本棚より[季刊トライホークス 2015年40号]


世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。

大どろぼうホッツェンプロッツ

作...プロイスラー 訳...中村浩三 偕成社 900円(税抜)

 少年カスパールと友だちのゼッペルは、おばあさんに手作りのコーヒー挽きを贈りました。しかしある日、大どろぼうのホッツェンプロッツが無理やり奪っていきます。二人は大どろぼうをつかまえようと策を講じますが、逆に捕えられてしまいます。しかもゼッペルは鎖につながれて召使いにされ、カスパールは大魔法使いツワッケルマンに売られてしまいました。彼らは無事に戻ることができるのでしょうか。

 次々と事件が起こり、少年たちと読者をいっきに冒険の世界に引き込む物語。一度読み始めてしまうと、止められないおもしろさです。個性豊かなキャラクターたちはみな、魅力的です。賢くてまっすぐな少年ふたりはもちろんのこと、抜け目ないホッツェンプロッツやツワッケルマンらは悪人ですが、ミスは起こすしケンカはするしで、憎めません。さらに端々に登場する"小物"が物語を盛り上げます。"コショウピストル"や"ようせい草"、なかでも"とんがり帽子"は重要です。大魔法使いが「持ち主」を呼び出すために、呪文をとなえたところ......。その後の、驚きの展開に声をあげて笑ってしまいました。

 物語の後半で、少年ふたりは "魔法の指輪"を手にしますが、その使いみちも潔く、もし自分だったらいろいろと迷うだろうな、と思いました。楽しくて気分のよくなる大好きな本なので、機会があるたびにおすすめしています。

エパミナンダス 愛蔵版おはなしのろうそく1

編...東京子ども図書館 1~10 各1,600円(税抜)

 この本には、日本の昔話だけでなく、世界中の昔話や創作、なぞなぞや手あそびなど、長いものから短いものまで、たくさんのお話が収められています。現在10巻まで出ていますが、実際に子どもたちに語ったお話の中から、子どもたちも、語り手も満足したものが集められているそうです。このシリーズを手に取るたびに、タイトルって本当に大切だなと思います。『ついでにペロリ』や『だめといわれてひっこむな』がどんなお話か気になりませんか?

 お話を楽しむのはいつも"子どもたち"だと思いがちですが、大人の方にもぜひ楽しんでもらいたいです。読むのはもちろん、声に出してみたり、お話の語りを聞くのも含めて、少しずつ違った印象になるのではないかと思います。「お話を聞く」こと自体、大人になると滅多にないかもしれません。だからこそ、機会があったらぜひ聞いてみてください。お話の世界が自分の中に広がっていく感じは、読むのとはまた別の楽しみではないかと思います。

 持ち運びがしやすいサイズ、本の作りもじょうぶです。この一冊で本当にいろいろな世界を旅することができると思います。何度も何度も楽しみたい本です。

季刊トライホークス 40号(内容紹介)

「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。

夢中になって読んだ本
スペイン語圏の本を数多く翻訳されている宇野和美さんに、本を紹介していただきました。たくさんの本が出版されている今、本を選ぶときの理由は「著者」だけでなく、「翻訳者」であることも多いのではないでしょうか。言葉を選び、構築していく「翻訳」という仕事。宇野さんがこの仕事を意識されたときのことも触れられています。
連載「ローラ・インガルス・ワイルダー(第4回)」
ワイルダーの連載、最終回です。「小さな家シリーズ」第8巻、『この楽しき日々』を取り上げます。この巻では、ローラとアルマンゾの恋から始まって、ふたりが家に落ち着くまでが描かれています。
山猫だより「読書会」
美術館の裏側(?)、日常について書いています。 だいたいひと月に一度のペースで行っている「読書会」。仕事が終わった後に集まって、本を手に各々の感想を自由に話す会です。何が面白かったのか、何が面白くなかったのか、ざっくばらんに話してみようと始めて、今では6年ほど続いています。