三鷹の森ジブリ美術館企画展示
幽霊塔へようこそ展 —通俗文化の王道—


幽霊塔へようこそ展

今回の展示では、江戸川乱歩の長編小説『幽霊塔』をとりあげます。
この小説は、英国の作家 A・M・ウィリアムスンが1898年に発表した小説『灰色の女』を翌年1899年に黒岩涙香が翻案し新聞連載小説『幽霊塔』として発表、その38年後の昭和12年(1937年)に、江戸川乱歩が乱歩流の変化を加え書き改めたものです。

宮崎駿監督は中学生の時にこの小説を読み、主人公たちの織りなすロマンスや、お話の重要な舞台である時計塔の歯車やその機構に憧れ、深く記憶に刻まれたそうです。長じてアニメーション作品を作るようになり、劇場長編作品として初監督した映画「ルパン三世 カリオストロの城」('79)では、自分なりに考えた時計塔やロマンスを盛り込んで作品を作ったと話します。

今展示の企画・構成は宮崎駿監督。あらためて『幽霊塔』を60年ぶりに読み直して、この小説は通俗文化の王道をゆくものであると思い至りました。展示では、その理由を自身の描き下ろし漫画にて解説します。さらに、館内中央ホールには、宮崎監督デザインによる大きな「時計塔」が出現します。その中の螺旋階段を昇り展示室へ向うと、宝物が隠された地下迷宮を思わせる迷路が子どもたちを待ち受けています。迷路を抜けると、映画「ルパン三世 カリオストロの城」のジオラマが登場し、その舞台の構造についても紹介します。

物語の舞台としての"時計塔"を読み解きながら、怪奇大ロマンの世界をお楽しみください。

期間: 2015年5月30日(土)~2016年5月8日(日)
主催:(公財)徳間記念アニメーション文化財団
特別協力: スタジオジブリ 
特別協賛: 日清製粉グループ
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