2009年9月


9.1(火)

・夏休み最終日の昨日は、閉館後いたるところで作業が行われていた。映像展示室では衣替えならぬフィルム替え。時間も神経も使うこの作業の今日の担当は小林さん。先輩の天内さんに教わりながら慎重に作業を進めており、映写室には遅くまで明かりが灯っていた。一方、展示室でも補修作業がコツコツ行われていた。机に向かって作業する小池さんは、夏休みの宿題が終わらない小学生のような気分になったそうだ。その作業の甲斐あってか、新学期のように気持ちも新たに9月をむかえました。


~~さてここからは、いつもの日誌とちょっと趣向をかえて、8/31から3日間、新ギャラリー展示:男鹿和雄「秋田、遊びの風景」展のために秋田に出張した滝口さんによるレポートをお届けします。~~


8.31(月)

・台風が東日本に接近して大荒れの天気の中、再び秋田に向かうプロジェクト隊。車で向かった深谷さんと滝口さんは、夕方出発し東北自動車道を台風とともに北上していったのだが、豪雨の中7時間もの間一人で運転してくれた深谷さん。ネタも尽き気味な車中で、先祖の話をしたり歌を歌ったりしながら深夜12時前に無事秋田に辿り着くことができたのであった。


9.1(火)

・朝、角館の駅で新幹線で秋田入りした館長と安西さんと合流。今回はギャラリー展の素材を獲得するための出張で、あちらこちらを訪ね歩き、行ったり来たりぐるぐる走り回った2日間だった。前回同様、角館や太田の方々に多大なるご協力を頂き、様々な素材を手に入れることに成功!本当にありがとうございました!果たして入手したのは何だったのか...?どんなものが展示されるか、みなさん是非観に来て下さい。

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<ご馳走を食べに来ただけ...?これがどう展示に結びつくのでしょうか!?>


9.2(水)
・なかなかの強行スケジュール&残暑の厳しさも手伝って、2日目の午後には朦朧とし始める4人組。お世話になった高橋さんのお宅でおやつをご馳走になっていたとき、ふと気付くと30~40代のいい大人たちが会話もせずにもくもくと食べることに集中している。新鮮な野菜の美味しさなどに思わず無言になってしまっていたのだが、見た目が中年なことをのぞけば、遊びつかれた夏休みの子どもたちのような光景だった。


~~いかがでしたでしょうか。展示は9/30から開始です!それではいつもの日誌に戻ります↓↓~~


9.3(木)

・閉館後ショップでは、すっかりとお馴染みとなったガラスケースのレイアウト変更が行われた。いつもと変わらない作業風景と思いきや、今回のレイアウト変更には今年4月入社の佐藤さんが初参加!先輩の高嶋さん指導のもと、入社から半年の間に学んだ知識と経験を生かし、一心にレイアウト変更に取り組む二人。そんな姿を影からこっそり見守る監督官の市来さんは、二人の頼もしさに心から嬉しくなるのであった。

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9.4(金)

・先日カフェのあちこちで試作が繰り返されていた新しい秋のメニュー。今日はそのメニューを館長が試食。佐藤シェフや斎藤さんと頭をよせあって、いろいろな角度からもう一度料理をみつめなおし。そんな中、今回初めてメニューが採用された梨子木くんの一品は大好評だった。この新しい料理は9/12からはじまります。


9.5(土)

・カフェの開店前にみんなで掃除をしていると、突然渡部さんが「ねぇ、これ見て~!」と窓ガラスを指差した。みんなでなんだろう?と近づくと、窓ガラスにちっちゃな手の跡が残っている。そのきれいに残ったもみじくらいの小さな手跡を見て、思わず「可愛いねぇ」と微笑んでしまうカフェスタッフであった。


9.6(日)

・夏休み中に奥さまの実家、沖縄に帰省していた鵜木さん。お土産に『塩胡麻ちんすこう』を届けてくれ、その塩の味わいにひとしきり盛り上がる面々。そんな鵜木さんを見送った数秒後、橋田さんが「夏休みに沖縄行ってきたんだ!塩のこれ知ってる?!おいしんだよ~!」と『雪塩ちんすこう』を手にやってきた。ええ、よく存じ上げてます...、とその場にいた全員があいまいな微笑みに。橋田さんの頭上にたくさんの「?」が見えた一瞬であった。一方、翌週沖縄に行こうとしていた小林さんは何事かを悟った様子でとりあえず両方試食していた。

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<お菓子に罪はない>


9.7(月)

・季節は秋に入り、夏休みと比べて恋人同士らしきお客様もちらほら。そんな中、オーストラリアから女性お一人が、入口にお越しになった。一緒に旅行中の彼と来る途中ではぐれてしまったとのこと。女性はここまでずっと一人で我慢していたようで、スタッフがお話を聞いていたところ、泣きだしてしまった。何とか二人を引き合わせなくてはと、宿泊先に問い合わせを入れたりしているうちに、彼は無事に美術館に到着。駆け寄ったふたりはまるで映画のように堅い抱擁。そんな姿に感動して思わず涙ぐんでしまったスタッフ一同だった。


9.8(火)

・サンクンテラスで突如お客様によって発見された亀。一見大きさ的にはミドリガメなのだが、尻尾も長く、手足の爪の形も違う。肉食なのか草食なのか分からず、何をあげても食べてくれない。その日たまたまマス寿司のおにぎりを持っていた赤澤さんが試しにマスをちぎってあげたところ、なんとおいしそうに食べ始めた。ジブリ美術館での初めての食事がマスということに一同驚いていたのだが、一番興奮していたのはマスをあげていた赤澤さんだった。飼い主が戻ってきてくれるといいのですが。

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<どちらからお越しなのでしょう...>


9.9(水)

・本日は"イバラード「星をかった日」スペシャルコンサート"が行われた。土星座にて上映中の「星をかった日」原作の井上直久さん、そして音楽を担当された中村由利子さん、さらに松尾清憲さん小室和幸さん、と、かなりの盛大な顔ぶれに加えて、カフェの店長堀口さんも今日は演奏者として出演。ぎっしりのお客様を前に、「星」をテーマにした楽しい音楽が演奏されて美術館いっぱいにひろがっていく。
そしてサプライズゲストで、『耳をすませば』の雫ちゃんでおなじみの本名陽子さんが登場。
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<カントリーロードを歌ってくれました>

コンサートの後には、井上直久さん中村由利子さん本名陽子さんによるサイン会も。
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<「星をかった日」のグッズにもサイン>

2回の公演を終えて、秘密裏に計画されたカフェ店内でのスペシャルなおまけもあり、全部で3回の公演が行われました。
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大盛況の中でのあたたかなコンサートになり、出演されたみなさんもスタッフも、お客様の笑顔にほっと胸をなでおろした一日となったのでした。


9.10(木)

・この日、ガラスケース担当となったスタッフの松尾さんに、素敵な出会いがあった。美術館オープンの2001年に初めて遊びに来て以来、今回が2回目とおっしゃられる客様が来館され、子どもだった頃に遊びに来た時の思い出を話してくれたそう。美術館オープンからずっとショップスタッフとして働いてきた松尾さんは、8年間という時間の流れに感じいってしまい、少女だったお客様が大人になってまた遊びに来てくれた事が本当に嬉しく、胸いっぱいになったのであった。


9.11(金)

・9/30から開始予定の新ギャラリー展示:男鹿和雄『秋田、遊びの風景』展。その取材がアトリエで行われていた。インタビューを受けているのは中島館長。館長は熱風で男鹿さんが連載をしていた頃からずっと本になるのを心待ちにしており、この本の出版をとても喜んでいた。その挿絵や実物が今回展示されるとあって、取材にも積極的に協力。子ども、自然、遊び、と父親としての思いも話題になり、インタビューアーの方も同じ父親の立場として、お父さん二人の語り合いは和やかにすすんでいた。


9.12(土)

・カフェではこの日から秋の新メニューが登場。新メニューの1つ「麦わらぼうしの手作りミートローフサンド」は大きなサンドイッチを豪快にそのままかぶりつくお客様の姿がよく見られる。緊張の面持ちでホールを覗いていたこのメニューの生みの親である杉野さんは、小さなお子様も大きく口を開けて食べているのを見て、嬉しそうにキッチンに戻り仕込みに励んでいた。


9.13(日)

・毎年恒例の地域のお神輿。本番は秋晴れの青空!日に焼けるほどの日差しとなった。美術館に近づいてくる掛け声がだんだんと大きくなっていくと、スタッフも近くにいたお客様もワクワク、お祭り気分が盛り上がってくる。間近で見ていると威勢のいい担ぎ手に引っ張られ、いつの間にか一緒に担いでいた澤登さん。昨年からぜひお神輿を担ぎたいと言っていた事務局長の山崎さんは今年こそはと飛び込んだが見ていたスタッフの証言によると山崎さんは担ぐというより、ぶら下がっていたとかいないとか...。

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<美術館の担ぎ手衆5人組>

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<こちら、秘儀"エア神輿"をくりだす山﨑さん。>

9.14(月)

・入口前にて、館内に入る前にベビーカーをたたんで頂くお願いをしていた岡田さん。手を合わせてたたむジェスチャーをする岡田さんの様子を見て、ベビーカーに乗っていた男の子も岡田さんを見ながら何度も手を合わせていた。その場面を遠くから見ていたスタッフは、岡田さんから醸し出される達観した雰囲気が、ついに拝まれる域に達した、と思ってしまったそうだ。


9.15(火)

・美術館では来年度4月入社の正社員を募集中。9月いっぱいが締切のため、日を追うごとに履歴書の束がたくさん届けられている。開封作業に当たっている総務の担当者は、ひとつひとつ丁寧に開け、熱い思いを真摯に受け止めながらファイリングをしている。
※正社員募集詳細はこちらです。


9.16(水)

・美術館の周りの木々にどんぐりが沢山実りはじめた。ぽとんぽとんと落ちてくるので、頭上注意の毎日。そんなどんぐりを一生懸命拾っているご家族が。お話したところ沖縄からいらしていて、沖縄では一部にしかどんぐりがないとのこと。連休中とあって北海道から沖縄まで遠方から沢山のお客様が訪れてくださっているんだなあ、と実感するひとコマだった。


9.17(木)

・カフェの秋の新メニューはとても好評のようだ。涼しい秋風が気持ち良いカフェデッキでは、「まんまるお米コロッケの秋野菜カレー」が大人気。喫茶室内では、あたたかなステンドグラスの光の下で、「和牛の入った秋色ソースごはん」や「麦わらぼうしの手づくりミートローフサンド」、美味しい国産ワインが秋の華やぎ気分に一味そえてくれそうです。


9.18(金)

・事務局長の山﨑さんが、最近ショップで販売中のカエルのぬいぐるみを買い集めている。一気に大量購入するのではなく日参し少しずつ買っていくため、目的が謎に包まれていたのだが、勇気を出して聞いてみた所、「お姉ちゃんのところへ持っていく」との回答が。事務所にいたメンバーが全員「おねえちゃん?本当のお姉ちゃん?オネエちゃん?何人いるの?」と、心の中でツッコミを入れていたのは間違いない。


9.19(土)

・今年で第三弾となる「LOOPWHEELER×ジブリ美術館」のコラボレートスウェットが、ショップに登場した。今回も発売を楽しみにしているスタッフも多く、商品を見るなり「かわいい!」の大合唱。スウェットとしての機能性は言うまでも無く、さらに新モデルの大きな特徴としては、左腕部分に美術館の紋章に使われているデザインを散りばめた素敵なオリジナルのプリント。早速腕を通す美術館のスタッフも、かわいい新柄にご満悦の表情をうかべるのであった。

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<解読しなくては>


9.20(日)

・シルバーウィークに突入。出口では、美術館に来館してくださるお客様へアンケートを行った。アンケートチームは熟考を重ね、お客様が実際どんなことを感じ、美術館での時間を過ごしてくださったかなど、お客様の思いを伺うことの出来る内容を練りに練っていた。多くのお客様にご協力頂き、普段知ることの出来ない率直なご意見を頂くことが出来た。この貴重なご意見を日々の運営に生かしていきたいと、集計にも力がこもるスタッフだった。


9.21(月)

・連休は中日となり、旅の思い出の大きな荷物を抱えて来館され方が多い。今日はふしぎと、赤いキャリーケースばかりが目に付く。もしかしてキャリーケース界では赤が大流行してるのかしら、と、次に新調するキャリーケースの色に思いを馳せるスタッフだった。


9.22(火)

・先日TOTOBIGで4億を越える当選者がでた一件について、ずっとTOTOBIGを買い続けている厚樹さんに、机さんが感想を求めていた。厚樹「僕はラッキー№が"6"なので、6億当てるために、毎回6枚買ってます!」机「...それで当たったの?」厚樹「それは、これからです。」前向きな厚樹くんに幸あれ。


9.23(水)

・「お父さんとお母さんはどこですか?」とごあんないじょにやってきた来た女の子。物怖じせずにしっかりと自分のことを話してくれる様子からは、"迷子"のイメージは全く感じさせない。じゃあお父さんとお母さんを探そうか、と話していても、泣いてしまうわけでもなく、しっかりした口調で自分が来た場所をきちんとスタッフに説明してくれる。そして逆に"迷子"だったご両親は無事発見。ごあんないじょには、日々、いろんなタイプの迷子さんが現れます。


9.24(木)

・この日、ショップ植担(植物担当)こと菅野さんに嬉しい出来事があった。種をまいて数ヶ月、愛情たっぷりに育てていた「朝顔」が遂にきれいな花を咲かせたのだ!夏も終わろうというのになかなか花を咲かせてくれない様子に、周りからは「もう咲かない?」「時期的に...」などとあきらめの声があがったものの、最後まで愛情を注ぎ育てた結果が実を結んだのだ!よほど嬉しかったのか、菅野さんはプランターを抱えたまま周囲のスタッフに報告してまわっていた。


9.25(金)

・東京湾三番瀬を漁船で沖合に向うカフェの堀口さんと佐藤さんの気分は、まるで宗助。
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海苔の生産をしている網の間を通り抜け、5~6キロのところで筏を下ろし、今日はそこで漁をする。三番瀬は2年前に埋立て計画が中止となり、江戸前の干潟が残された場所とのこと。「東京湾って、こんなに綺麗なんですね」と堀口さん。漁師のサワダさんは「汚れていた時代はあったが、みんな誤解している。今は良くなった!赤潮も減った。」と焼けた肌に白い歯が印象的な海男は船首で綱を引きながら答えてくれた。金網を引き上げられると、日本ではココでしか採れないといわれる本美之主貝(ホンビノス貝)が6キロほど上げられた。
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「5年前のピクサー展のとき、カフェでは国産アサリを使ってクラムチャウダーを出したんです。いま、国産アサリは手に入らなくって...」と佐藤シェフ。アサリより一回り大きなこの貝は正真正銘の江戸前。貝はそのまま、カフェに届けられ試作が始まった。海の上での商品開発。さて、今度はどんな料理になるのでしょう。


9.26(土)

・今年は世界天文年。ジブリ美術館では、三鷹国立天文台・ネットワーク大学のご協力により「観望会」が行われた。天気予報は曇りとあって、スタッフは気をもんでいたのだが暗くなるにつれてだんだんと雲が切れ、きれいなお月様が顔を出した。この時期ひときわ美しく輝く木星、そして月について、星のソムリエの方々による解説付きの天体望遠鏡での観測会。肉眼ではみることができない木星の線、月のクレーターなどが見られ、子どもも大人もあまりの美しさに感嘆の声をあげていた。予定終了時間を過ぎても、なんだか名残おしくなかなかその場を離れられず、スタッフもお客様もみんないっしょに秋の夜空を見つめ続けていた。

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9.27(日)

・おもらしをしてしまった男の子がお着替えの為に駅舎をご利用。「秘密の場所だね、誰かに教えていい?」というその子の言葉に、その男の子のお母さんは笑いながら「バラされたら困る秘密を握られているのは誰?」とツッコんでいた。


9.28(月)

・カフェのフラワーを覗くと「巨峰のタルト」の仕込み中。生地の上に大きな巨峰がぎっしりと敷き詰められた。
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一粒一粒手作業で丁寧に種を取られた巨峰達。タルトが焼きあがる頃、店内には甘い香りが漂っていた。
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9.29(火)

・今日は、半年に一回行われる恒例:ショップ棚卸しの日。今回の棚卸しが、初めてとなる4月入社の関根君と佐藤さん。先輩スタッフに教わりながら一つ一つ商品をカウントする表情は真剣そのもの。スタッフ一丸となり抜群のチームプレーで進む作業は、回数を重ねるごとによりスピーディーになり、気がつくと昼過ぎには殆どのカウント作業が終了。ほっと一息つき、ふとウィンドウディスプレーに目を向けると、ステンドグラスから午後の光が差し込み、美しく店内を照らしている。手元に集中するカウント作業では気づかなかった美術館の素敵な一面に、思わずシャッターをきる木村君なのであった。
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9.30(水)

・韓国の某有名俳優の来日に伴い、全国各地のファンの方々も東京に集結された様子。ファンミーティングの後、美術館に来てくださった方も多く、手には溢れんばかりのポスターや、思い出のグッズの数々。その荷物をごあんないじょカウンターでお預りしたスタッフは、生で会った感想や最新情報を教えて下さったその方々の熱い思いを聞きながら、頭の中にはあのテーマ曲が駆け巡っていたそうだ。