Main Contents
公式サイトオープン!
ミッシェル・オスロ監督最新作「アズールとアスマール」の公式サイト本日オープン!
このサイトでは「アズールとアスマール」に関する情報を『絵』と『文字』で皆様にお伝えしていきます。
映画公開に向けて少しでも「アズールとアスマール」について知っていただければと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
公開まであと52日
ミッシェル・オスロ「アズールとアスマール」展 開催!
場所:三鷹の森ジブリ美術館 ギャラリー
日時:2007年5月19日~ (終了日未定)
監修・デザイン:宮崎吾朗
「アズールとアスマール」は3DCGを用いながら、現在の主流である物質や光線の描写のリアルさを追求したり、空間を上下左右に自在に動き回る三次元的なカメラワークを用いたりしていません。
絵画スタイルは二次元的で非常にグラフィカルであり、対照的な二つのものを鮮やかに描き出すことに成功しています。それは二人の主人公であり、ヨーロッパとイスラムの文化であり、喜びと悲しみといった登場人物の感情まで含んでいます。
また、カメラワークは非常に抑制的で、常に一歩引いた場所から登場人物と彼らの周囲の状況を写しています。主人公に強く感情移入させるような視点に立つカメラワークとは大きく異なります。
こうした絵画スタイルや演出方法によって「アズールとアスマール」は、あたかも芝居の舞台を見ているような、もしくは絵巻を括っているような感覚を観客にもたらします。影絵アニメーションの『プリンス&プリンセス』、セルアニメーションの『キリクと魔女』での経験を深化させながら、3DCGを得てオスロ監督は新たな境地に達したと言えるでしょう。
三鷹の森ジブリ美術館では、「アズールとアスマール」の世界を紹介する展示を行います。7月の公開に先立って、オスロ監督の美しい絵巻の世界の一端に触れてみて下さい。
宮崎吾朗
※ 三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制。チケットはローソンでのみ販売。
ごあんないダイヤル:0570-055777 www.ghibli-museum.jp
上機嫌で美しい未来思考
日本語版監修・翻訳・演出 高畑 勲

「アズールとアスマール」は、日本の傑作とは面白さの質がまるでちがう明快至極な傑作です。先に言うべきだと思うので言いますが、この映画の本筋のお伽話的冒険ファンタジーとしての側面は、あくまでも物語の楽しい枠組みにすぎません。
日本アニメだったら手に汗握らせるにちがいない「見せ場」は、どれもこれもオスロ氏はじつにあっさりと片付けます。そういうところで日本アニメ風のドキドキワクワクを期待すると、見事に肩すかしをくらいます。
でもそこにつまずきさえしなければ、「アズールとアスマール」がどんなにユニークで面白い映画か、子どもにも大人にもすぐにわかります。そしてそれを楽しみはじめると、とんとん拍子で進む冒険譚も、そのゲーム的な手順のよさがかえって小気味よいほど。その過程で出会うさまざまな見聞のなかにこそ、この映画の主眼があるからです。
「アズールとアスマール」の主眼とは何か。それは、異なった人種や民族、文化圏などの間にある反目や偏見を取り除き、人々が相互理解と融和に向かうための基盤づくりに役立つことを、とびきり美しく面白く語ろう、という狙いです。オスロ氏は、スピーディーな展開のなかに、観客がこの問題を考えていけるための大事なポイントを、充分な現実的描写によって豊かに織り込みます。映画のなかで話されるアラビア語はまったく訳すことをせず、言葉の通じない異国での体験を擬似的に観客に味わわせるのもそのためです。そして作品の中にふんだんに「対比」を仕掛けました。
青い目のアズールと黒い目のアスマールは、母のない子と父のない子の乳兄弟で、片や領主の息子、片や他国者の貧しい乳母の子。教育も受けられなかったアスマールは、母親とともに屋敷を追い出され、ヨーロッパに恨みをもち、そこの人間を醜いと思いこむ。
乳母の国に憧れて海を渡ったアズールもまた、貧しい人々、醜い景色、青い目を不吉とする迷信、すべてに失望して文字どおり目を閉ざし、盲目をよそおう。そして物乞いに身を落としたアズールの前に、女大商人となった乳母と息子アスマールがあらわれ、立場が逆転する。フランスで迫害されたユダヤ人学者も、迫害のない寛容なイスラム世界では、同じよそ者扱いながら賢者・医者として生きられる。粗野で閉鎖的な中世ヨーロッパと、交流によって繁栄する中世イスラム世界。
反目や偏見をなくすためには個人と個人の付き合いこそ大切、と、こういう対比のなかで、オスロ氏はじつに個性的で面白い人物たちを活躍させます。そこがこの作品の一番の魅力です。
二十年前フランスから流れてきて物乞いをしているクラプーも、大商人の乳母ジェナヌも、なんとも可愛い聡明なシャムスサバ姫もユダヤ人の賢者も、そしてもちろん主人公のアズールも、それぞれがまるでちがう人物なのに、「二つの国、二つの言語、二つの宗教を知っている」点で共通していて、対話が成立しうる相手なのです。マグレブからの移民の多いフランスならではの着眼が光ります。母とはちがい、アスマールはアズールに心を閉ざしたままですが、冒険で競い合ううち、危機に直面し、幼時の友愛をよみがえらせます。
映画に宗教色は一切なく、女性の地位など現実にはほぼありえなかった設定を巧みに導入することによって、現代の欧米人とムスリム双方に対し、希望に満ちた上機嫌の未来思考を促します。そして花咲乱れる中庭や、理想化された天文台や、華麗なアラベスク装飾をふんだんに描き出して、イスラム文化への敬意と憧憬を呼び起こすのです。ご存じのとおり、中世のイスラム世界は繁栄を誇る先進地で、ギリシャの科学も医学もそこを経由してヨーロッパに入ったのでした。
『プリンス&プリンセス』『キリクと魔女』で感嘆させたオスロ氏得意の装飾的な絵画スタイルは、アラベスクという素材を得て、ここに極まったというほどの美しさです。ところが大胆にも、それとは水と油のような3DCGによって、顔だけがリアルに立体造形されます。そんなことがうまくいくはずはないと誰しもが思うその試みに、オスロ氏は見事に成功しました。人物の顔貌と的確な表情描写がこの作品に深みを与え、本領発揮の装飾美術的美しさとともに、その大きな魅力のひとつとなっているのですから。

高畑 勲
1935年10月29日、三重県生まれ。'59年に東京大学仏文学科卒業後、東映動画へ入社。劇場用映画『太陽の王子ホルスの大冒険』('68)で初監督。主な作品は、『アルプスの少女ハイジ』('74)、『母をたずねて三千里』('76) 「赤毛のアン」('79)(以上、TV演出)、『パンダコパンダ』('72)、『同、雨降りサーカスの巻』('73)、『じゃリン子チエ』('81)、『セロ弾きのゴーシュ』('82)、『火垂るの墓』('88)、『おもひでぽろぽろ』('91)、『平成狸合戦ぽんぽこ』('94)、『ホーホケキョとなりの山田くん』('99)。『風の谷のナウシカ』('84)、『天空の城ラピュタ』('86)のプロデューサー。他に『キリクと魔女』('03)『王と鳥』(06、ポール・グリモー監督)の日本語版翻訳も手掛ける。著書に『映画を作りながら考えたこと』『十二世紀のアニメーション』(以上徳間書店刊)、「ジャック・プレヴェール 鳥への挨拶」(ぴあ刊、編・訳)などがある。また、シャンソン集CD『わたしはわたし このまんまなの』の編曲・訳詞・解説も手掛けている。
在日外国人が明かす、ココも見どころ!
違う言語(理解できない)を音楽の様に感じる中で、他者とつながっていけることが決して言葉の理解だけに寄るのではなく、すべての五感を通じて行われる事がファンタジーの中ではありますが、とても実感できました。
とにかくすべての絵が美しくて、今まで観たどの映画よりも美しかったです。
異文化を受容することで豊かさを感じさせるアラブの街にとても感動しました。
エンディングのセンスの良さと素晴らしいメッセージに涙が出ました。
人間がこんなすてきな作品を作り出せるなんて、生きているとまだまだ良いことにめぐりあえるのだなぁと感謝しました。おもしろい!!
42歳 / 女性 / 韓国 / 在日韓国二世
自分の親や、住む国の文化だけではなく、まったく新しいValueを作りだしていける世界を子供達にわたしていけるようにならなければいけないと考えさせられる作品でした。
29歳 / 女性 / 日本 / 小学校:アメリカ 中高:インター 大学:アメリカ(帰国子女)
まず、映像がキレイ。溢れる色の世界。世界は美しい。
最初、アズールは恐れから目を閉じ、自分の目で世界を見ませんでした。人の意見や見方で見る世界は色が無く、あじけないものです。どんどん旅に出て自分の目で世界を見て感じたくなりました。
42歳 / 女性 / 韓国 / 在日コリアン
自分の小さな常識を超えた所に、もっと大きな発見や世界が待ってるということを感じました。又、人はその自分の小さな常識を乗り越えて、どこに属するかではなく、一人の人間として生きていけたら、アズールとアスマールのように、ジンの妖精にたどりつけるんだと思います。
32歳 / 女性 / 日本 / 在日韓国人
フランス語のパートだけ日本語にし、アラビア語のパートはそのままにしているのが面白い。「伝わらない」感じが伝わってきた。
21歳 / 男性 / 日本 / 日本人大学生
海を越えて旅をして、最初に目にするものは美しいものばかりではなく、人の不当な態度に傷付いたり、失望することもしばしばです。しかしそれを乗り越えて発見することの大きさ、その意義を美しい青年2人のストーリーに重ねて学び直したのでした。
33歳 / 女性 / 日本 / 今年初めにフランス人の夫と結婚
半分言葉を理解しないままにストーリーが展開していく、というジレッタサがこの映画のとても重要なことなのですね。
自分が「そこ」に居るという事の理由を常に考えなければならない。それがアズールとアスマールの、クラプーのジュナヌの直面した問題そのものなのだから。
そのジレッタサを感じなければ、他者と認め合うようになれないのでしょうか。
この映画のラストはとても楽観的。その気持ちが大切だと思います。人と人はわかりあえるのです。国と国はわからないですが。
41歳 / 男性 / 日本 / 妻がオーストラリア人
アズールが自分の母の国、自分のルーツである国に行き、最初の言葉を聞き取れない場面に私は共感した。
私も初め韓国に行った時、自分の言葉が通じず悲しかった。だからアズールの気持ちがかなりわかったと思う。
共生するということは、周りの理解も必要であるが、まずは自分自身で考え行動しなければ、「共生」するということは難しいと思う。
日本のアニメ映画とは違って奥が深い内容でした。
21歳 / 男性 / 韓国 / 在日韓国・朝鮮人3世
異文化の人同士であっても、人としてうれしく思う事、嫌な事は共通のような気がする。
他人(自分以外の人)=自分という考え方ができたら素敵だと思う。そう思わせてくれた作品だった。
33歳 / 男性 / 日本
日本にずっと住んでいると、外国の人と交流する機会があまりないので、よい教材になるかもしれません。
30代 / 女性 / 日本
日本ではあまり触れる機会が少ないイスラム文化を、アニメを通じてみれたことは良かったと思います。特に色彩があざやかだったのが印象的でした。今、世界で懸念されている西欧文化とイスラム文化の問題が、このようなメディアを通じてよりお互いに理解を深めればと思います。
37歳 / 男性 / 日本 / スペイン滞在17年
改めてマジョリティサイドにあった人間が突如としてマイノリティサイドの人間になることが、往々にしてあるということを感じました。
最後に、陳腐な表現になりますが、異なった人種・民族・宗教間での争いは、未来において絶対に起こしてはならないと強く思います。
23歳 / 男性 / 日本
今の時代にこうした映画が作られたことに強く意義を感じる。
イスラム圏の文化を、こうも美しく描写する映画が、キリスト教文化の根強いヨーロッパの監督によって制作されたことに、なんだか嬉しさを感じる。
世界には争いをしている人々もいるけれど、互いに認めあい、愛しあっている人々もいるのだと、言葉よりも美しさ、映像のきれいさから感じられた。
結局のところ、文化の違いは人を争いに巻き込む要因にもなるけれど、文化の違いがあるからこそ、互いに理解したいという欲求が生まれるのだと思う。
19歳 / 女性 / 日本
映像の色やキャラクターがかわいらしいので、差別と言う、一見、重くなるようなテーマも楽しんで見ること(学ぶ)ができました。
19歳 / 女性 / 日本 / 11~14才まで Fiji Island(大学生)
「人間は皮膚の色、目の色、髪の色、言語、宗教」が違っていても、人としての存在価値、存在する理由は同じなのだと感じられる部分があった。美しい映像でうったえてくるので、くどくない。人種の違いによる誤解も、アズールが「目」を開けることにより、とける。
本当に全てを理解するためには、「目」で見なくてはならない。
よく考えると重いテーマであるこの映画も、美しいアニメによって、より感動的に心にうったえかけてくる作品になっていると思う。
戦争を知らない若い世代、そして差別とはほぼ無縁の日本に住んでいる私たちこそ見るべき映画だと思う。
10代 / 女性 / 日本 / 大学生(留学経験あり)
クレジット
原作/脚本/台詞/デザイン/監督 : ミッシェル・オスロ
音楽 : ガブリエル・ヤレド
歌(エンドクレジット) : スアド・マッシ
プロデューサー : クリストフ・ロシニョン
プロデューサー補 : フィリップ・ボエファール , ジャック・ブレド
エグゼクティブプロデューサー : エーヴ・マシュエル
資金調達 : ダニエル・マルケ
背景 : アンヌ=リズ・ルルドレ・コレール
助監督 : エリック・セール
音響 : トマ・デジョンケール , シリル・ホルツ
ポストプロダクション : ジュリアン・アズレー
MAC GUFF社 エグゼクティブプロデューサー : ジャン・ジャック・ベナム
監修 : エティエンヌ・ペシュー , ピエリック・ブロー
参加 : カナル・プリュス, テーペーエス・スター,フランス国立映画センター
サポート : ウーリマージュ , イル・ド・フランス地域圏
協力 : コフィマージュ16 , コフィノヴァ2 , ソフィシネマ
共同製作
ノール・ウェスト・プロデュクシオン,マック・ギュフ・リーニュ,ストゥディオ・オー,フランス3シネマ,ローヌ・アルプ・シネマ,アルテミス・プロデュクシオン,ラッキー・レッド,ザオリメディア,アンテュイシオン・フィルム
アズール : シリル・ムラリ
アスマール : カリム・ムリバ
ジェナヌ : ヒアム・アバス
クラプー : パトリック・ティムジット
シャムスサバ姫 : ファトマ=ベン・ケリル
アズール(子供) : ラヤン・マジュブ
アスマール(子供) : アブデルセレム=ベン・アマル
<日本語吹替版 キャスト>
アズール : 浅野雅博
アスマール : 森岡弘一郎
クラプー : 香川照之
ジェナヌ : 玉井碧
シャムスサバ姫 : 岩崎響
長島暉実 中村柊芽 小杉彩人 神谷涼太 稲垣隆史 小川真司 清水明彦 宮寺智子 石田圭祐 市之瀬洋一 本名陽子 木下菜穂子
<日本語吹替版 制作スタッフ>
翻訳 : 高畑 勲 豊川恵実
録音 : 木村絵理子(東北新社)
整音 : 井上秀司(東京テレビセンター)
ポストプロダクション : 稲城和実 古城環 津司紀子 西原彩夏
スーパーバイザー : 武田美樹子
制作プロデューサー : 内野友美
制作 : スタジオジブリ
演出 : 高畑 勲
© 2006 Nord-Ouest Production - Mac Guff Ligne - Studio O - France 3 Cinéma - Rhône-Alpes Cinéma - Artémis Production - Zahorimédia - Intuitions Films - Lucky Red
ガブリエル・ヤレドの音楽

私は、アラビア語を使用するレバノンで生まれ、イエズス会で勉強し、ラテン語、フランス語、英語を学びました。幼少期にはオリエンタルな音楽やアラブの楽器の音に包まれて育ちました。アズールの様に目が青くなくても、私はアズールとアスマールを足して2で割ったような人間なのです。今回は、その個人的背景が大いに役立ちました。
冒頭の子守歌は、もともとオスロ監督がフランス語で書き、その後アラビア語に訳された4行詩から発想を得ました。そしてこの子守歌のテーマを繰り返したり、変調したり、映画の他のシーンに挿入したりもしました。
具体的な仕事の仕方としては、絵コンテをもとに、完全に自由な発想でイメージを膨らませ、出来るだけ深く掘り下げてから、実際の映像を見るようにしました。ただ映像が喚起するものとイメージが違う場合は、イメージを却下しました。ところどころ小さな修正の依頼などをメールでやりとりをしましたが、収録で会った時には、監督は完全に音楽に魅了されていました。
「アズールとアズマール」は、これまでで最も美しいアニメーション映画です。楽しいだけではなく、全ての年齢の観客にとってためになる映画ではないでしょうか。
オスロ監督からのコメント
彼の才能はもちろん知っていましたが、一緒に仕事をするにつれ、彼と仕事ができるのは特権であると思うようになりました。音楽家としての才能だけでなく、人間として素晴らしい人物だったのです。ガブリエルの音楽が映像にのった瞬間、奇跡が起こったと思いました。例えば真紅のライオンのシーンは、音楽をつけるまでは主人公の冒険の単なる通過点でしかなかったのですが、音楽によって尊さが加わり、感動してしまいました。ガブリエルの音楽には、観客を知り尽くしたプロによって作曲されたポピュラー音楽の抗いがたい魅力、もう一つは才能ある真摯なアーティストの繊細な感情があると感じます。
これまで携わった主な映画音楽
2003:
コールドマウンテン (アンソニー・ミンゲラ)1999:
リプリー (アンソニー・ミンゲラ)1996:
イングリッシュ・ペーシェント (アンソニー・ミンゲラ)
※米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞のオリジナル作曲賞を受賞1991:
ラマン (ジャン=ジャック・アノー)1985:
ベティー・ブルー (ジャン=ジャック・ベネックス)
アズールとアスマールのアイデアはどのように生まれたのですか?
国や人種の違いによってお互いに憎み合い―そのように育てられたわけですが―争ってしまう人々。片や、それぞれ人種の違いや周囲の反対にかかわらず、互いに尊敬し仲良くできる個人のお話。そこに一番関心があります。現代では国どうしの戦争ではなく、人々の根深い憎しみが日常的にありました。古い人間と新しい人間との確執や、また西洋と中東の間に起こる争いなどです。そこに、私のテーマがあったのです!厳しい現実をおとぎ話の形で表現するのです。争いの元には、嘆かわしくまた腹立たしいことに、人工的に作り上げられた誤解があります。

最初にアイデアがあって、それに続いて映画の世界観というものが出来上がった、という順番なのですね?
はい、現代的なもの道徳的なものを作りたいという気持ちが先にあり、北アフリカのマグレブやイスラムの文化といった背景は後から来ました。とはいえ、広大な地域に広がっていた中世のイスラムの輝かしい文明は以前からずっと素晴らしいと思っていました。背景や衣装にその要素をふんだんに使いました。またその他アンダルシアからトルコ、ペルシャまで、気に入った要素はいろいろと取り入れました。
制作期間の仕事について、詳しく教えていただけますか?
まずコンセプトです。アズールとアスマールの場合、フランスとマグレブの関係について考えるところから始まり、生まれた環境が全く違う乳飲み兄弟の話で、金持ちと貧乏人の子供という設定を思いつきました。それからお話しの途中でこの兄弟の立場を逆転させようと考えました。その後は、膨大な資料集めとデッサンの仕事です。舞台設定に関しては、地理的にも歴史的にも正確を期すことを念頭におきながら、しかし宗教の理由で古代から16世紀までの間マグレブの世界を描いた絵がありませんでしたので、スタッフたちと想像力を働かせることもしました。そして絵コンテ、背景、アニメーション、ポストプロダクションと続きます。
ジンの妖精や真紅のライオン、サイムール鳥などのアイディアはどこからきているのですか?
「アズールとアスマール」は全くのオリジナルで、下敷きになっている話はありません。ジンの妖精は私の創作ですし、青い爪を持った真紅のライオンもそうです。ジンの妖精については、曖昧な表現でしかなかった存在を具体的に絵にしたところが私の創作です。ですがサイムールに関しては、ペルシャの話に出てくる伝説の鳥からもってきました。人間を運ぶこともできれば、また食べてしまうこともできる巨大な鳥の話は古くからいろいろな話に出てきます。
背景には歴史的建築物からもヒントを得ましたか?
はい、最後のシーンではイスタンブールに数ある大きなモスクをモデルにしました。このモスクの建築には、キリスト教の神聖な場所でもある聖ソフィア聖堂の影響もみられます。いろいろなものが混在し支え合っている、これは映画のメッセージとも合致します。
今年、私の見た映画で一番でした。特に、青い目をしためがねの(名前を忘れた)キャラがイヤな感じで楽しかったです。
主人公が、船から落ちる場面は、思いもしない展開でぐいぐい引き込まれました。
ジブリスタッフが明かす、ココが見どころ!
今年、私の見た映画で一番でした。特に、青い目をしためがねの(名前を忘れた)キャラがイヤな感じで楽しかったです。
主人公が、船から落ちる場面は、思いもしない展開でぐいぐい引き込まれました。
スタジオジブリ 作画 : 賀川 愛
宣伝に携わっていることもあって、何度かこの映画を観るチャンスに恵まれた。
英語字幕で観た一度目は、映像の美しさに圧倒された。次に、日本語字幕で観た二度目は、随所で笑って愉快な気分になった。しかし、日本語吹替え版で観た三度目は、涙が溢れて止まらなかった。告白すると、ふたりの若者にホレてしまったらしい。あまりにも気高く爽やかなアズールとアスマールの二人。クライマックスでは、ふたりの聞いているだけで恥ずかしくなるような会話が炸裂し、加えて、肌の色の違いも、年齢の差も、貧富の差も何も関係ないんだというオスロ監督のメッセージが、これでもかこれでもかと己の胸にせまってくる。この繰り出される直球のメッセージの連続に僕は圧倒されて、視界は涙で曇り、終映後もなかなか席を立てなかったのだ。
生涯、三本のうちの一本に入る、すごい作品です。ひとりでも多くの人と、この体験を共有したいと思います。
スタジオジブリ 広報部部長 : 西岡 純一
1カット1カットがとても美しかった。中世のタペストリーやウィリアム・モリスの壁紙やペルシャやインドのミニチュアールの絵画を観ているようで、目の贅沢をさせてもらった感じ。お話も初めは地味で暗い話のようにみえましたが、予想外のエンターテイメントでした。
これは私だけかもしれませんが、まさか、爆笑して観終わるとは思いませんでした。
設定や人間関係もいろいろな意味がこめられていて奥深く、考えさせられました。演出は地味でエキサイティングではありませんが・・・。
スタジオジブリ 作画スタッフ
ダイナミックなカメラワークが多用される昨今、シンプルさと鮮やかな色使いがまるで動く紙芝居を見ているようで、童心に返る思いで観入ってしまいました。
スタジオジブリ 映像部スタッフ
とにかく色が本当にきれいでした。昔のディズニーのようなキャラなどの色使いや、実線の色、背景もかなりかき込まれていたり、ディテールの細かさ、本当に画面全体が、一枚の絵のようできれいでした。内容もおもしろかったし、久々によい映画に出会えて幸せな一刻でした。自分もこういう良い作品にたずさわっていきたい、作っていきたいと思える映画でした。
スタジオジブリ 映像部 : 高橋 広美
映像の派手さを追求するのではなく、とても心地の良い絵づくりのためにCGを使う方向性に共感を覚えました。
スタジオジブリ 映像部 : 三好 紀彦
「和洋共存」的な香港や多民族のカナダで住んでいましたので、周りの人々の外見や言葉の違いを全然気にしていませんでした。しかし、日本に来てしかも瀬戸市で住んでいた頃、街中に見えるのがアジア系の顔、聞こえるのも日本語なので、いつの間にか僅かな外国の人の方がすごく浮いている存在だと感じました。でも、2005年の愛知万博を積極的に参加する方々や、私の英語の生徒達も含む外国語を学ぼうとする多くの人たち、努力をしてお互いのことや文化を理解しようとする彼らの姿が眩しくて、非常に強い印象を受けました。単純にそれが平和への第一歩ではないかと思いました。今回素晴らしい作品「アズールとアスマール」を拝見させていただきまして、その時の思い出が胸によみがえりました。
スタジオジブリ 海外事業部 : マ・エヴァン
中近東の街や、装飾がキレイでした。
スタジオジブリ 美術部 : 伊奈 涼子
幾何学的で色鮮やかな美しい映像、流れるように展開してゆくストーリー、まるで予測できなかったラストは必見です!!
スタジオジブリ 美術部 : 矢野 きくよ
先に試写を見た人は「面白かった!」と好感触。
ほう、これは期待できると思いいろいろ想像をふくらませてから見ると、自分の考えていたものとはまったく別種類のおもしろさを体験しました。特にラストの展開はまず読めないでしょう。
スタジオジブリ 美術部 : 高松 洋平
物語にどんどん引き込まれていった。画面の色彩がとにかくキレイ。
スタジオジブリ 美術部 : 西川 洋一
スクリーンから溢れ出しそうな多彩な世界に最後まで魅了されました。ラストは思わず笑みがこぼれます。目も心も豊かにしてくれる、そんな作品です。
スタジオジブリ 美術部 : 佐藤 詩穂
異国の空気感が旅に出た時に感じるものと同じでとても楽しめました。キャラクター達も一人一人が魅力的で予想外のストーリーの中を走り回っていて良かったです。
音楽や画面も鮮やかでテンポもよく、ディズニーランドに行ったような満足感がありました。
スタジオジブリ 映像部 : 熊倉 茜
実写や手描きに不可避な”自然な”不正確さを再現するために、CGは、わざわざコストを費やすしかありません。
しかし、「アズールとアスマール」の無駄な陰影を排除したキャラクター、アラベスク文様のくり返しの美しさは、そんなCGの得手、不得手を見事に掌握しており、なんと潔いCGの使い方だろうと思いました。
スタジオジブリ 映像部 : 岩沢 駿
・色彩の美しさ 配色の美的センスの良さ エルメスのスカーフのような絵物語
・アラビア語の響きの美しさ 時に力強く男らしく、また時に繊細で優しい響き 思わず習いたくなる
・北アメリカでもヨーロッパでもアジアでもない、アラビア世界に新鮮味を感じる
→ まだ行ったことのない地へ思いを馳せるのが楽しい
そして美しい音楽によって、更に想像力が掻き立てられる・「千一夜物語」の世界を疑似体験できる
スタジオジブリ 海外事業部 : 落合 健造
アラビア語って、右から左に書くんです。クエスチョン(?)も日本語とは対称に書くんです。
この映画の翻訳絵本の編集作業をするにあたり、アラビア語、アラビアの文化に少しだけ触れることができました。
わたしは、この映画を(この本も)小学生の子どもたちにも見てほしいと思っています。子どものときに異文化に触れることは、世界の人と分け隔てなく付き合える、広い視野をもった大人になれると思うからです。単純かもしれませんが、そういう人が世界中で増えれば、オスロ監督の目指す、愛に満ちた、幸せな未来が生まれると思うのです!!
スタジオジブリ 出版部 : 伊平 容子
色鮮やかな場面が次々と変わり、人も物も全てが美しく見飽きることがありません。一つの世界しか知らないことで起こる偏見や迫害を登場人物はみな経験し、お互いを知ることで共に手をつなぎます。明快で、そして軽やかな物語を、理屈抜きに素直に楽しむことができました。
いろいろな物であふれている現代ですが、ふと足を留めてしまうぐらい印象的なものに出会うことって、数少ないと思います。その数少ない出会いがこの映画でした。
三鷹の森ジブリ美術館 トライホークス 室長 : 石光 紀子
アズールとアスマール」制作秘(悲)話?
◎多様性、◎対比、◎共存、◎赦す、◎認める、◎知る。
たすけあう。わかちあう。輪になっておどろう。「馬の行儀がわるいのは馬のせいじゃない。」居てくれてよかった。ケンカするよりわかちあえ。2つの国からやって来た。「お前に勝ってほしい。」自分探し。目を開く。異邦人。迷信を信じますか。僕はアイツとちがう!だから・・・。旅をする。出会う。2人と結婚します。あなたの勝ちです。信じる信じない。いろんな人に会いました。妖精を探しに行きました。どっちもどっち。僕の目は青い!何がいけない?「一番乗りはどっち?」血の色はみんなおなじ。青い目と茶色い目。異なる色の目の2人が同じ夢をみた。同じ色の夢をみた。
偏見をなくせばわかりあえる。⇒僕たちは兄弟。(です)
う~ん、上記は最初に美術館のメンバーで「アズールとアスマール」のキャッチコピーを考えてみようじゃないかと息巻いて、ホワイトボードに羅列した言葉の断片たちです。ところが、キャッチコピーなんて元々考えたこともないし、さらに普段からあまり深く物事を考える事になれていない私達は、すぐに怪人ジブリブリを肩に乗せ、妙な汗を額にかき、不気味な笑みを浮かべるのでした。
「海の向こうは、不可思議の国だった。」
これが正式に決まった「アズールとアスマール」のキャッチコピーです。まさに「アズールとアスマール」の内容そしてメインビジュアルにぴったりです。高畑監督、鈴木プロデューサーはじめ普段から物事を深く考え、それをどうお客様に伝えていこうかという事を生業としているスタジオのメンバーにはやっぱり敵いません。
皆さん、「アズールとアスマール」を是非観てください。そして皆さんなりのキャッチコピーを考えてみて下さい。これ、以外に面白いし、物事をまとめるときに役立つときが来ると思います。しかし、僕たちは兄弟って。。三鷹の森ジブリ美術館 事業課課長 : 深谷 秀樹
子供と一緒に安心して観ることができる名作です。まるで舞台や紙芝居を観ているような世界。すぐに物語の中に引き込まれます。そして、手柄を譲り合ったことで、おとずれるハッピーエンド。この映画体験を通して、子供たちの心の奥に確りと届くことでしょう。自分だけの幸せを考える人が増え、バランスが崩れている今の時代だからこそ・・・。
この夏、ぜひ親子で一緒に見てほしい映画です。
三鷹の森ジブリ美術館 カフェ麦わらぼうし 店長 : 堀口 照正
目眩く極彩色の映像に終始、圧倒されました!
三鷹の森ジブリ美術館 ショップ マンマユート 店長 : 今井 知己
イスラム圏では神の創造物を具現化してはいけないという制約があるなか、どのようにして参考にする意匠を集めたのですか?
実際、マグレブ・アンダルシアの資料があるのは例外的で、両手で数えられるくらいしかありませんでした。話の設定は中世なので、時代考証では少しズルをしてしまいました。ですが地理的なところではズルを最低限におさえ、ジェナヌが力のある商人になり、影響力のある人物となったくだりで説明がつくようにしました。ジェナヌの商船やキャラバンは世界中をめぐるので、彼女は息子にイスファハンの最新モードの衣装も与えてやることができるのです。とはいえ一番大事なことは美しいこと!それにつきます。

ミッシェル・オスロ
Profile
コート・ダジュール生まれ。ギ二アで幼少時代、アンジェで思春期を過ごす。芸術を勉強した後、独学でアニメーションを学ぶ。プロとしての初短編作品「3人の発明家たち」(1979)でロンドンのBAFTA賞を受賞。この映画以降、自ら全てのシナリオとイメージデザインを手掛ける。影絵を用いた「プリンス&プリンセス」など、今までに短編アニメやテレビアニメを多数制作し、セザール賞をはじめ数多くの賞を受賞している。また、初の長編作品「キリクと魔女」での観客の高い評価により、一躍有名になった。1994年から2000年までASIFA(国際アニメーション協会)の議長も努めた。また2007年には、ビョークの最新作『アース・イントゥルーダーズ』のプロモーションビデオも手掛けている。
Filmography
1976年:
Gédéon (「ゲデオン」) (1話5分で60エピソード)1979年:
Les Trios inventeurs (「3人の発明家たち」)1981年:
Les Filles de l'Egalité(「対等な娘たち」)1982年:
Beyond Oil(「油以上に」)1982年:
La Légende Du Pauvre Bossu (「貧しいせむし男の伝説」)1986年:
La Princesse Insensible(「冷酷な王女」) (1話4分で13エピソード)1987年:
Les Quatre Voeux(「4つの願い」)1989年:
シネマシリーズ(各12分)
La Princesse des Diamants( 「ダイヤモンドの王女」)
Le Garçon des Figues(「イチジクの少年」)
La Reine Cruelle(「残忍な王妃」)
La Sorcière (「魔女」)
Princes et Princesses (「王子と王女」)
Icare (「イカロス」)
On ne Saurait Penser à Tout( 「全部考えることなんて出来ない」)
Le Manteau de la Vieille Dame(「老女のコート」)
※2000年「プリンス&プリンセス」として劇場公開1992年:
Les Contes de La Nuit (「夜の物語」)(特別篇26分)1998年:
Kirikou et Sorcière(「キリクと魔女」)(71分)2005年:
Kirikou et Les Bêtes Sauvages (「キリクと魔女2 4つのちっちゃな大冒険」)
アズール Azur
ヨーロッパの領主の子として生まれ、乳母ジェナヌに育てられる。大きくなり”ジンの妖精“を求めて海を渡るが、「青い目は不吉」と言われ、一時は盲目のふりをする。しかし、ジェナヌたちとの再会を果たし、再び旅を続けることになる。
アスマール Asmar
乳母ジェナヌの子。幼い頃に母と共に領主から追い出されるが、海を渡った後、母の成功により大富豪の子として生活している。過去の恨みから、再会したアズールには心を開かない。しかし、旅の途中大怪我をし、アズールに助けられる。
乳母 Jenane
アズールとアスマールを平等の愛情で育てる、強くて賢い女性。ヨーロッパとイスラム、両方の国の言語や宗教を知っていたことにより、商売で大成功する。しかし、女で成功した為、悪徳商人ウアルたちに目の敵にされている。
クラプー Crapoux
かつて“ジンの妖精”を求めて、ヨーロッパから海を渡ってきたが、よそ者扱いされ、今では青い目を隠し、物乞いとして生活している。イスラムの国に対して悪口ばかりを並べて唾を吐くが、本当は愛着を持っている。アズールの従者となり共に旅に出る。
シャムスサバ姫 Princess Chamsous Sabah
街の宮殿に幽閉されている知的で好奇心旺盛な姫。何ヶ国語もの言葉や天体観測台を操り、アズール達には、旅の危険を回避するための魔法のアイテムを渡す。その代わりに、アズールに街に連れ出してほしいとお願いする。
賢者ヤドア Le Sage Yadoa
異国で迫害を受けイスラムの国にやってきたユダヤ人の賢者。様々な研究をしながら、シャムスサバ姫に語学を教えている。医者でもあり、足を痛めたクラプーを治療したこともある。アズールには、旅の道順や危険の情報を与える。
7月21日(土)より、シネマ・アンジェリカ渋谷他にて公開
◇東京 / シネマ・アンジェリカ ・・・終了しました
◇東京 / シネマシティ ・・・終了しました
◇大阪 / シネ・ヌーヴォ ・・・終了しました
◇兵庫 / シネ・ピピア ・・・終了しました
◇名古屋 / シネマテーク ・・・終了しました
◇福岡 / シネテリエ天神 ・・・終了しました
◇金沢 / シネモンド ・・・終了しました
◇北海道 / シアターキノ ・・・終了しました
◇岡山 / シネマ・クレール ・・・終了しました
◇京都 / みなみ会館 ・・・終了しました

東京 / シネマ・アンジェリカ
上映期間: 終了しました。
住所: 東京都渋谷区道玄坂1-18-3 フジビル37-B1
TEL: 03-5459-0581
URL: http://www.gojyu.com/
・道玄坂上る「道玄坂上交番前交差点」左折、ひとつ目交差点左折。
・マークシティ4F「道玄坂上方面出口」左折、つきあたり右折。
・Mapfan
東京 / シネマシティ
上映期間: 終了しました。
住所: 〒190-0012 東京都立川市曙町2-8-5
TEL: 042-525-1251
URL: http://www.cinemacity.co.jp/
大阪 / シネ・ヌーヴォ
上映期間: 終了しました。
住所: 大阪市西区九条1-20-24
TEL: 06-6582-1416
URL: http://www.cinenouveau.com/
兵庫 / シネ・ピピア
上映期間: 終了しました。
住所: 兵庫県宝塚市売布2-5-1 ピピアめふ5F
TEL: 0797-87-3565
URL: http://www.cinepipia.com/
名古屋 / シネマテーク
上映期間: 終了しました。
住所: 名古屋市千種区今池1-6-13 今池スタービル2F
TEL: 052-733-3959
URL: http://cineaste.jp/
福岡 / シネテリエ天神
上映期間: 終了しました。
住所: 福岡市中央区天神3-6-18 馬場ビルB1F
TEL: 092-781-5508
URL: http://www.yu-raku.co.jp/cineterrie/
金沢 / シネモンド
上映期間: 終了しました。
住所: 金沢市香林坊2-1-1 KOHRINBO 109 4F
TEL: 076-220-5007
URL: http://www.cine-monde.com
北海道 / シアターキノ
上映期間: 終了しました。
住所: 札幌市中央区狸小路6丁目南3条グランドビル2F
TEL: 011-231-9355
URL: http://theaterkino.net/
岡山 / シネマ・クレール
上映期間: 終了しました。
住所: 岡山市丸の内1-5-1
TEL: 086-231-0019
URL: http://www.cinemaclair.co.jp/
京都 / みなみ会館
上映期間: 終了しました。
住所: 〒601-8438 京都府京都市南区西九条東比永城町78TEL: 075-661-3993
URL: http://www.cinemacity.co.jp/
どちらがジンの妖精のいる光の大広間へと続いているのだろうか?

アラビア人の乳母ジェナヌに、まるで兄弟のように育てられた、ヨーロッパの領主の子アズールとジェナヌの子アスマール。お乳もおやつもいつも半分ずつ。子守歌もアラビア語とフランス語で歌われるのだった。
しかし、身分も人種も異なる二人。立派な服を着て剣道に乗馬にダンスなどお稽古事に忙しいアズールに対して、それを横から見ているしかないアスマール。お互いの違いが理由でケンカばかりの毎日だったが、困った時は助け合う本当は仲の良い二人だった。
しかし、別れは突然やってくる。アズールが寄宿生活をすることになり、領主はジェナヌとアスマールを屋敷から追い出してしまう。

アズールは成長してなお、幼い頃乳母が歌っていた子守歌を忘れることができなかった。その中で歌われていた“ジンの妖精”を救い出す為、海を渡ることを決意する。しかし、苦難の末、辿り着いた憧れの国で最初に耳にした言葉は、「青い目は不吉」。
ここイスラムの地で、仕方なく盲目のふりをして歩き出したアズールにとって、すべては醜く、また不可解なものばかりだった。旅の道連れとなった物乞いのクラプーもまた、ヨーロッパからやってきた男で、この国に“ない”ものばかりを並べてあげては、不平ばかりを言っている。
旅の途中、アズールは聞き覚えのある声を耳にする。それが、かつての乳母ジェナヌだと分かり、必死に声の聞こえてきた屋敷の扉を叩く。しかし、商売に成功し大富豪となっていたジェナヌは、物乞い同然の盲目の青年を、アズールだとは気が付かない。アズールは、勇気を出して目を開き、乳母の子守歌をアラビア語で歌ってみせるのだった。再会に涙する二人。
そこへ、同じく立派な青年となったアスマールが帰ってくる。彼は、“ジンの妖精”を救い出す為に明日旅立つという。あわてて自分も行きたいと名乗り出るアズール。
アズールは、出発の前に情報を集める為二人の人物に会う。賢者ヤドアからは、妖精へと続く道のりとそこに潜む危険についての情報を聞き出す。彼は、異国の民であったが、この国の寛容さを受け入れて生きている。
シャムスサバ姫からは、その危険を回避するための3つのアイテムを手に入れる。彼女は、アズールと会うなり”なんて美しい目だこと“と言い、世間が惑わされている青い目の迷信を軽蔑していた。
こうして再び目をあけて歩き出したアズール。彼の瞳に改めて映ったこの国は、魅惑的な美しさとヨーロッパを遥かに越える水準の学問や技術力をもった、まったく新しい国だった。アズールは、蛍の舞う夜の街を見下ろして呟くのだった。「目を開けてよかった」と。
いよいよアズールとアスマールの冒険が始まる。アスマールは、過去の恨みから別々に旅することを主張する。しかし、度重なる危険の中で仲のよかった兄弟としての感情を取り戻してゆく。致命的な傷を負ったアスマールを背負い、アズールは、最後の2つの門へと辿り着く。果たしてどちらが、ジンの妖精のいる光の大広間へと続いているのだろうか?

いい子はね 大きくなって 海を渡るよ 救い出すよ
ジンの妖精を ふたりは幸せに
アラビア人の乳母ジェナヌの子守歌で、
まるで兄弟のように育った
青い瞳のアズールと黒い瞳のアスマール。
大きくなって乳母の歌っていた子守歌の国を訪ねるため、
アズールは、遠く海を渡る。
しかし、この国の人たちはみんなが黒い瞳で、
アズールの青い瞳は、不吉の“呪われた目”だった──。
かつて栄華を極めた中世イスラムを舞台に、
「キリクと魔女」のミッシェル・オスロが描く
少年の自立と成長と融和の物語。
海の向こうは、不可思議の国だった。
海の向こうは、不可思議の国だった。
アラビア人の乳母ジェナヌに、まるで兄弟のように育てられた、青い瞳のアズールと黒い瞳のアスマール。領主の子アズールは青年となり、幼い頃聴いた乳母の子守歌を頼りに"ジンの妖精"を求めて海を渡る。
しかし、苦難の末に辿り着いた憧れの国で、最初に聞いた言葉は「青い目は不吉」。一方、乳母ジェナヌとその子アスマールは、すでに海を渡り、ここイスラムの地で大富豪となっていた。領主の子と使用人の子という関係だったアズールとアスマールは、海を越えただけで何もかも逆転してしまう。
仕方なく盲目のふりをして歩き出したアズールにとって、この国のすべては醜くまた不可解なものばかりだった。しかし、ジェナヌをはじめ、物乞いのクラプー、シャムスサバ姫、賢者ヤドアなど、異国の文化や言語の中で逞しく生きている、個性的で魅力的な人々と出会っていく中で、この国の本当の美しさを発見してゆく。個々の付き合いこそ、人種や民族、文化圏の間にある偏見を乗り越えるための第一歩なのだ。

人工的に作られた迷信や誤解によって、異なる者同士が争い合っている世界。様々な違いによって区別され差別される社会構造。オスロ監督は、このような現代にむけて、人々が相互に理解し合い融和していく為の、希望に満ちたこのお話を、とびきり美しくまた面白く語っているのだ。
フランスアニメーション界の鬼才、ミッシェル・オスロ監督最新作!
~美しい色彩と構図の中に隠された様々な仕掛け~
『キリクと魔女』で、フランスアニメーション界最大のヒットを記録した、ミッシェル・オスロ監督の最新作「アズールとアズマール」。本作は2006年にフランスで公開され、『キリクと魔女』を超える160万人を動員する大ヒットを記録した。オスロ監督特有のエキゾチックな色彩美と装飾的な絵画スタイルに加え、3DCGによる人物描写を見事に融合したところが今作の最大の特徴。冷静でリズミカルな場面展開の中には、様々な“対比”が仕掛けられ、観客は何度見ても新たな発見を楽しむことができる。

また、アフリカで育ったオスロ監督が常にテーマとしている異文化の問題が、非常に実験的な方法で投げかけられている。未知の国へ辿り着いた主人公の感覚を同じように体験できるように、という理由から、映画の中で語られるアラビア語には、いっさい字幕も吹替も許されていない。オスロ監督が“魅力的な音の体験”と語るように、この物語を見るであろう、多くの子供を含む観客たちに“異文化”を身体で体験することの重要性を込めている。
架空の冒険ファンタジーと実在する世界
物語の舞台は、中世イスラム世界。特に北アフリカのマグレブ地方(現在のモロッコ・チュニジア・アルジェリア)がモデルとなっている。架空の動物や妖精ももちろん登場するが、アンダルシアの建物をはじめ、歴史的建築物や実在する風景もあちこちに出てきている。また、当時、医学も数学も天文学も・・・また芸術も科学技術も、ヨーロッパを遥かに凌駕するイスラム文化が花開いていた時代でもあった。シャムスサバ姫の宮殿にあった天体観測台やヤドアの研究室がその例である。東洋の人々がヨーロッパから輸入したと思っている文化の多くは、そのルーツがイスラムにあったのである。

オスロ監督は、ファンタジーの中に実在する風景や歴史的事実を盛り込むことで、観客にこう問いかけている。
「この素晴らしい世界は実在するのですよ。
さあ、出かけていって実際に御覧なさい!」
日本語吹替版翻訳・演出を高畑勲が担当。
個性的なサブキャストの声を香川照之が熱演!
日本では、「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョとなりの山田くん」の高畑勲監督が、「キリクと魔女」に引き続き日本語版監修・翻訳・演出を行った。
アラビア語はオリジナルの音声を生かし、フランス語の部分だけを日本語に吹替えるという非常に困難な作業となった。
両言を話す登場人物の場合、キャストたちは、限りなくオリジナルの声優に近い演技をするだけではなく、その声質や発声方法までも揃えなくてはならない。
この制約の多い難しいアフレコに参加したのは、3年連続日本アカデミー賞助演男優賞に輝く香川照之。
登場人物の中でも最も個性的でグロテスクな役柄クラプーを見事に演じている。
また、才気煥発、ひときわチャーミングなシャムスサバ姫を、8歳の新人子役、岩崎響が好演している。
劇場用予告編 ~ 7.21 (sat) ロードショー ~
海の向こうは、不可思議の国だった。
フランスアニメーション界の鬼才、ミッシェル・オスロ監督最新作!
架空の冒険ファンタジーと実在する世界
日本語吹替版翻訳・演出を高畑勲が担当。個性的なサブキャストの声を香川照之が熱演!
三鷹の森ジブリ美術館第二回提供作品