『山脇百合子の仕事部屋』展
三鷹の森ジブリ美術館「土星座」では、中川李枝子さん作、山脇(大村)百合子さん絵の童話『いやいやえん』の中の一話「くじらとり」や、絵本『たからさがし』をもとにした映画を上映しています。これ以外に、スタジオジブリでは、お二人の絵本『そらいろのたね』を、1話30秒全3話、合計90秒という形式で映像化もしました。
これら3つのお話は、宮﨑駿監督に「どうしてもアニメーションにしてみたい」と思わせた作品でした。
本展示では、絵を描かれた山脇百合子さんの仕事部屋を再現します。
高校生の頃に始まった画業生活を物語る仕事部屋は、彼女の人柄を映し出すたくさんの物であふれています。
物語の作者が紡ぎだす空想の世界を、山脇さんはどのようにして絵として表現してきたのでしょうか。
部屋の細部を見ることで、その秘密に近づきたいと思います。
山脇さんの子どもへのあふれんばかりの愛情を作品に注ぎ込む姿勢は、スタジオジブリの映画制作に向かう姿勢と重なります。
『いやいやえん』『ぐりとぐら』にて鮮烈な光を放ち世に出た中川李枝子さん、山脇百合子さん姉妹は、戦後の停滞していた子どもの本の世界に新しい風を吹き込みましたが、それはアニメーション業界に新しい風を持ち込んだ、高畑勲監督や宮﨑駿監督に通じるものがありました。
高いこころざしを持ち、多くの贈り物を届けてくださった、山脇百合子さんの仕事を、ジブリ美術館ならではの取り組みで展示します。どうぞご期待ください。