メインコンテンツ | メニュー | リンクメニュー

Main Contents

舞台とツルゲーネフ

アントンの恋の教科書はツルゲーネフの『初恋』

background_turgenev_06.jpg 「春のめざめ」はシメリョフの『愛の物語』を原作にしているが、主人公アントンがツルゲーネフの『初恋』を読んだことから物語が展開していくことからも分かるように、ペトロフ監督自身も、この小説から強いインスピレーションを得ている。

 映画の中で幾度となく登場する小説『初恋』のシーン。アントンが女性や恋について妄想を膨らませる時、そのイメージは必ず『初恋』の女主人公ジナイーダと重なっている。この『初恋』は、当時ロシアで大ベストセラーとなり、夢中になった少年たちに大きな影響を与えたという。

 もともとは『初恋』を原作に映画を作ろうとしていたというペトロフ監督。この映画を同郷の文豪ツルゲーネフに捧げている。

イワン・ツルゲーネフ [1818-1883]

19世紀に活躍したロシアの小説家。貴族の子として生まれながら、『猟人日記』(52)で、農奴の暮らしを描くなどし、農奴制廃止に貢献した。また、西欧の作家・芸術家・批評家等との親交を深め、『貴族の巣』(59)『その前夜』(60)など、政治社会的な作品を数多く発表すると共に、ロシアと西欧の架け橋としての役割を果たした。一方、恋愛についても数多く取り上げており、中でも代表作の『初恋』はツルゲーネフの自伝的な作品と言われ、日本でも多くの愛読者を得ている。

『初恋』あらすじ

16才の少年ウラジミールは、モスクワ郊外の別荘地で公爵令嬢ジナイーダと出会う。すぐさま恋に落ち、彼女の虜となるウラジミール。そんな彼を相手にはしてくれるものの、どこか弄ぶような態度のジナイーダ。次第に彼は、彼女の真の恋の相手が誰なのかが気になり出す。そして、ついには彼女が自分の父親の愛人だったことを知る。奔放でわがままなジナイーダが、父親の前では従順で隷属的な女性であることを目撃した彼は、恋がいかなるものかを知るのだった。