本棚より[季刊トライホークス 2018年51号]
2018.03.11
世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本とお話を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。
よかったね ネッドくん
ネッドくんには次から次へと信じられないことが起こります。それも、一歩間違えば命を落としてしまいそうなほど危険なことばかり。印象的なのは、順番に現れる対称的な「よかった!」と「でも、たいへん!」という言葉と、「カラー」と「白黒」のページです。このコントラストがネッドくんの陥る〝幸運〞と〝不運〞をわかりやすく伝えてくれるので、読んでいてもすんなりと絵本の世界に入っていけます。お話の展開に夢中になった子どもたちの「きゃーっ!」という声も聞こえてきそうです。
作者シャーリップの生まれた国アメリカでは、子どもたちに人気のある本とのこと。シャーリップは多才な人で、絵本作家としてだけではなく、ダンサーや振付師としても活躍しました。出版されてから40年以上の時が経っていますが、絵本で使われている鮮やかな色のように、今読んでも明るくて楽しい気分になれる本だと思います。
グリムのむかしばなし
この「グリムのむかしばなしⅠ・Ⅱ」は、アメリカの絵本作家ワンダ・ガアグが、たくさんあるグリムの昔話から16話を選び、再話し、自ら挿絵をつけた本(Tales from Grimm)が元になっています。「100まんびきのねこ」(福音館書店)の作者といえば、ご存知の方も多いのではないでしょうか。幼い頃から昔話に親しんできた彼女は、文章と挿絵の全てで昔話の持つ世界を表現しようとしたのです。
1936年に刊行された原書は、アメリカの児童図書館員に大歓迎されたそうです。子どもたちにお話を語るストーリーテリングのテキストとして、お話の〝すじ〞も〝言葉〞も〝リズム〞もぴったりだったということです。それだけでなく、1冊の本としてもページを開くとお話にぴったりの挿絵が描かれていて、お話を絵とともに楽しむことができる本と評されています。
語り継がれ、読み継がれたグリムの昔話。この本もまた長く親しまれる一冊になると思います。
季刊トライホークス 51号(内容紹介)
「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。
- 夢中になって読んだ本
- 60年代に出版された最初の絵本『ふるやのもり』(福音館書店)以降、多くの作品を発表している田島征三さんに、好きな本を紹介していただきました。現在も日本各地をまわり、絵本だけではなく立体造形物やタブローなど精力的に創作活動に取り組んでいる田島さんが選んだ本とは......。
- 連載「ロバート・ウェストール(第4回)」
- ウェストールといえば "戦争"や"幽霊"を題材にした作品が知られていますが、彼が最後に書いた長編は青春恋愛小説でした。最終回では、彼の残した恋愛物語を取り上げました。
- 山猫だより「美術館の上映回」
- 美術館の裏側(?)、日常について書いています。美術館では月1回映像展示室でスタジオジブリ長編作品の上映会を行っています。何度も観ている映画ですが、久しぶりに観る大画面は新鮮です。