本棚より[季刊トライホークス 2018年51号]


世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。

よかったね  ネッドくん

著者...レミー・シャーリップ 訳者...やぎたよしこ 偕成社 1,400円
neddokunn.png
 遠い町で開催される〝びっくりパーティー〞に招待されたネッドくん。友だちから飛行機を借りて向かったところ、なんと飛行機が爆発してしまいます。幸運にもパラシュートが積んであったので、装着して降りたところ、なんとパラシュートには穴があいていました。でも地面にはやわらかい干し草の山が見えたのでほっとしたところ、なんと〝とがった草かき〞が草山から突き出ていました......。

 ネッドくんには次から次へと信じられないことが起こります。それも、一歩間違えば命を落としてしまいそうなほど危険なことばかり。印象的なのは、順番に現れる対称的な「よかった!」と「でも、たいへん!」という言葉と、「カラー」と「白黒」のページです。このコントラストがネッドくんの陥る〝幸運〞と〝不運〞をわかりやすく伝えてくれるので、読んでいてもすんなりと絵本の世界に入っていけます。お話の展開に夢中になった子どもたちの「きゃーっ!」という声も聞こえてきそうです。

 作者シャーリップの生まれた国アメリカでは、子どもたちに人気のある本とのこと。シャーリップは多才な人で、絵本作家としてだけではなく、ダンサーや振付師としても活躍しました。出版されてから40年以上の時が経っていますが、絵本で使われている鮮やかな色のように、今読んでも明るくて楽しい気分になれる本だと思います。

グリムのむかしばなし

編・絵...ワンダ・ガアグ 訳者...松岡享子 のら書店 各1,600円
gurimunomukasibanasi (1).jpg
 「誰もが知っているお話」というものがあります。日本の昔話なら「こぶとりじいさん」や「浦島太郎」。グリムの昔話なら「ヘンゼルとグレーテル」や「かえるの王子」といったお話でしょうか。生まれた場所や言葉も違う、会ったこともない人たちと共通のお話を知っているということは、考えてみたらすごいことだと思います。

 この「グリムのむかしばなしⅠ・Ⅱ」は、アメリカの絵本作家ワンダ・ガアグが、たくさんあるグリムの昔話から16話を選び、再話し、自ら挿絵をつけた本(Tales from Grimm)が元になっています。「100まんびきのねこ」(福音館書店)の作者といえば、ご存知の方も多いのではないでしょうか。幼い頃から昔話に親しんできた彼女は、文章と挿絵の全てで昔話の持つ世界を表現しようとしたのです。

 1936年に刊行された原書は、アメリカの児童図書館員に大歓迎されたそうです。子どもたちにお話を語るストーリーテリングのテキストとして、お話の〝すじ〞も〝言葉〞も〝リズム〞もぴったりだったということです。それだけでなく、1冊の本としてもページを開くとお話にぴったりの挿絵が描かれていて、お話を絵とともに楽しむことができる本と評されています。
 語り継がれ、読み継がれたグリムの昔話。この本もまた長く親しまれる一冊になると思います。

季刊トライホークス 51号(内容紹介)

「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。

kitora51.png
夢中になって読んだ本
60年代に出版された最初の絵本『ふるやのもり』(福音館書店)以降、多くの作品を発表している田島征三さんに、好きな本を紹介していただきました。現在も日本各地をまわり、絵本だけではなく立体造形物やタブローなど精力的に創作活動に取り組んでいる田島さんが選んだ本とは......。
連載「ロバート・ウェストール(第4回)」
ウェストールといえば "戦争"や"幽霊"を題材にした作品が知られていますが、彼が最後に書いた長編は青春恋愛小説でした。最終回では、彼の残した恋愛物語を取り上げました。
山猫だより「美術館の上映回」
美術館の裏側(?)、日常について書いています。美術館では月1回映像展示室でスタジオジブリ長編作品の上映会を行っています。何度も観ている映画ですが、久しぶりに観る大画面は新鮮です。