本棚より[季刊トライホークス 2015年42号]


世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。

こぶたのピクルス

文...小風さち 絵...夏目ちさ 福音館書店 1,600円

 元気なこぶたの男の子・ピクルスが主人公の4 つのお話です。ピクルスは、登校前に張り切って忘れ物チェックをします。お母さんから卵のお買い物を頼まれて、大好きな市場へ出かけます。朝起きると歯がぐらぐらし始めて、不安になります。今年初めての海水浴が楽しみで、前日の夜に大興奮します。毎日毎日ピクルスは新しいことを体験し、全力で向き合って過ごします。

 子どもが成長していくなかで、運動会など特別なイベントの日は写真や映像などとともに記憶されますが、日常に起こるささいな出来事は忘れてしまうことが多いと思います。でもこの本を読むと、「そういえば、自分や家族にも同じようなことがあったような......」と今まで忘れていた幸せな時間が思い出されました。そしてピクルスをはじめ、ロバのパン屋さんやヤギの新聞屋さんなど登場人物たちがかわいらしく描かれているので、読んでいると自然と笑いがおこり、楽しい気持ちになります。全編にわたり子ども(こぶた?)の素直な喜怒哀楽が表現されているので、小学校に入学するくらいの子どもが読むと、ピクルスを友だちのように感じることができるかもしれません。もしかしたら、作者の近くにも、ピクルスによく似た男の子がいるのでは、と思いました。

 さて、ピクルスはこの先どんなことに出会うのでしょうか。続きが知りたくなるお話です。

少年探偵1 怪人二十面相

著者...江戸川乱歩 ポプラ社 600円

 「かつてロマノフ王家の宝冠を飾っていた大ダイヤモンドを、貴下より無償にてゆずりうける決心をした。近日中にちょうだいに参上する 二十面相」

 当時、東京中を騒がせていた「二十面相」と名乗る怪盗がいました。変装がとびきり上手で、老人にも若者にも、大富豪にも無頼漢にも、何にでも姿が変えられるというのです。狙うのは、宝石や美術品といった美しいものばかり。現金には興味を示さず、人を傷つけたりするようなことはしません。今回、二十面相が狙ったのは羽柴家が所有する大ダイヤモンド。迎え撃つのは、日本一の名探偵明智小五郎、そして少年助手の小林芳雄です。力と知恵を出し合った戦いがはじまります。

 『怪人二十面相』は、1936年(昭和11年)に、講談社が発行していた雑誌「少年倶楽部」に連載されました。ミステリー作家として活躍していた江戸川乱歩が子ども向けの物語を書いた最初の作品であり、その後、全26巻の「少年探偵シリーズ」が生み出されました。

 私自身、小学生の頃に夢中になった懐かしい本です。特に「少年探偵団」は、仲間同士で助け合い、ピンチにも機転を利かせ、行動力もある。彼らの活躍をワクワクしながら読んだのを覚えています。そして、1冊が読み終わっても、またさらに次の物語がある「シリーズ」ものだったことをどんなに嬉しく思ったか。設定など"今"とは違うものがあったとしても、夢中にさせる何かがこの物語にはあると思います。

季刊トライホークス 42号(内容紹介)

「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。

夢中になって読んだ本
今回は、絵本作家の川端誠さんに本を紹介していただきました。川端さんの文章を読むと、読んだ事のある絵本であっても、もう一度読みたくなるのではないかと思います。今まで気づかなかったことを教えてもらい、じっくりと絵と文章を読み直すきっかけになりました。絵本は子どもたちだけでなく、大人も一緒に楽しめるものだと改めて思いました。
連載「E.L.カニグズバーグ」
今回取り上げるカニグズバーグの作品は『ティーパーティーの謎』。カニグズバーグにとって2度めのニューベリー賞受賞作となった人気作です。あらゆる分野の知識を競う博学競技大会のチームメイトとなった中学生4人を主人公に、彼らの家庭でのエピソードやクラスでの様子、競技大会で緊迫する場面などを巧みな構成で繋げ、読者を夢中にさせます。
山猫だより「美術館でお泊り会」
美術館の裏側(?)、日常について書いています。今年の夏は、美術館ではお泊り会を行いました。小学生、中学生、そして美術館や地域の大人たちも一緒になって、短いけれど、とても濃い一泊二日を過ごしました。