GIORNALE DEL MAMMA AIUTO!
猫びんあめとコルクびんあめ


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DSC00926.JPG楽しい夏休みもおわり、もう新学期ですね。今年の夏もたくさんのご家族に美術館へ遊びに来ていただきました。いっぱいはしゃいできた子どもたちはみんな、ショップにたどり着くころには、髪の毛がわかめみたいにぴったりと額にはりついているのです。ここで選んでくれる商品が、きらきらした夏の思い出のように心に残るものになってほしいなと思います。

ショップの店頭には公開中の映画『風立ちぬ』の新商品が加わって益々にぎやかになりました。まだまだ暑い日が続きますが、みなさまにもいい風が吹きますように。



 

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さわやかな甘さの秘密を訪ねて―――【猫びんあめとコルクびんあめ】

ジブリ美術館がオープンしてからずっと、ショップの棚でお客様をお待ちしている品物があります。びんのなかで踊る色とりどりのあめ。さらりとした甘さで、ついついもう一つと手がのびてしまうほどです。さらにあめの表面をよく見ると...そこにはジブリ美術館オリジナルのキャラクターたちの絵が!
今回は「組みあめ」と呼ばれる絵のついたあめの製法を調べてきました。

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▲ショップ「マンマユート」オリジナル〈左:猫びんあめ 右:コルクびんあめ...各¥780(税別) 奥:棒あめ3点セット...¥410(税別)〉


ジブリ美術館のびんあめが生まれるまで

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美術館オープンから売られている人気商品のびんあめですが、発売までには数々のドラマがありました。
株式会社マツザワの森本康雄さんは、ジブリ美術館ができるずっと前から、ジブリとのお菓子の企画をいくつも考えていたそうです。人形焼きやおまんじゅうなど様々な提案をしましたが、どれひとつとしてOKがでませんでした。
しかし森本さんはあきらめませんでした。"ジブリらしさ"とは何なのか、完成前の美術館のパンフレットを読み込むなど、模索し悩み続ける日々が続いたそうです。
そんなある時、一つ一つが職人の技の結晶、〈組みあめ〉こそがジブリ美術館にふさわしい「ひとつのアートではないか?」、という結論にたどり着いたのです。

s201309013.JPG〈森本さん〉

森本  あの時は必死でした...〈組みあめ〉を思いついたときは直ぐに試作に取りかかりました。そしてダンボールいっぱいの試作のあめを持って行ったんですよ。
たとえばクロスケのあめなども、良く見ると表情が一個一個ちがいますよね。
職人による手づくりの為、一つとして同じものが無いんです。『職人の技から産み出されるアート』という切り口がジブリの世界観と一致する部分があったのではないでしょうか。

粘り強く考え抜いた森本さんの大胆な発想が宮崎監督に響き、ついに認められたのです。現在ではびんあめと季節限定の棒あめが、十年以上にわたる人気商品として販売され続けているのです。

ところで、森本さんが「アートである!」と思いついた〈組みあめ〉ってなんでしょう? 
同じ表情のキャラクターがいないのはなぜでしょうか...? じつはこれ、一つずつあめに絵を描いているのではないんです。  
皆さんはのり巻きのお寿司をご存じですね。最初に一枚の海苔に酢飯を敷き、その真ん中にかんぴょうやキュウリなどの具を載せてくるりと巻きます。長い1本ののり巻きを切り分けると、どの断面にも具が見えます。でも酢飯の厚み、具の分量などが少しずつ異なるものを切断するので、同じものが一つもありませんね。

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〈組みあめ〉も基本的にはこれと同じ方法で作られているのです。



 

あめ職人のすごい技

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〈▲【浅野製菓 浅野さん】〉

ジブリのびんあめは、名古屋で作られています。市内でも〈いちばん腕のいいあめ職人〉として定評のある浅野さん。40年以上にわたってあめ作りを手がけてきました。
男性の職人3名と作業を補助する女性3名で運営される屋内は、工場というより工房といった雰囲気です。 

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それでは浅野さんたちの作業をみてみましょう。

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〈組みあめ〉は、職人が手作業と経験による勘で絵柄を組み上げて作る、手作りのあめです。
キャラクターのパーツごとに色をつけ、海苔巻きのように仕上げられた太い筒状のあめをぎゅーと細長く伸ばし、小さく切り分けて完成します。
原料はぐつぐつと煮込んだ水あめですが、その日の気候や湿度によって微妙に状態が変わります。湿気の多い梅雨の時期などは製造を断念しなくてはならない日もあるそうです。
浅野さんは日々変わる気候や湿度を敏感に感じ、水あめを煮詰める時間から味付けや着色、そして組み上げるタイミングなど全てを瞬時に見極めてゆきます。

その後の作業工程は驚くことに「目分量」で進んでいきますが、実はそれは浅野さんの職人としての確かな「勘」に裏づけされたものだったのです。

そして6人のチームワークにより、全工程は水あめが冷めて固まってしまうまでの30分でぴったり完了します。

全員の無駄の無い動き、阿吽の呼吸...。
長い年月の経験に裏打ちされた浅野さんたちの手仕事によって、変わらぬ味が産み出し続けられているのです。

【組みあめの詳しい製法はコチラ】


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浅野  一回に約4000個くらいできます。ほら、一つ一つ顔が違いますよね? この雰囲気を大事にしたいので、機械ではなく手でしかできません。 



 

味へのこだわり

じつは浅野さん、最初にジブリ作品のあめの依頼があったときにはチンプンカンプンだったとか。でもオープン直後の美術館に足を運び、その世界観をつかんだそう。また同時に、館内ではしゃぎまわる子どもたちの笑顔にも触れたことが、十年以上にわたって変わらぬ味を保ち続ける原動力になっているのでしょう。

浅野  子どもたちはあめを見て『あ、きれい!』と言って食べてくれますが、でも二つ目を食べてもらえないあめではダメなんです。『もう一個ほしい!』と言って手が伸びるあめを作っていきたいんです。

思わずもう一つ...と手が伸びてしまうおいしさの秘訣とはどんなことなんでしょう?

浅野  僕は歯切れのいいあめを作りたいんですよ。 歯にくっつくのではなく、パリッと割れるような。それに絵が組んであって、甘さに加えて酸味があるあめは、よそではなかなかやっていないんじゃないかと思います

浅野さんの作る〈組みあめ〉は、材料をよく練って空気を含ませているので、ねっとりせずにさくっとした食感が特徴です。
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またクエン酸を加えてすっぱさを加えているので、しつこい甘みを感じないようになっているのですね。

子どもたちがおいしいと言ってもらえることがなにより嬉しい浅野さん、今後の夢はなんでしょうか。

浅野  ジブリ美術館の中庭に井戸がありますよね? あそこに作業台や道具を持って行って〈組みあめ〉を作ってみたいです。たとえばマックロクロスケがざら〜っと並んだらかわいいですよね(笑)。井戸のまわりの高いところから子どもたちに見てもらって...。  
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▲井戸のあるジブリ美術館のパティオ

浅野さんたちの魔法のような手さばきでみるみるできあがる〈組みあめ〉、そのできたてほやほやの小さな〈アート〉を、いつかほおばってみたいですね。




 
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ショップ「マンマユート」の店内には、自分の目で見て触って発見できる商品がたくさんあります。引き出しを開けたり背伸びをしたり...。思いがけず自分だけの小さな宝物が見つかるかもしれません。
ここではそんな宝物の中から、おすすめの商品をご紹介します。

今回ご紹介するのはスタジオジブリ最新作「風立ちぬ」にちなんだ美術館オリジナルの新商品です。

「風立ちぬ」カプローニ人形 … 5,800円(税別)

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主人公二郎の夢の中に登場する飛行機製作者カプローニの人形。型どり、色塗りなど全ての工程を日本の職人が手がけた唯一無二の逸品です。世界を旅してきたような独特な存在感で、「君の10年はどうだったかね、力を尽くしたかね」と今にも語りかけてきそう。


「風立ちぬ」菜穂子の麦わら帽子 … 6,000円(税別)

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ヒロイン菜穂子は麦わら帽子の似合う女性。そんな菜穂子の麦わら帽子を、明治13年創業老舗の帽子店につくっていただきました。
麦わらを縫い合わせ、成形し、お花を飾るまで、すべてが手作業です。青空の下でかぶりたくなる素敵な帽子に仕上がりました。


「風立ちぬ」二郎めがね … 15,000円(税別)

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二郎がかけている丸眼鏡を再現しました。映画の時代背景から、当時めがねに使われていた素材のセルロイドやガラスでできています。
福井県鯖江の眼鏡職人による手作りのため、一度にたくさん生産することはできません。がま口の形をしたオリジナルの眼鏡ケース付きです。

※商品は品切れの場合がありますので予めご了承ください。