GIORNALE DEL MAMMA AIUTO!
SAVOIA S-21 デスクトップモデル(完成品模型)


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20170601s16.JPG初夏の光に照らされて、美術館のまわりの緑がより一層輝いてみえる季節になりました。
さて、美術館では5月の展示替え休館を経て、新しい企画展示「食べるを描く。」が始まっています。
今回の展示は、ジブリ作品の中で食事のシーンがどのように描かれてきたかに焦点をあてたもの。
物語の演出上重要な意味をもつことのほかに、どうしてこんなにおいしそうに見えるのか、その秘密をひも解く内容になっています。
ショップのウィンドウディスプレイでも、全長編作品から食べるシーンだけを集めたポストカードセット24枚をご紹介しています。
ひとつひとつ見ていると、映画を観たときの気持ちが蘇ってきて、おなかがすいてしまいそう。
ポストカードの他にも、ジブリの"食"にちなんだ魅力的な新商品ができましたので、素敵な思い出におひとついかがでしょうか。



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コレクションの喜び―――【『紅の豚』サボイアS21とカーチスR3C-0(完成品模型)】

東京・南青山にあるウイング・クラブは、〈デスクトップモデル〉や〈ミュージアムモデル〉と呼ばれる、飛行機の完成品模型の専門店です。
ここは、宮崎駿監督の映画『紅の豚』に登場したサボイアS.21やカーチスR3C-0などを製作した、
ながめて楽しむ飛行機模型のジャンルを初めて日本に定着させたお店です。
今回は、このお店のオーナーである矢野雅幸さんにお話をうかがいました。

20170601s23.JPG ▲デスクトップモデルとは1/100~1/24スケールで飛行機の形を再現した完成品模型です。カーチスR3C-0とサボイア S.21(1/24スケール)もショップのショーケースを賑わせます(左)カーチスR3C-0/ (右)改造版サボイアS.21 ともに48,000円(税別)

20170601s14.jpg ▲ミュージアムモデルとはそれらより一回り大きい1/18スケールで統一され、博物館展示品のクオリティーでつくられたものを指します。機体内部構造まで再現された〈スケルトンモデル〉〈ハーフスケルトンモデル〉もあります(※完全受注生産/価格等が異なりますのでお問い合わせください)




飛行機に魅せられて――空飛ぶ機械との出会い

開店から今年で27年のウイング・クラブの店内は、さながら小さな航空博物館のようにたくさんの飛行機が翼を休めています。
'70年代にグラフィックデザイナーとして活躍するかたわら、ブリキ玩具の蒐集に情熱をかたむけていた
オーナーの矢野さんは、'90年に日本初の専門店ウイング・クラブをオープンされます。
並んでいるものは自分の気にいったものだけ。
あくまでもその機体の機能美と、空を飛ぶ夢をいっしょに見ましょうというのが、矢野さんの考え方です。
まずは、それを貫いてこられた矢野さんの原点についておたずねしました。

20170601s13.jpg ▲矢野雅幸さん/1950年、香川県生まれ。'72年にCBSソニー入社、グラフィックデザイナーとして活躍するなかブリキ玩具の魅力に目覚める。'76年に同社を退職しニューヨークに留学。翌年、個人事務所ビタミンスタジオを設立、矢沢永吉ら人気アーチストのレコードジャケットを数多く手がける。'88年のアメリカ旅行中にデスクトップモデルと出会い、'90年にウイング・クラブを開店。2017年3月には盟友・北原照久氏との友情を描くミュージカル『ゴールドラッシュ』が上演された。数年前に難病ALSに罹患し身体の自由を失ったが、夢を追う力にかげりはみられない。

20170601s11.jpg ▲洗練された店内。緻密で流麗な飛行機たちをながめていると、心は大空へと舞い上がっていく

こちらでは様々な飛行機や艦船模型の完成品が販売されていますが、
今日は矢野さんとサボイアについていろいろお話をおうかがいしたいと思います。
まず、矢野さんが飛行機を好きになったのはなぜなのでしょうか?

矢野  飛行機との最初の出会いは、北海道の滝川に住んでいた小学校2年生のころでした。
広場で遊んでいるときにジェット機が2機、低空でこちらに飛んできました。
その機体はダグラスA-4スカイホークで、アメリカ軍の星マークがついていました。
おそらく近くに航空母艦がきていたのだと思います。これはとても印象的でした。
それに父親が陸上自衛官だったので、滝川駐屯地で開催される記念祭があるときは、
アメリカ軍から供与されたL-19連絡機やM24軽戦車、M4中戦車などに直接さわれたこともあり
飛行機や戦車が好きになっていきました。
  
矢野さんの飛行機好きの原点は、子どもの頃の強烈な印象だったのですね。
車や電車ではなく飛行機のどこに魅力を感じたのでしょうか?

矢野  まずスタイル・・・・・・形です。そして、空を飛べることですね。

空には大きなロマンを感じます。
矢野さんがいちばん好きな飛行機はなんですか?

矢野  P-51ムスタング、うちのマークです(笑)。

20170601s7.jpg 20170601s3.jpg ▲P-51ムスタングとウイング・クラブ社のフラッグ

この飛行機は象徴的なものなのですね。
そののちに飛行機を作りたい、という欲求につながったのですか・・・・?

矢野  昔はプラモデルをたくさんつくっていましたが
グラフィックデザイナーの頃は忙しくなってしまい、つくる時間がとれなくて。
それで完成品を手元に置きたくなり、アメリカに探しに行ったのです。
そこで〈デスクトップモデル〉という完成品に出会い
プラモデルとはまたちがう魅力を感じて、すぐに気にいってしまいました。

アメリカにまで! 最初に気にいったものを覚えていらっしゃいますか?

矢野  最初は、ベルX-1(有人の超音速実験機)。これが第一番目のコレクションになりました。
モハーベ空港のショップにあったものです。
20170601s4.jpg ▲矢野さんが購入されたベルX-1のモデル。いまでも大事にされている思い出の機体

日本では完成品模型を販売するようなお店がなかった'80年代後半に
偶然出会った超音速実験機から、人生が違う方向へ飛び立ちはじめたのですね!

矢野  見つけたときは「やったー!!」という気分でした。


矢野さんは、その後わずか一年でウイング・クラブを立ち上げられました。
はじめはご自分のデザイン事務所の一角で、土日だけ模型の販売をされていたとか。
デザイナーからお店の運営へ・・・・・・まったく違う業種へフライトがはじまります。




映画『紅の豚』の衝撃波――架空の機体に夢を乗せて

ウイング・クラブの開店から数年が経ち、お店は安定飛行を続けるようになりました。
その頃、矢野さんは初めて『紅の豚』に出会います。
映画に登場する真紅の飛行艇・サボイアS.21。
アニメーションという架空の世界へといざなってくれる飛行機、サボイアが生まれるまでの話をお聞きしました。
20170601s19.jpg ▲『紅の豚』より 

『紅の豚』をご覧になったときはどう思われましたか?

矢野  ショックでした。サボイアの形がすごく洗練されていましたので。
本物のサボイアS.21は二枚翼で野暮ったい姿でしたが、宮崎監督の描かれたものはすごくデザイン的でした。
ほかのアニメでは飛行機がリアルな飛び方をしていないので、感情移入ができませんでしたが、
あの映画は日本のアニメで初めて飛行機が飛ぶときのリアル感をあらわしていると思いました。

映画のなかでは場面によって形が変わったり大きく見えたりと
宮崎監督ならではの演出が加えられていると思いますが、飛行機好きなのは共通していますね。

矢野  以前に『風の谷のナウシカ』も観たのですが、そこに出てくるメカを見て、
宮崎監督が飛行機好きであることがすぐわかりました。
サボイアが宮崎監督のオリジナルだとわかってますます気にいり、
これをぜひつくりたい、形にしたい、と思いました。

20170601s17.JPG ▲『風の谷のナウシカ』に登場するガンシップもモデル化されている。ガンシップ1/24スケール¥61,950(税別)

初めて実在の機体ではない、
アニメーションのなかの飛行機をつくろうと思ったわけですね。

矢野  最初は自分のために1機だけ製作して、お店に飾ったんです。
すると「これが欲しい」、というお客さんのリクエストが集まるようになりまして。

しかし実際にモデル化しようと図面を引くとなると、苦労された点もあったのでは......?

矢野  機体のふくらみは苦労しましたね。
スケールモデルのように実際の寸法や理屈をもとにつくるのはいやなので、
映画のなかのデザインセンスをいかしてつくりました。

そういう線を理解してくれるモデラーを選ぶのですか?

矢野   はい。宮崎監督の作品に登場するものは架空の世界のものですから、
その線をくずしたくないので・・・・・・。実際に飛べるかどうかより、好みにあうものがほしくて、
ぼくのぶんだけあればいいと思ってましたし(苦笑)。

いつでも見られるように手元におきたいと感じたのでしょうか?

矢野  はい、三次元のものにしたかったのです。
じつはほかの会社からもいろいろな相談がきましたが、
ぼくのセンスでは許せないものばかりでしたのですべて断りました。

やはり美しい形がお好みなんですね。

矢野  そうですね。あのS.21のボディの先から少しうねっているのも、たまらないですね。
あれから二十年以上たちましたが、今でも人気アイテムとなっています。

※サボイア製作秘話『スケールアヴィエーション』vol.27/2002年9月号(大日本絵画刊)の記事もおたのしみください


矢野さんの選んだ道――いちずに、好きなこと

デザイナーとして腕をふるいつつも、趣味にも情熱を注いだ矢野さん......。
そんな矢野さんを突き動かすものはなにか、そしてそれを持続する術とはなにかを教えていただきました。

お店も素敵な雰囲気ですが、今日おじゃましている事務所にある
矢野さんの机を見ても好きなものにかけるコレクター魂を感じワクワクしてきます。

矢野  ぼくはこれまで好きなことしかしていないんです。
そしてここに飾っているものは、全部ぼくが気に入ったものです。

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▲矢野さんのデスクの周り。楽しそうなものがならびます

これだけ種類を集めているお店は世界でもあまり例がないのでは?

矢野  そのとおりかもしれません(笑)。

このような珍しいお店をはじめることに不安はありませんでしたか?

矢野  いえ、まったくありませんでしたね(笑)。

コレクションする喜びから、製品をつくってみんなに広げる楽しみが出てきたわけですが、
売る側になってからはどういう点に魅力を感じていますか?

矢野  模型をつくるために世界のモデラーを探すことは楽しかったですね。
初めは日本人のモデラーが一番だと思っていましたが、世界にはもっとすごいひとがたくさんいるのがわかりました。
15の国でモデラーを探しましたが、
本当にぼくが気にいる究極のモデルをつくれるひとは5人くらいしかいませんでした。
製作に4~6年かかるものを[究極のモデル]と呼んでいますが、
その予定を発表したとき、すでに購入予定者が決まるのが普通です。

ひとつ特別思い入れのあるモデルを挙げるとするとどれですか?

矢野  F-86セイバーです。正直、売りたくありませんでした(笑)。
ちなみにそれはロシアのモデラーにつくってもらったのですが、
彼の家に行ったとき、マイナス25℃でした・・・・・・(苦笑)。

究極のF-86 (1).jpg▲究極のモデルのF-86(全長は約63センチ)。塗装もマーキングも施さず、機体の美しさが強調されているのが特徴的。機体各所が可動式となっている

それは強烈な思い出ですね(笑)。
矢野さんにとって「コレだ!」と感じる素敵な模型を集めることと、
会社の売り物を買い付けることは、同じことなのですね。

矢野  ええ、でも正直にいいますと、売りたくないんです(苦笑)。

そこまでに思い入れを持てる模型の魅力とはなんですか?

矢野  ぼくにもよくわかりません、すべての飛行機が好きなので・・・・・・(苦笑)。

(一同笑)。美術館のショップにはウイング・クラブの商品が置いてあるガラスケースが
あるのですが、男の子がかじりついて見ていることが多いです。

そんな空への憧れで夢中の子どもたちをみると、飛行機に思いを馳せる少年の心は、
宮崎監督も矢野さんも、いつの時代の少年も変わらないのかな、と感じたりします。


矢野  そうですか・・・・・・そうかもしれません。
ぼくがもしそんな少年をみたら、1/144のゼロ戦をおまけしちゃいそうです。

矢野さんは本当に気前よくプレゼントしそうですね(笑)
先日、矢野さんの半生を描いたミュージカル『ゴールドラッシュ』で、
ブリキのおもちゃ博物館の北原照久さんと二人で、ブリキのおもちゃ集めに奔走していた
矢野さんの24歳の頃の熱い時代を拝見しました。
いま24歳のみなさんへ、何かメッセージはありますか?

矢野  一生懸命に好きなことをやるしかないのです。
好きなことは自分の責任でやるので後悔はありません。
ぼくは、この道を選んだのです。

力強いメッセージです・・・・・。
少年時代の憧れを持ち続け、夢を形にすることを体現してこられた、矢野さんならではの言葉ですね。
少年のまま大人になったような、矢野さんの熱い情熱が、
より一層サボイアの赤い機体をキラリと輝かせているのだと思います。

心のなかにある好きなものをずっと大事にし続けると、なにか素敵なことへ続く。
矢野さんが空に描き続ける飛行機雲は、私たちをも導いているかのようです。

今日は本当にありがとうございました。


(2017年4月21日、東京・南青山にて収録)




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今回ご紹介するのは、映画『紅の豚』に関連するオリジナル商品です。

モバイルケース 「マンマユート ボス」「マンマユート ドクロ」 ...9,000円(税別)

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デザインもさることながら、素材、パーツ、縫製にこだわったバッグのブランド、〈HERVEST LABEL〉製作のオリジナルモバイルケース。ブランド20周年の記念にできた 〈NIGHT HAWKS〉シリーズのカモフラージュ柄のカバーで、ダボハゼのドクロ、そしてマンマユート団のボスの絵柄が引き立ちます。耐久性や機能性にも優れ、パーツは使うほどに経年変化を楽しめるのが特徴。永く使っていただきたい逸品です。iPhone6 6S 7対応(詳細は店頭でご確認ください)。


MOLESKIN ポルコロッソ ...2,200円(税別)

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無駄のないシンプルなデザインながら、丈夫で使い勝手が抜群に良いモレスキン社のノート。赤いハードカバーにポイントでサボイアの刻印を入れ、美術館オリジナルのノートになりました。帯と見返しの部分にはサボイアとポルコの素敵な挿絵がついています。持ち運びに便利なサイズなので、どこでもさっと取り出してアイデアを書き留められます。


ワッペンSAVOIA ...1,200円(税別) / ステッカー ...100円(税別)

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青い海と空に囲まれて、悠々と飛ぶサボイアがワッペンとステッカーになりました。厚みのある刺繍のワッペンは洋服やカバン、帽子など好きな場所に縫い付けられるので、ぜひご自分だけの作品に仕上げてみてください。


※商品は品切れの場合がありますので予めご了承ください。