2001年12月


12月01日(土)
作業室で、美術館に収蔵されるロシアや日本のアニメーション・フィルムの保管作業を行なった。イマジカの内田さん指導のもと、学芸員・三好さんを中心に、橋田さん、滝口さん、深谷さん、机さんが作業に当たった。ノルシュテイン作品や名作「雪の女王」など貴重なフィルムを目の当たりにして、「美術館スタッフの勉強会を兼ねた上映会を」という企画が、覗きに来た吾朗さんに出された。

閉館後、新品のマックロクロスケが、運営スタッフによってネコバスルームに置かれる。
9月から子どもたちの相手をしてくたびれ気味だったマックロクロスケも、これでちょっと元気に見えるでしょうか。


12月03日(月)
何人かのお客さまから「美術館のエンブレムの絵の意味がわかりました!」という反応。エンブレムには3羽の鷹(三鷹)と猪(井の頭)と木の下にトトロが描かれている。スタッフが「正解です!」と言うと、大喜び。しかしなぜ今日に限ってそういうことを言う方が何人もいたのか、謎だった。


12月04日(火)
本日は美術館の収蔵庫の燻蒸作業が本格的に行なわれる。石光さんが「臭くてすみません」とスタッフに謝りながら作業に立ち会っていたが、側を通る人は収蔵庫の中に恐ろしく太いホースが部屋の中から出ているので驚いていた。部屋のガス抜きのためだったらしい。


12月05日(水)
映像展示室用の時計が美術館に運ばれてくる。昭和一桁台に製造されたらしいその時計はとても大きくて、少し古びた感じが良い味を出していた。吾朗さん、北嶋さん、滝口さんの3人がかりで閉館後に取り付け作業も完了。しかし、時計は動かなかった…。


12月06日(木)
いよいよクリスマスシーズン到来ということで、一ヶ月以上前から準備が行なわれていたクリスマス装飾が本格的に動き出す。第一弾としてクリスマスリースが届く。雨にも負けず搬入されたリースが、パティオや関係者入口などに置かれ、中でもパティオに置かれた木製のトナカイのリースが人気を集めていた。


12月07日(金)
閉館後、大規模なクリスマス装飾が行なわれる。北嶋さんと橋田さんの立会いのもと、クリスマスツリーからスタート。館内トイレ、展示室の各入口からカフェのデッキへと装飾が行なわれ、終了したのは午前2時半過ぎ。「シックにまとまったなあ」と北嶋さんは感想をこぼしていた。


12月08日(土)
クリスマス装飾をした美術館が今日からお披露目。ホールのツリーのほか、展示室やカフェなどにささやかなクリスマスリースが飾られている。ちなみに受付で渡す入場券も、クリスマスヴァージョンの絵柄に。赤い帽子を被ったマックロクロスケの絵が好評だ。


12月09日(日)
風が強くて寒い。運営ではあるブランドのフリースマフラーの購入計画を立てるなど、各ポジションでスタッフの防寒対策を考えている。またスタッフの間では風邪をひく人が出始めている。吾朗さんが自己管理をして気をつけるように呼びかけていた。


12月10日(月)
展示チームがジブリ3スタから撤退し、スイングビルへ引越しすることに。ジブリからも助っ人として制作の渡辺さんらが巻き込まれる。今年の忘年会の幹事までも担当させられてパンク状態の渡辺さんは、あの狭いスイングビルに3スタのメンバーが入りきるのかと、途方にくれていた。


12月12日(水)
はるばる大阪から井上直久さんが来館し、中央ホールの壁に絵を書いている。
昨日の休館日を利用して「ごあんないじょ」の横に木製の特製ステージを設置し、そこに立って作業が進められている。「井上さんは美術館のアトラクションでもあるんですよ」と井上さんは宮崎駿館主から言われたらしい。そのねらいは見事にはまり、お話好きな井上さんは、絵についていろいろと質問をするお客さまと和やかに話して下さり、大好評だ。

先日買ったけど壊れていて動かなかった大きな古時計が、修理されて再び美術館へ。今回は北嶋さん、大口さん、滝口さんの3人でホワイエに取り付けられ、ようやく無事に動き出した。


12月13日(木)
閉館後、映像展示室にて美術館全体の会議が行なわれる。吾朗さんが年末から年始にかけての報告をしたあと、カフェの新メニューや新スタッフの紹介、各自から様々な提案などがあり、普段会うことの少ないスタッフもけっこういる中、いろいろと話し合いが持たれる。最後に、次回の企画展示の内容が宮崎館主から説明され、スタッフの期待が高まった。


12月14日(金)
12日発売の「とらばーゆ」にて運営スタッフの募集があったため、週末の今日は問い合わせの電話が相次ぐ。履歴書もすでにたくさん届き始め、小林さんや黒瀬さんは書類をまとめるのに大忙しだ。


12月15日(土)
カフェのクリスマスメニューがスタート。クリスマスメニューとして「おじいのロールケーキ」「さとう君のクリスマスサンド」が登場する。「ケーキの生クリームがおいしかった!バナナも入っているし」と、試食したバナナ好きの田村さんは幸せそうな顔だった。


12月16日(日)
財団の2002年度年賀状が美術館内に出回る。デザインは吾朗さんが担当。馬の顔と美術館のカラフルな外観が組み合わされた派手な年賀状。総務の仕切りで年賀状リストが作られているが、吾朗さんは「手書きで全部書くぞ!」と心に決めたらしく、ここ数日忙しそうにその作業に追われている。


12月17日(月)
閉館後にノルシュテインの過去作2本が映像展示室で上映される。学芸員・三好さんの滑らかでわかりやすい解説に、観客一同感心していた。

絵ハガキの撮影でロボット兵をライトアップしたままの状態だったため、上映終了後、屋上に北嶋さんがライトを消しに行く。その時、北島さんがもう屋上から去ったものと思い込んだ三好さんが、螺旋階段の鍵を閉めてしまった。偶然通りかかった警備員さんによって助けられたものの、寒い夜空の下閉じ込められた北嶋さんは、「上映会でカッコ良かったからっていい気になるなよ!」と半分本気で怒っていた。


12月19日(水)
橋田さん、田村さん、机さんの広報チームが、開館前から美術館の記録を担当してくれていたディレクターの桜井さんの慰労会を行なう。開館後すぐに行なう予定だったが、なかなか時間が見つけられず年末になってしまった。酔って騒ぎながら街行く人々を見て、広報チームは「年が暮れるなあ」と実感したそうだ。


12月20日(木)
本日より海外の香港・韓国・台湾の3地域で、2002年1月から3月のチケットが販売される。この3地域では「千と千尋の神隠し」の公開があるが、その反響で一体どれくらいのお客さまが来るのか興味深い。


12月21日(金)
寒い、寒い、と思っていたら、午前中に空から雪が舞ってくる。館内の若いスタッフの中には喜びの声を上げている人もいた。


12月22日(土)
今日から3日間限定で、中央ホールで1日3回のピアノ演奏がはじまる。ピアニストはショップの東元さん、佐々木さん、広重さん、運営の土屋さんの4人。演奏者はそれぞれコンクールに出ていたり音大生だったりとヴァラエティ豊か。演奏が始まるとピアノのまわりに人が集まり、写真を撮る人も。演奏を企画した北嶋さんも近くでカメラを構えつつ聞き惚れていた。


12月24日(月)
閉館後、今回のクリスマス限定のピアノ演奏者である広重さんが中央ホールで演奏をする。開館中はショップにいるため演奏を聞くことができなかったショップスタッフが、ピアノを囲んで集まっていた。最後にはリクエストやアンコールも出て、一日の労働を終えたスタッフの疲れも癒された。


12月25日(火)
今年最後の開館日。「感慨深いなあ」と運営主任の深谷さんはこぼしていた。
本日は大人のお客さまが多いせいか比較的静かで、列ができることも少なく、無事に閉館。

閉館後、美術館のクリスマス・パーティーが行なわれる。深瀬さんが作った大きなケーキが登場したときにも歓声が湧いたが、一番盛り上がったのは吾朗さんとのジャンケン大会。勝者は、ジブリグッズはもちろん、吾朗さんに似顔絵を描いてもらえる賞や、鈴木プロデューサーが10年以上着ていたジャケットなど、ちょっと変わった特典を手にした。限られた予算の中で、食べ物やプレゼントの手配に奔走していた幹事の橋田さん、大口さん、滝口さん、田坂さんにみんな感謝、感謝。


12月26日(水)
事務所にて大掃除が行なわれる。席替えもあったため、朝からみんなが出社。
10日ほど前にスイングビルから引っ越してきたばかりの石光さんは、大荷物と共にまた席を移動。ネットワークの担当となっていた佐々木さんも大忙しだった。


12月27日(木)
夕方6時より、スタジオジブリと合同で吉祥寺第一ホテルにて忘年会。宮崎駿館主や高畑勲監督も出席。若いスタッフは、普段あまり話す機会のない二人に、照れつつも緊張しながら楽しそうに話しかけていた。