美術館事業の仕組み


この美術館事業は、前述のように、三鷹市の文化施設建設構想と、株式会社徳間書店スタジオジブリ事業本部(現 株式会社スタジオジブリ)の美術館構想の一致によって行われるものです。しかし、計画敷地が都市公園内であるために、民間の施設を設置することは事実上困難であることから、美術館は、三鷹市の公の施設(市立美術館)として設置されることになりました。

こうしたことから、ジブリと三鷹市との間では PFI(※注1) などの様々な方法の検討が行われました。

最終的には、ジブリが三鷹市に対して建築物の 負担附き寄附(※注2)を行ない、三鷹市所有の公の施設(※注3)とすることで合意しました。そして、三鷹市はジブリが構想している内容の美術館を運営するためのノウハウを持たないことから、三鷹市と株式会社徳間書店などが出捐して新たに財団法人を設立し、その財団法人が美術館の管理運営を行なうこととなったのです。

美術館の建物は三鷹市の所有になることから、建物等の維持管理費の一部と修繕・補修費は基本的に三鷹市が負担し、美術館の管理運営については、三鷹市が 利用料金制度(※注4) を導入し、来館者の方の入場料などによって財団法人が独立採算的に行っています。

さらに株式会社マンマユート団は三鷹市から公の施設の目的外使用許可を受け、ショップやカフェの運営を行っています。

美術館事業の仕組みは下図のように整理されます。

※注1.「PFI」→ Private Finance Initiative
民間資金等の活用による公共施設等の整備等。公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、公共の財政支出の負担軽減を図り、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方。「小さな政府(行政は規模・財政的に身軽であること)」を標榜する英国で生まれた手法。日本国内でも「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」が成立するなど、法制化の動きが活発化している。
※注2.「負担附き寄附」
寄附を受けるに当たって一定の条件が付され、その条件に基づく義務を履行しない場合に当該寄附が解除されるもの。地方自治体が負担附き寄附を受けるときは議会の議決を要する。
※注3.「公の施設」
地方公共団体が住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するために設ける施設。公の施設の設置及び管理に関する事項は条例で定めなければならない。
※注4.「利用料金制度」
地方自治法の規定により、公の施設の利用料(一般的には入場料や駐車料、宿泊料等)を、その施設の管理を委託されている者が収入として受け取る制度。公共サービス部門の財政的独立という観点からも、多くの自治体で導入又は検討されている。