2006年05月


05月01日(月)
今日は朝から気温が高く、日差しも強く夏のように暑かったため、入り口のスタッフは1年ぶりに麦わら帽子を着用した。そんな気候でも子どもたちは大はしゃぎ。「トトロぴょんぴょん」の前では、まだ“パパ、ママ”くらいしか喋れない男の子がモンキーダンス (風)を激しく踊りだして勢いあまって後ろに倒れてしまった。
それでもひたすら手足をブンブンと振り回しているお子さんにお父さんが一言。
「ひっくり返ってカナブンみたいだなー」


05月02日(火)
開館とほぼ同時に雨、のち雷。一日中断続的に雨が降り続いたため、屋上は雨がやむたびに一気に混雑。どんよりとした雰囲気の屋上であったが、ラピュタ石をみた4歳くらいの男の子が「早くお父さんに教えてあげなきゃ!」と階下にいたお父さんを猛烈な勢いで迎えに行く姿は、その雰囲気を吹き飛ばす元気さだった。やはり子どもは風の子(?)である。


05月03日(水)
本格的にゴールデンウィークに突入。昨日とは打って変わって清々しい青空が広がり、五月晴れで気持ちのよい一日だった。それもあってか、開門後の列はテニスコートまでを超えるほどの大賑わい。その爽やかな日差しの降り注ぐ屋上でラピュタ石に刻まれた文字を見ていたあるお父さんが、「“お前たちは全然言うこと聞かへん!3兄弟、言うことを聞け!”って書いてんだ」と、真顔で言うと、3兄弟とお母さんは大爆笑。お父さんは顔色変えず、「ラピュタの教え、守らなきゃな!」とさらに追い討ちをかけていた。


05月04日(木)
三世代でいらっしゃるなど家族連れのお客様が大変多い一日だった。
2階ギャラリーではもんもん大好き少年が登場。「もんもん大好き」と豪語する男の子に、「さっきまで怖がっていたくせに」、とお母さんは苦笑いをしていた。更にお姉ちゃんに向かって「ケガしてるんだからちゃんとやさしく触るんだよ」と注意をするほどに。嫌い嫌いも好きのうち、子どもの成長は早い・・・。


05月05日(金)
日差しの強い一日。「こどもの日」とあって今日も多数のお子様たちがご来館(いつもですが… )。本日を含めGW中の心温まるお子さんたちの名言(迷言?)集をご紹介します。

「なに落とし穴掘ってるんだよ!!」 屋上通路脇に落ちたウッドチップをシャベルで戻しているスタッフに対し、男の子。

「バターになったらどうするんだろう?」 トトロぴょんぴょんを見ていた5 歳くらいの女の子。

「お尻、ってわかるように草が生えているんだよ~。」 ロボット兵を後ろからみていた4歳くらいの女の子。

「しゃべるかも知れないから、私、ここで待ってる!」 ロボット兵の様子をうかがっていた3歳くらいの女の子。

「あの・・・、先生・・・。あっ、先生って言っちゃった!」 カウンターに来た小4くらいの男の子。

スタッフ「僕、何年生かな?」
男の子 「本当の年、言っていいの?」(隣にいたお母さんに対して)
スタッフ「“本当の年”ってなあに?」
男の子 「お母さん、ウソつきそうだから・・・。」


05月06日(土)
GWも終盤にさしかかり、ご来館のお客様もお疲れ気味の様子。こんな時こそ、と、スタッフはいつも以上の笑顔での接客を心がけていた。

いよいよ『アルプスの少女ハイジ展』、および、新作短編『やどさがし』の上映もあと二日を残すのみ。本日も、幼児から大人まで本当に楽しんでいる様子が伝わってきた。明日はいよいよラストです!


05月07日(日)
GW最終日。断続的に雨が続く空模様であったが大盛況の一日となった。
さて、本日は、『アルプスの少女ハイジ展』および、新作短編『やどさがし』上映の最終日。

『アルプスの少女ハイジ展』は、昨年5月から1年間、企画展示として開催。
放映から30年を経た今日でも世界中の数多くの人たちに愛されている作品のため、お子さんだけでなく、大人の方からも外国の方からも「すごいね」「面白いね」という声をたくさんいただいた。

「土星座」の新作短編である『やどさがし』は、今年1月から上映を開始。この作品は特にお客様の反応がよく、ほとんどの回で笑いがおきていたが、“ぬらりひょうたん”の登場で泣いてしまうお子さんも。最後にタモリさん、矢野顕子さんのお名前が出ると驚かれるお客様も多かった。

いよいよ5月20日(土)からは、企画展示『アードマン展』、『星をかった日』の上映がはじまる。


05月08日(月)
本日から19日(金)まで展示替え休館。大好評のうちに終了となった『アルプスの少女ハイジ展』の撤収を終え、いよいよ『アードマン展』の準備。しかし、大問題が発生中!GW前には搬入されているべきはずの荷物が、税関すら通過できていないのだ。20日の開館に向け、一刻の猶予もならない状況である。
ようやく税関から連絡が来たのは17:15分。ほっと肩を撫で下ろすスタッフ一同であった。


05月09日(火)
本日より『アードマン展』の設置開始。本日は荷物の搬入のみを行い、地階、1階は木箱でほぼ埋め尽くされることとなった。ただ、アードマンスタッフにはつらかったかも知れない。
というのも、成田空港着時間は9:50am、美術館INは5pmの予定だったのだが、3pmに変更していただいた。
約12時間という長いフライトを経て見知らぬ土地へきて時差ぼけも残っている彼らに、休むまもなく容赦なく仕事を依頼するジブリ美術館。そして夜には歓迎会で連れまわす・・・。

アードマン御一行様、まずは今日一日本当にお疲れ様でした!!


05月10日(水)
いよいよ本日から本格的に『アードマン展』の設置が開始された。まずは第一展示室のメインとなる庭小屋などなど、大道具を展示室に運び込む。計13個あるアクリルディスプレイには、先週上映が終了したばかりの最新作『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)に登場した「怪物ウサギ」を始め、アードマン作品のキャラが所狭しと並ぶ予定なので、完成がとても楽しみだ。中には骨格部分が見えるものもあり、ポーズ・カメラアングルによりどこからでも固定できるようになっていることがよくわかる。
これをポーズを変えながら1秒間=24コマ分撮影していくのだから(60分の映像なら1440枚!)、なんとも恐れ入る。


05月11日(木)
11amの休憩後、事件は起こった。アードマンスタッフの様子がおかしい。
予定されていた作業工程はほぼ置き去りにされ、細かい設置のないまま次々に展示品を運び込み始めたのだ。
とまどう美術館スタッフは、ふとあることに気がつく。そういえば11amの休憩時に、午後に宮崎駿監督が来館することを伝えたのだった。
謎がとけた案の定、彼らは宮崎監督が来館した5pmまでにほぼ全ての(笑)展示物の運び込みに成功。それが功を奏してか、宮崎監督も展示物を見てご満悦の様子、アードマンスタッフもとても誇らしげに見えるのだった・・・。


206.05.12(金)
彼らが来日してから毎日欠かさずに口にしているものが二つある。バナナと酒(笑)である。
スタッフが用意していたチーズはまったく相手にされず、彼らが嬉しそうに手に取ったのはバナナ。
毎日バナナ。また、ホテルに着いた日から毎日飲んでいる(!)。まぁ、彼らは泥酔するような飲み方は(今のところ)していないので、たしなむ程度のようだ。ともかく彼らは飲むという行為、雰囲気が好きらしい。ひっきりなしに働いて、毎日酒を飲みながらも、バナナパワーでほぼ遅刻をすることなく現場に到着するアードマン一行。きっちり19時くらいまでには作業を終えながらも作業工程を日程どおりに終わらせる彼らの仕事は、ただただ賞賛に値する。


05月13日(土)
いよいよ本日が設置最終日。これでほぼ全展示物の設置が完了したわけだが・・・。圧巻である。
立体的でかなり見ごたえのある展示になっていると思う。第一、第二展示室ともにディスプレイや写真、映像(テレビは計4台)、それにインタラクティブといって、映像をつなぎ合わせて編集を体験できる展示品もあり、アードマンという会社とその作品を知るのには本当によいものに仕上がった。

20日の開館まであと7日!


05月15日(月)
アードマンスタッフとの共同作業が無事終了し、夕食をかねた打ち上げの後、美術館スタッフとともにカラオケ大会。
はじめは緊張していたアードマンの面々も、カラオケキング・三好さんが放つ熱気にすぐに打ち解け、終盤ではアードマン男性陣と三好さんが立ち上がってザ・フーの「マイ・ジェネレーション」を絶叫するなど、大いに盛り上がった。
ちなみに三好さんは他人の曲でもマイクなしの大声でさんざん歌いまくっていたが、終わっても「クィーンを入れ忘れた」とまだ足りなさそうだった。それはともかく、国境を越えてまさに“友人”となったアードマンの皆さん、一週間本当にお疲れ様でした!


05月16日(火)
「アードマン展」に合わせた新メニューに向け、カフェの厨房では、佐藤さん、川村さんをはじめ数人のスタッフが準備に取り掛かっている。
美術館開館以来初の魚料理で、タラの切り身を使用するそうで、どんな料理になるのか楽しみだ。
また、アードマンにちなんでカフェ店内の装飾と中庭もイギリス風に味付け中。大口さん、小池さん、北川さんが雨の中で力仕事に奮闘していた。


05月17日(水)
展示替え休館のような長期休館中は、普段できない大掛かりなメンテナンス作業を行っている。
本日行った中央ホールの壁やガラス拭きもそのうちのひとつ。電動リフトを地下一階から2階まで伸ばし、 1年間の埃を払った。一方、映像展示室も衣替え。サンディングという床全面のヤスリがけを行った。
北嶋さんによると開館以来の大仕事で、新品同様にきれいになったそうだ。


05月18日(木)
20日からの「アードマン展」オープン準備が進められている中、ふとしたことから話題はTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)に。
「俺、TOEICのスコア1000点だから。」といきなり言い放つ深谷さんに、隣にいた安野くんは唖然。「TOEICって990点満点ですよ…」との進言にもびくともせず、「あ、俺は特別だから1000点だったんだよ」と真顔で答えていたらしい。


05月19日(金)
午前中に防災訓練が行われた。三鷹消防署の方々が来館し、緊急時の通報・連絡から、初期消火、避難誘導、心臓マッサージなど応急救護実演まで幅広く講義が行われ、参加した美術館スタッフ全員が真剣に話を聞いていた。
応急救護の実演では、不慣れな手つきながらも必死に体得しようとするスタッフの姿が至るところで見られた。
実際に起こりうる状況を想定しての質疑応答もあり、スタッフにとって非常に有意義な訓練だった。

明日からの「アードマン展」に向け、安西さんから企画展示室スタッフへの説明会が行われた。
安西さんは、アードマンのはじまりから作品づくりのエピソード、各展示物が作られたいきさつなどを交えながら展示物一つ一つを丁寧に説明してくれた。


05月20日(土)
「アードマン展」オープン初日。人形がいっぱいの展示に歓声があがり、特にパラパラ漫画や3Dハウス、鉄道模型を走らせて『ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』のクライマックスを表現したトレインチェイスなどが子どもたちに人気で、列車がトンネルをくぐって往復するたびに子どもたちも一緒に追いかけていたのが印象的だった。
また、「俺たちもアニメ撮ってみる?コマ撮りで」と話すグループや、自分でも人形を作っているという女性から「ウェアラビットはどうやって作ってるの?」といった質問を受けた。早速、アードマンの精神が伝わっているようで嬉しい。


05月22日(月)
明日マスコミ向けに行われる「アードマン展」内覧会のリハーサルを行った。当日の登壇予定者のかわりに、深谷さん、内野さん、北嶋さん、天内くん、安野くんが、それぞれ宮崎館主、アードマンのピーター・ロードさん、デイビッド・スプロクストンさん、通訳の井筒さん、司会の西岡さんの役を務めた。立ち会った田村さんによると、深谷さんが「ふぉっふぉっふぉ」と宮崎館主の笑い方を真似してみんなを笑わせていたらしい。


05月23日(火)
「アードマン展」の内覧会が行われた。午後からの記者会見では、ピーターさん、デイビッドさん、宮崎駿館主、中島館長が登壇し、アードマンや展示内容の紹介からお互いのエール交換まで和やかな雰囲気で語られた。その後、実際に展示を見た人たちの反応は上々で、企画展示室のあちこちでカメラのフラッシュが輝いていた。


05月24日(水)
午前中はよい天気だったのだが、夕方に急な豪雨になり、館内は一気に慌ただしくなった。

ギャラリーの『星をかった日』の展示で、「触っちゃダメよ」とお母さんに注意された子が「そーっと触ってねって書いてあるよ!」と返し、お母さんは「あら、読めちゃったの?」と驚いていた。


05月25日(木)
ジブリ作品の多くで美術監督や背景を手がけている男鹿和雄さんが、夏のイベントの打ち合わせのために来館。感慨深そうに美術館を眺め、「(開館から)5年経って、植栽が井の頭公園になじんできてとても良いね」と一言。特に屋上のバイカウツギ(梅花空木)が素晴らしかったそうだ。


05月26日(金)
8月2日(水)から上映開始予定の短編アニメーション、『水グモもんもん』を楽しみにしていた女性が、「私、この『ミジンコもんもん』が見たかったのよー」と言っていた。

屋上のスタッフは、ロボット兵を見ていた女性から「ねぇ、このロボット、昔はこんなに頑丈じゃなかったわよねぇ」と質問された。


05月27日(土)
美術館の向かいにある「諏訪クワガタ昆虫館」に、厚樹くんがよく出没するらしい。


05月29日(月)
お母さんと子ども6人のグループから、フィルムきっぷについての質問を矢継ぎ早にされたスタッフが、次々に答えていると、冗談好きそうなお母さんは「何でもわかるんですね!じゃぁ、この子の名前は?」と子どもを指して笑っていた。


05月30日(火)
休館日を利用して、年に一度のスタッフ向け健康診断が行われた。

「土星座」にある映写機のテストとして、『風の谷のナウシカ』を上映した。1984年の放映当時、映画に出てくる全ての台詞を暗記していた程影響を受けていたという滝口さんは、「やっぱりいつ見てもナウシカはいいなぁ」と熱く語っていた。


05月31日(水)
美術館の外には、朝・昼に一度ずつエサをもらいにやってくるハトが一羽いる。外エリアの金子くんは、そのハトのために、サンクンテラスにある烏野豌豆(からすのえんどう)のさやを割って、エサとしてストックしている程の可愛がりぶりだ。
その手乗りハトに楽しそうにエサをあげている金子くんの姿をみて、周りのスタッフは「年貢を納める農民のように見える」とひそかに思っているらしい。