本棚より[季刊トライホークス 2014年39号]


世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。

きつねのホイティ

作...シビル・ウェッタシンハ 訳...まつおか きょうこ 福音館書店 1,300円(税抜)

 ある村にアンゴウ、マンゴウ、ランゴウという元気な3人のおかみさんたちが住んでいました。その村のはずれの森にはきつねのホイティも住んでいます。ある日のこと、ホイティはお腹がすいたので "旅人"を装い、アンゴウさんの家を訪ねてごちそうをいただきます。アンゴウさんは"旅人"の正体に気がつきますが、知らないふりをしました。調子に乗ったホイティは、マンゴウさんとランゴウさんの家も訪ねます。そしておかみさんたちをバカにした歌を、森の中で得意げに歌います。このことを知ったおかみさんたちは、ホイティへの仕返しを考えました。さて、再びアンゴウさんの家を訪ねたホイティは、どうなるのでしょう......。

 ずる賢くて平気で人をだますきつねの昔話を、読んだことがあると思います。最後には人間に懲らしめられて一件落着する、という結末が多いと思いますが、スリランカのお話は違いました。ホイティは人をだまそうとしますが上手くいきませんし、おかみさんたちもきつねを痛い目にあわせるようなことはしません。お話の世界がゆったりとした雰囲気に包まれていて、人々が悪さをする者にもおおらかなのです。また衣装や食事の様子など、現地の人々の生活が描かれているのもこの絵本の楽しいところです。

 とはいえ、一番の魅力はやはりホイティでしょう。ちゃっかりぶりもおもしろくて、最後には愛すべき存在に思えてきます。たいへん愉快なお話でした。

ポケット詩集

編者...田中和雄 童話屋 1,250円(税抜)

 その名の通り、ポケットにおさまるくらいのサイズの本です。宮沢賢治「雨ニモマケズ」の詩からはじまって、27人の詩人の33の詩が収められています。この本を図書室で紹介するときは、中に収められている詩をひとつ抜き出して本の横に置きます。すると、若い人たちを中心に、本当によく手に取られるようになります。

 この本のまえがきで、「とびきり上等のいい詩を読みなさい。」と編者はいいます。「いい詩はみな生きる歓びにあふれている」と。「自分の存在に疑問をもったら『くまさん』や『ぼくがここに』を読みなさい。友だちとの関係に悩む人は『聴く力』を読むといい。恋しい人ができたら『鳩』を。......」図書室でこの本を手に取った人は、その人が持っていた、抱えていた何かと、その時紹介していた詩とがちょうど惹かれあったのかもしれません。たいていの人は、もやもやとした、自分では言葉に現せないものを抱えていて、詩の中には、その"もやもや"が磨かれた美しい言葉で現されているのだとも思います。

 図書室は小さく、置ける本は限られています。「とびきり上等な詩」が収められているこの本は、今後も本棚の一冊であり続けるでしょう。ポケットに詩集を、傍らに詩を置くことで、ほっとひと息つけることもあるのではないでしょうか。

季刊トライホークス 39号(内容紹介)

「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。

夢中になって読んだ本
チェコ在住で絵本作家や銅版画家として活動している出久根育さんに、夢中になった本を紹介していただきました。出久根さんは、幼少時代に多くの作品と出会うことのできる環境で育ったそうです。今回、心に残っているという絵本として選ばれたのは『いちごばたけの ちいさなおばあさん』です。さて、その本ではどんな世界が描かれているのでしょうか。
連載「ローラ・インガルス・ワイルダー(第3回)」
シリーズ第6巻目、『長い冬』では13歳となったローラを中心に物語は進んでいきます。一家はダコタ・テリトリーの南(現在のサウス・ダコタ州)にある小さな町デ・スメットへやってきます。念願の農地を手に入れ、家を建てたインガルス一家。そこに歴史に残る7ヶ月も続く長い冬がやってきました。
山猫だより「ギャラリー展あれこれ」
美術館の裏側(?)、日常について書いています。今回はギャラリー展について。現在、2階ギャラリーでは「トライホークスの本棚より『長くつ下のピッピ』展」を行っています。図書室のおすすめの一冊を紹介する展示です。小さな場所ですが、映画を紹介したり、本を紹介したり、テーマごとの小展示を行っています。