一点丁寧に梱包。その手際のよさにアードマンの3名から「ジブリチームの組織力はすごい」と感嘆の声が上がっていました。美術館スタッフのここ一番のパワーはすごいんです、ほんとに!




第78回 お父さんクマ出現!(2007.05.08)

アードマン展の撤収は今日も順調に進み、一日繰り上げて全工程を完了しました。
一方、アトリエでは次の企画展示「3びきのくま展」に据え付けられる大きな、大きな、お父さんクマがその姿を現しました。
とにかくデカイ!
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驚きの大きさです。アードマンが制作した人形からヒントを得て、今回の展示はクマとクマの家の大きさを強調しているとはいっても、ここまで大きいとは!
あの狭い企画展示室にこのクマを入れたらどうなるのか?大きすぎて息苦しく感じないか?小さい子は圧倒されて泣き出すんじゃないか?ちょっと不安、でも一体どうなるのかワクワクしちゃいます(笑)

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「アードマンの3人も見学!大喜びでした。」




第79回 カルロス・ゲド戦記を奏でる(2007.05.09)

NHKホールでカルロス・ヌニェス「ゲド戦記を奏でる」コンサートがありました。すごい大盛況でした。
カルロスは映画「ゲド戦記」の音楽に参加したスペインのバグパイプ奏者。ケルト音楽の世界ではスーパースターです。スペイン人特有の陽気な人柄でステージを盛り上げ、会場を沸かせてくれました。
ステージ上には「ゲド戦記」の音楽監督寺嶋民哉氏はもちろん、手嶌葵ちゃん、矢野顕子さんも登場。なぜか鈴木敏夫プロヂューサーも挨拶に出てくるし、最後には宮崎吾朗監督も!


その頃には、会場はお祭り状態!観客席は総立ちになり、出演者全員でダンスを踊りだし、ダンスの輪はついに観客席にまで下りていきました。できた大きな輪の中にはジブリの社員も!?
ゲド戦記の音楽とケルト音楽、そしてカルロスの楽しい演出を堪能させてもらった一夜でした。そしてまた、「ゲド戦記」をもう一度見たくなったひとときでもありました。




第80回 トルストイを読もう!(2007.05.10)

今日、スタジオジブリの小冊子「熱風」5月号が発行されました。今月の特集は「トルストイと民話」、ジブリ美術館の「3びきのくま展」に合わせての企画です。詩人・作家の辻井喬さん、「3びきのくま」の絵本を当時編集された福音館書店相談役の松居直さん、児童文学作家の中川李枝子さん、大阪外国語大学名誉教授でロシア文学が専門の法橋和彦さんが寄稿してくれています。
ロシア文学というと、人の名前が○○ヴィチとか、○○コフとかいっぱい出てきて覚えられなくて読みづらいなあなんてイメージがあるのですが(笑)、この4人の文章を読むとやっぱりトルストイの作品を読もうという気になります。
ところで、皆さんはトルストイが自分の領地で働く農奴の子どもたちを集めて児童教育をしていたことを知っていましたか?小説を書く傍ら、子どもたちのための教科書も作っていたのです。そして、そこに収録された民話や童話の一つが「3びきのくま」なのです。
法橋さんの文章の最後にこう書いてあります。
今年百歳を迎えられた児童文学者、石井桃子さんはこうおっしゃっています。「まず大人が賢くならないと、子どもたちに幸せは来ない」と。トルストイの子供向けにかかれた作品はどれも大人が賢くなるための教科書だと私は思っています。
ということで、「トルストイの民話」から読み始めようと思います。




第81回 「3びきのくま展」鋭意制作中(2007.05.14)

ついに企画展示室に3びきのくまが姿を現しました。
展示チームは今週末の公開に向けて連日朝から晩まで企画展示室で突貫工事中です!今日で大枠のところが見えてきました。くまの家も全容が判るようになり、巨大くまも定位置に鎮座しました。
くまのテーブル、椅子がいかに大きいか、お父さんくまがどれほど巨大か、展示室に並んでみて再認識させられました。

設営作業はこれで道半ば達成というところでしょうか。まだこれから細かい装飾やパネルその他の展示、まだまだやることがあります。展示チームはあと3日、倒れるんじゃないかと思うくらいストイックに働き続けるのでした。毎年のこととはいえ大変な作業なのです。

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廊下が工房に?設営作業中はこんな状態です。
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ちょっと部屋の中をのぞいて見てみましょう!こんな感じです。これじゃまだよく判らないですよね。また今度ご紹介します。




第82回 「アズールとアスマール展」も19日から(2007.05.15)

「アズールとアスマール」の7月公開に先駆けて、ジブリ美術館では2階ギャラリーにて「アズールとアスマール展」を5月19日から公開します。
ライブラリー作品第一弾の「春のめざめ」原画展がたいへん好評を得ました。この展示が成功したことでジブリ美術館の活動にまた新しい展開が可能になったと思っています。
ライブラリー活動が映画の劇場公開だけだったら、美術館の外での活動にとどまってしまいますが、美術館の展示と連携できるところがうちでやる意義があるところだと思っています。展示を通しても作品を紹介できますし、ライブラリー作品の理解を深めてもらうこともできるわけです。
また、毎年ひとつしか企画展示はできませんが、この展示であれば、年にいくつかの展示を続けていけるのも新たな展開だと考えています。
そこで、今度はミッシェル・オスロ監督の映像美の世界を紹介します。「アズールとアスマール」の美しい映像のいくつかをご覧に入れます。今回も展示制作は吾朗さんにお願いしました。今日1日がかりで設営を完了してくれています。
是非見に来てください!

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作品解説はもとより、美しい映像のいくつかをバックライトを当てて展示しています。
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吾朗さんが展示の解説も書いてくれています!
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このような絵も!




第83回 「アズールとアスマール」予告編完成(2007.05.16)

本日、「アズールとアスマール」の予告編が完成しました。この試写が今朝9時半から都内某所でありました。関係各社の方々が集まってくれましたが、この業界では早朝(?)とも言える時間でしたから、まだ体が起きていない人もいたのでは?でも鈴木プロデューサーはいつも通り朝からエネルギー全快!鈴木さんの大きな声がよく通る試写室でした(笑)。
さて、この予告編は、本編の字幕翻訳、吹替版の演出を手掛けた高畑勲監督が演出してくれました。「アズールとアスマール」の色彩豊かで魅力的な映像がてんこ盛りです。異国情緒たっぷりで、いったい何が起こるのかワクワクしてくる予告編になっています。
近日中に、シネマ・アンジェリカほかで流れるほか、ホームページでも見ることができるようになる予定ですので、お楽しみに。

「アズールとアスマール」もついに本格的に動き出します。劇場では予告編が流れ出し、ジブリ美術館では「アズールとアスマール展」が公開になり、公式サイトも動き出します。
そして実は、ミッシェル・オスロ監督が来週来日します。取材・インタビューを受けるためです。この模様も順次お伝えしていきます。
あらためて、「アズールとアスマール」は7月21日公開です!ご期待ください。




第84回 「3びきのくま展」完成(2007.05.17)

3びきのくま展の設営が細かい作業を残し終了しました。
今回の展示室は怪しげな雰囲気。なにせロシアの鬱蒼とした林の中にあるクマの家の再現なのですから。しかも何もかもがお父さんクマに合わせてビッグサイズ!部屋に入るや否やドキドキしますよ。
バスネツォーフさんの絵の世界を展示室内に再現し、絵本の中に入り込んでもらおうという企画。小さい子どもたちがここでどんな行動をするか楽しみです。クマと目を合わせて泣き出す子もいるのでは・・・。

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一方、映像展示室では明日のマスコミ向け内覧会のリハーサルが行われました。今回の目玉は巨大絵本!人の背の高さほどある絵本でお話を味わってもらおうという趣向です。朗読は、あのユーリー・ノルシュテインさん。
しかし、この絵本が難物。男が3人がかりでないと扱えない代物なのです。しかも、朗読がロシア語だから、ページをめくるのもPA担当者からのサインをもらってタイミングを計るという連係プレイです。
本番で絵本がバタン!なんてことが無いことを祈ります。




第85回 ”巨大絵本”登場!(2007.05.18)

「3びきのくま展」のマスコミ内覧会がありました。まず絵本の内容を今一度理解してもらおうということで、みんなが見えるように巨大絵本を用意しました。
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前回書いたように、絵本が重くて男3人がかりで支えています。しかも、ユーリー・ノルシュテインさんのロシア語の朗読なのでページをめくるタイミングも難しい。予想以上に大変な重労働になってしまったのですが、本番はバッチリ、うまく行きました。
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絵本朗読の後は、福音館書店相談役の松居直さんと私が対談させていただき、この絵本が出版された当時のことなどを、松居さんに語ってもらいました。
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そして、対談の最後には、「3びきのくま展」をご覧になった感想もお聞ききしたのですが、「お化け屋敷みたいでいいですね!」と。なるほど、宮崎監督も常々「ジブリ美術館の展示は見世物小屋だ」と言ってます(笑)。




第86回 「アズールとアスマール展」スタート(2007.05.19)

今日は展示替え休館明けの初日!「3びきのくま展」と「アズールとアスマール展」が一般公開されました。
「3びきのくま展」の準備はなんだかんだと総力戦でしたが、一方、「アズールとアスマール展」は吾朗さん一人にやってもらったと言っても過言ではありません。
展示プランの作成から絵の選定、そして制作からから設営まで、吾朗さんがほぼ一人でやってくれました。「春のめざめ」原画展に引き続き全くもってお任せ状態でした。
そして今回も絵のデータが届くのが遅れました。早く早くと催促されましたが、なかなかフランスから届かずヒヤヒヤしました。「次の作品の時こそ展示の準備は早くお願いしますよ!」と、念押しされてしまいましたが、その通りです。
でも、吾朗さんはデータが届くや否や全ての絵を打ち出し、あっという間に展示プランを作り上げました。そして業者に指示を出し、結果、余裕を持って設営を行っていました。早業です!
展示は「アズールとアスマール」の特徴の一つである、装飾美術的な美しさを知ってもらえるものになっています。ぜひ展示を見てもらいたいとともに、映画の方にも興味を持っていただきたいと思います。
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第87回 海の向こうは不可思議の国だった(2007.05.21)

「アズールとアスマール」の劇場公開が丁度2ヵ月後に迫ってきました。少しずつ内容についても紹介していきます。

アズールとアスマールはふたりの男の子の名前。領主の子で美しい青い瞳をもつアズールは、アラビア人の乳母ジェナヌに育てられた。そして、アスマールは黒い瞳と褐色の肌をした、彼女の実子である。
ジェナヌはアズールとアスマールを分け隔てなく兄弟のように育てたのだったが、一定の年齢に達した時、アズールは乳母から引き離され町の教師の元へと送られる。そして、ジャナヌとアスマールは着のみ着のままで家を追い出されたのだった。
アズールは立派な青年となり城に帰ってきたが、幼い頃に乳母から教えられた子守唄が忘れられず、唄に出てくる“ジンの妖精”を求めて、乳母の国へと海を渡った。
しかし、苦難の末にたどり着いた憧れの国で、最初に聞いた言葉は「青い目は不吉!」母国では美しいと言われてきたのに・・・。仕方なく盲目のふりをして歩き出したアズールにとって、この国のすべては醜くまた不可解なものばかりだった。
海を渡った国では、あらゆる価値観が逆転していた!
アズールは偶然にも乳母ジェナヌとアスマールに再会するのだが、領主の子アズールが乞食同然の姿なのに対し、かつて使用人だったジェナヌは街で有数の大富豪になっていた。そしてアスマールは自分たちを追い出した領主の子アズールを今でも恨んでいた。
そんなアズールとアスマールが“ジンの妖精”を救い出しに旅に出る。さて、どちらが先に“ジンの妖精”を救い出すのか・・・。

今日、ミッシェル・オスロ監督が来日します。何度も日本に来たことのあるオスロ監督ですが、監督にとって、日本は不可思議の国なのかどうか?聞いてみようかな(笑)




第88回 オスロ監督が来館!(2007.05.22)

今朝、オスロ監督がジブリ美術館にやってこられました。2度目の来館です。それでも、面白そうに一つ一つ展示を覗き込みながら見て回ってくれました。
そして、最後にギャラリーへ。入るやいなや出た言葉は「トリビア~ン!」
アズールとアスマール展を大絶賛してくれました。
絵を大きくして後ろからライトを当てるアイデアにとても感心してくれて、「こんなきれいに絵を飾ってくれてありがとう」と言ってくださいました。「この展示のためにデータを送るのに苦労していた担当者も、これを見ればきっと喜ぶだろう」とも。
そしてまた、「拡大しても十分に耐えうる絵であることは判っていた」と自画自賛し、何度も「美しい,」と言っておりました(笑)。
一通り見た後に屋上に上ったのですが、降りてきたら「もう一度みたい」と言ってまたギャラリーへ。そして絵を1点1点解説してくれました。
背景画に描かれた調度品その他はすべて実在のもので、実物をモチーフに描いたり、写真を取り込んでコラージュしたりしているとのこと。アラビアの乳母のお屋敷の庭に咲く花々も、すべて本当にザグレブ地方にある花。一方、アズールの生家の花畑に咲く花も北ヨーロッパに咲いている花、しかもそれは絶滅の惧れがある花々であるとのことでした。
オスロ監督の説明から、とてもこだわりを持って描かれた絵であることが伝わってきました。

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「鈴木プロデューサーからもらった作務衣と帽子を身につけて喜ぶオスロ監督」




第89回 オスロ監督がシネマ・アンジェリカに出現!(2007.05.23)

オスロ監督は散歩がお好きなんです。今日は午前中、渋谷のホテルから代々木公園・明治神宮を抜け、新宿まで歩いて行かれたそうです。とても気持ちが良かったと。
新宿では本屋さんに行き、イラストやデザイン関係の本を立ち読みしてきたとのこと。何か買ってきたのか聞いてみたら、「いくつか良い本があった。どれを買うか決めてからもう一度行ってくる」とのことでした。とてもフットワークが軽いので驚きです。
オスロ監督は日本でホームステイしたこともあり、何度も日本に来たことがあるので、気軽に出歩かれるようです。そして、滞在しているホテルの近くということもあり、なんと「シネマ・アンジェリカ」にも足を運んでくれました。
ジブリ美術館ライブラリーはこのシネマ・アンジェリカをベース基地にして作品を紹介していくこと、チェーン展開した興行ではないが作品本位で作品を大事に扱っていくこと、そして、ここを起点にネットワークを広げつつあることを私からお話しました。
オスロ監督は「『キリクと魔女』のとき、フランスで火がついたのはこうしたミニシアターからだった。宣伝も大してできなかったのに、こうした映画館をベースに口コミが広がったおかげでヒットした。こうした映画館が東京にもあることに感激した。」と仰っていました。
そして、好例のサインも描いてくれました!
しかし、自由時間もそこまで。その後はホテルに缶詰にされて取材・インタビューに追われました(笑)。
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「写真では見えにくいですが、映画に登場する『ジンの妖精』を描いてくれました」




第90回 日本語吹替版で見てくださいbyオスロ監督(2007.05.24)

一昨日、オスロ監督に日本語吹替版を見てもらったのですが、絶賛してくれています。取材を受けている中でも、吹替版の話が出ると「とてもよく出来ている」と評価してくれています。
子どもの声はとても難しいのだけれど、雰囲気を壊すことなく吹き替えてくれているし、日本語とアラビア語のつながりもスムーズである。口の動きとのシンクロも良いし、リズムも良い。
そもそも字幕で見てもらうことを前提に映画を作ってはいないので、日本の皆さんには日本語で聞いてもらって、映像をしっかり見て欲しい。そう仰っていました。
そしてまた、高畑勲監督が吹替版の演出をしてくれたことをとても喜んでいて、高畑さんの演出に注文をつける部分などない。高畑さんはただ吹替えをつけたのではなく、私の映画に一部演出を加えてくれたと思っている、と取材に答えていました。
1日半で20数件の取材を受けたオスロ監督ですが、全く疲れを見せることなく、話をすることが楽しそうに、すべての記者たちに丁寧に受け答えしてくれていました。そして、取材が終了すると、「今夜こそ本を買うぞ」と夜の街へ出かけていったのでした。




第91回 休憩室が「し~ん!」(2007.05.25)

お昼を食べるスタッフたちで賑わう休憩室がちょっとの間ですが、突然「し~ん!」
というのは、休憩室を使ってビデオ収録があったのです。カメラに撮られているのは私なのですが、今までお弁当を食べながらワイワイ話していたスタッフたちが、カメラが回るや否や「し~ん!」その静けさに、私は妙な緊張感を覚えたのでした。
カメラの前で話をしながら、「し~ん」としているスタッフたちの様子が気になって気になって仕方がない。見られているのはいいのですが、いつもと違う休憩室内の空気がピリピリと頬を打つ感じがしました。
カメラが止まると、みんなは何事も無かったかのようにまた話し出し、いつもの和んだ雰囲気に戻ったのですが、ワイワイ→「し~ん」→ワイワイ、というその落差がすごかったので、「おいおい、緊張させるなよ」と思わず声を上げてしまいました(笑)。
今日収録された映像は、7月18日に発売されるDVD「春のめざめ」にプレゼントとして付いてくるプレミアムDVD「三鷹の森ジブリ美術館誕生ものがたり」の一部に使われます。スタッフ休憩室の様子は本邦初公開ではないかと思いますので、「春のめざめ」のDVDを買って、是非見てみてください。




第92回 「春のめざめ」DVD予約受付中(2007.05.28)

「春のめざめ」のDVDが7月18日に発売になります。現在、予約受付中です。三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー劇場公開第一弾として紹介した、アレクサンドル・ペトロフ監督の美しい油絵アニメーションを、今度はDVDでご堪能いただきたいと思います。
特典映像には、「アレクサンドル・ペトロフの肖像」という題名のメイキング映像が入っています。
この映像を見ると、いかにして油絵を動かすのか、その仕組みがよく判ります。そして、その根気のいる作業にあらためて感服してしまいます。ペトロフ監督の映画制作に対する誠実で真摯な姿勢が伝わってきます。また、師匠であるロシア・アニメーション界の巨匠ユーリー・ノルシュテイン監督とペトロフ監督の対談も収められています。必見です。
特典のもう一つとして、三鷹の森ジブリ美術館で行われた「春のめざめ」原画展で展示されたペトロフ監督直筆の原画やスケッチのスライドショーが収められています。会期中ご覧いただけなかった方々にペトロフ監督の絵の素晴らしさを見ていただきたいと思います。
さらに、初回出荷限定で「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー誕生ものがたり」と題したプレミアムDVDがついてきます。ジブリ美術館のアニメーション美術館としての側面を紹介しています。そして、ジブリ美術館ライブラリー立ち上げの経緯から、「春のめざめ」公開、そして「アズールとアスマール」の公開準備までの活動の記録を収録しています。これまでどこにも出ていない映像が満載です。こちらも是非ご期待ください!
とにかく、「春のめざめ」はとんでもない作品です。油絵を少しずつ描いては消し、そしてまた描き足して、リアルな動きを表現するアニメーション技法といい、思春期の少年の心の内面を抉り出して描いた文学的な内容といい、ジブリ美術館から紹介できたことを光栄に思う素晴らしい作品です。映画館で見た人も、見られなかった人も、ぜひDVDでご覧ください。




第93回 「アズールとアスマール」公式HPオープン(2007.05.29)

午後2時半過ぎに、「公式サイトをアップするための時間を明朝までとっている」と、制作をお願いしているTさんからメールが入りました。これはきっと今夜は徹夜だなと誰もが思いましたね(笑)。
Tさんは、ジブリに来る時はいつも、黒づくめの衣装に身を固め、まるで忍者のようないでたちで町を闊歩してくるんです。知らない人が見たらギョッとする、ちょっとやばそうな感じで。
本人はそんなことまったくお構いなしで、黒は汚れが目立たないとか、素材には通気性その他こだわりがあることを説明してくれるのです。いろいろと機能性重視で試した結果たどり着いた、本人お気に入りの服装なのです。
そんなTさんはとても情熱家で、「ジブリのものは世界観を崩さず、きちんとしたものを」と言って、良いものを作ろうととことんまで頑張ってやってくれます。それはもう商売抜き!仕事熱心というより、自己犠牲の精神がないとできないなぁと思い、いつも頭が下がります。
そんなTさんだから、最近のジブリ関連のサイトはどれも彼に携わってもらっています。




第94回 吹替版か、字幕版か(2007.05.30)

今日、「アズールとアスマール」の宣伝会議がありました。ここで一つ議論になったのが、ミニシアターで上映するのに、なぜ吹替版をメインに据えるのか?
ミニシアターで外国映画を上映する場合、普通は字幕版。一方、吹替版はファミリー向けの一般公開作品に多いんです。そこで、ミニシアターなのに吹替版メインという場合、いったい宣伝はミニシアターに足を運ぶ映画ファンに向けて行うのか、一般ファミリー層に向けて行うのか、宣伝の問題に関わってくるので議論になったのです。
けんけんガクガクありました。しかし、答えはシンプルです。オスロ監督が褒めてくれたように“吹替版の出来がいいから!”ミニシアターであっても吹替版をメインに据えよう、ということなのです。
日本語吹替版は高畑勲監督が演出してくれました。出来上がった吹替版は、元々のフランス語版のリズムや雰囲気を損ねておらず、しかも、フランス語とアラビア語が出てくるのですが、吹き替えられた日本語とアラビア語のつながりも違和感がありません。高畑さんの演出とキャストの皆さんの力でとても良いものができました。
アラビア語部分はオスロ監督の指示で字幕も吹替えも無いのですが、言葉が通じないことを実感してもらおうというオスロ監督の意図が、フランス語を字幕で読むより、吹替版で日本語vsアラビア語の構図のほうが汲み取りやすくなっています。
この映画において、オスロ監督はいろいろな違いを越えて人と人とが判り合うことの大切さを伝えていると思うのですが、言葉の違いを実感することはそれらを理解するうえで重要な要素の一つになっています。
さらに言えば、字幕を目で追わないことで、この映画の色彩豊かな美しい映像をより良く見ることができます。絵の情報量もとても多いので、吹替版のほうが堪能できると思います。
それでもフランス語版で見たいという人もいると思います。フランス語の響きで聞きたいという人がきっといるでしょう。それらの方々には字幕版が見られる時間はきちんと用意します。ですので、私としては両方見てもらえるととてもうれしいなぁ、なんて・・・(笑)。




第95回 汗ダラダラ(2007.05.31)

今日、NHK首都圏ネットワークの取材、収録がありました。「3びきのくま展」を取材に来てくれたんです。展示の内容と、展示室でさまざまに行動する子どもたち、などなどを収録して、さらに、私がインタビューを受けたんです・・・テレビカメラを向けられて!
テレビに出たことは何度かありますが、雑誌などの取材とは違い、テレビはなかなか慣れるものではないですね。もう汗ダラダラでした(笑)
汗をかいた理由のひとつには、美術館に着くや否や、風の通らない展示室に連れて行かれ、しかもスポットライトで照らされたので、カメラが回ってなくとも汗ばむ状態だったんです。
これは反省です。何ごとも時間の余裕を持って待機するべきですね!
もう一つは、雑誌などのインタビューはあれこれ話をした上で、ライターさんがうまくまとめてくれるので、ある程度フランクに話が出来ます。それで緊張しないのですが、テレビだと、簡潔に、的確に言葉を選んで話をしなければいけないと思って、頭をグルグル回転させたので、アドレナリンが出まくったんでしょう(笑)
5日の首都圏ネットワークで放映される予定ですが、私が出たらきっと汗がタラリと頬を伝っていると思います。でも、何秒写るか判りませんけどね。メインは展示と子どもたちですから!